労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東日本旅客鉄道(品川駅外脱退勧奨) 
事件番号  中労委 平成 5年(不再)第13号 
再審査申立人  東日本旅客鉄道株式会社 
再審査被申立人  国鉄労働組合東京地方本部 
命令年月日  平成11年11月24日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  品川駅の首席助役、総括助役及び助役、浜松町駅の駅長及び助役、原宿駅の駅の駅長並びに高崎給電区の区長が、国労組合員に対し脱退勧奨を行ったことが、不当労働行為であるとして、争われた事件で、東京都地方労働委員会は、会社に対し、上記首席助役らの国労組合員に対する言動等が不当労働行為に当たるとして、駅長、区長、助役らの脱退勧奨による支配介入の禁止並びに文書掲示等を命じたところ、これを不服として会社側が再審査を申立てていたもので、脱退勧奨の禁止を命じ、初審命令の文書掲示内容を一部改めたほかは、本件再審査申立人のその余の再審査申立てを棄却した。 
命令主文  I 初審命令主文第一項を次のとおり改める。
 1 再審査申立人東日本旅客鉄道株式会社は、品川駅の首席助役、総括助役及
び助役、浜松町駅の駅長及び助役、原宿駅の駅長並びに高崎給電区の区長を通し
て、再審査被申立人国鉄労働組合東京地方本部の下部組織の国鉄労働組合東京地
方本部新橋支部品川駅分会、同浜松町駅分会、同原宿駅分会及び同高崎給電区分
会所属の組合員に対して、国鉄労働組合からの脱退勧奨を行うことにより、再審
査被申立人組合の組織、運営に支配介入してはならない。
II 初審命令主文第二項中記を次のとおり改める。
                 記
 当社が、品川駅の首席助役、総括助役及び助役、浜松町駅及び助役、原宿駅の
駅長並びに高崎給電区の区長を通して、貴組合の組合員に対し、貴組合からの脱
退を勧奨したことは、不当労働行為であると中央労働委員会により認定されまし
た。
 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
 平成 年 月 日
国鉄労働組合東京地方本部
執行委員長   X1   殿
                  東日本旅客鉄道株式会社
                  代表取締役   Y1
III 再審査申立人のその余の再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
品川駅の首席助役Y2が国労組合員X2に対し「いまの組合じゃだめだぞ」「今のままいたんでは鉄道の仕事は続けられなくなると思いますよ、それでもいいんだね、どうなんですか」等と述べ、国労組合員であることに対して人事上の不利益を示唆し、脱退を勧奨したものと認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
品川駅の総括助役Y3が国労組合員X3に対し人事上の不利益と関連づけて「そういう意識改革じゃだめなんだ」等の発言をして脱退を勧奨したものと認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
品川駅の助役X2が国労組合員X6に対し「このままだとどうなるかわからないぞ」「鉄道の仕事ができなくなるかもな」「今のうちだ、考え直すのは」等と述べ、国労組合員であることに対して人事上の不利益を示唆し、脱退を勧奨したものと認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
品川駅の助役Y4が国労組合員X1に対し「会社の方針に反する組合にそのままいると、どうなるのか知っているのか」「いまの職場にはいられないぞ」等、国労組合員であることに対して人事上の不利益を示唆し、脱退を勧奨したものと認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
品川駅の助役Y5が国労組合員X4の自宅で同人と両親らに対して「あなたの息子さんは、現在会社の方針に反する組合に所属しているが、このままでは鉄道本来の仕事をこのまま続けていくことができるかどうか、私には責任が持てない」等の発言は国労に所属していることに対して人事上の不利益を示唆し、脱退を勧奨したものと認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
浜松町駅の駅長Y6が国労組合員X5に対し「庶務として仕事をしたければKにいてはだめだ」等と言い国労に所属していることに対して人事上の不利益を示唆し脱退を勧奨したものと認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
浜松町駅の駅長Y6が国労組合員X4を駅長室に呼んで叱責したことが、単に指導・教育をなしているものとは認められず、国労からの脱退勧奨の意図をもって行われたものとみられる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
浜松町駅の助役Y7が国労組合員X4ら5名に対し勤務時間中に「国労脱退届・東鉄労加入届」を渡し「あとで出してもらえないだろうか」「あれ書いといてよ」等と催促したことは、地位を利用し、国労からの脱退勧奨をしたものと認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
浜松町駅の助役Y8が組合員X6に対し「国労が主任でいるのは困る」等の脱退を促す発言をしたり、勤務中に「国労脱退届・東鉄労加入届」を渡したことは地位を利用し、国労からの脱退勧奨をしたものと認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
原宿駅の駅長Y9は国労組合員X7に対し「改札の責任者になってほしい。そのためには今の組合ではだめだ」等と言ったり、X7の勤務中に同人の妻と会い、「奥さんからもよく説得してほしい」等と述べたことが駅長という地位を利用し、国労からの脱退勧奨をしたものと認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
高崎給電区の区長Y10は国労組合員X8に対し個人面談をした際に国労の比率が高いことや国労の存在、組合員であることは困る等と述べたり「いつか勇気を出して自分で判断していかなければならないときがくる」等の発言が国労からの脱退勧奨をしたものと認められる。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集115集905頁 
評釈等情報  中央労働時報 2000年2月 962号 36頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京地労委 昭和63年(不)第13号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 5年 1月26日 決定 
 
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