概要情報
事件名 |
安田病院外7者 |
事件番号 |
大阪地労委 平成 9年(不)第41号
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申立人 |
全国金属機械労働組合港合同 |
被申立人 |
安田病院 |
被申立人 |
安田もとたかビル株式会社 |
被申立人 |
株式会社安進 |
被申立人 |
医療法人北錦会 |
被申立人 |
安田開発興業株式会社他2社 |
命令年月日 |
平成11年10月22日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、故人のY2及び医療法人北錦会が経営していた安田病院外2病院が、大阪府から診療報酬不正受給等により保険医療機関の指定を取り消され、医療行為が事実上出来なくなったことを理由に、患者の介護を行うヘルパーに対して、(1)平成9年8月に解雇を通知したこと及び同月以降の賃金を支払わなかったこと、(2)解雇通知等を議題とする平成9年8月27日付け団体交渉申し入れに応じなかったこと等が不当労働行為であるとして申立があり、Y2が役員となっていた安田もとたかビル等5社を当時者追加した事件で、北錦会に団交応諾及び文書手交を命じ、Y2及び病院並びに他の5社に対する申立を却下した |
命令主文 |
主 文 1 被申立人医療法人北錦会は、申立人から平成9年8月27日に申入れのあっ た申立人組合員の解雇問題及び未払賃金問題に関する団体交渉に応じなければな らない。 2 被申立人医療法人北錦会は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しな ければならない。 記 年 月 日 全国金属機械労働組合港合同 委員長 X1 殿 医療法人北錦会 精算人 Y1
医療法人北錦会が貴組合から平成9年8月27日に申入れのあった貴組合員の 解雇問題及び未払賃金問題に関する団体交渉に応じなかったことは、大阪府地方 労働委員会において、労働組合法第七条第二号に該当する不当労働行為であると 認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 3 申立人の被申立人安田病院ことY2に対する申立は却下する。 4 申立人の被申立人安田もとたかビル株式会社、同株式会社安進、同安田開発 興業株式会社、同株式会社豊生殿及び同株式会社エイトアンドエイトに対する申 立ては却下する。 5 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
4916 企業に影響力を持つ者
死亡した病院長Y2は、医療法人北錦会の経営する3病院に対して実質的に支配し、決定する地位にあったことは明らかで、これらの病院に雇用されているヘルパーに対して上記法人と共に重畳的に使用者としての立場にあったと判断された例。
4916 企業に影響力を持つ者
安田もとたかビルほか4社(安進、安田開発興業、豊生殿、エイトアンドエイト)は、Y2及び北錦会と密接な関連を有していることが認められるが、安田もとたかビルほか4社が、3病院(安田病院、円生病院、大和川病院)のヘルパーの雇用・労働条件について直接的な影響力ないし支配力を及ぼしていたと認めるに足る事実の疎明がないことから、ヘルパーに対し使用者の立場にないと判断された例。
1201 支払い遅延・給付差別
Y2及び北錦会が、3病院のヘルパーの賃金・労働条件において、労基法に著しく違反していた疑いはあるが、ヘルパーが組合に加入したのは、3病院の患者が移送されヘルパーの業務が実質的に消滅した後であり、Y2及び北錦会とヘルパーの労働条件は、ヘルパーが組合に加入する前に適用されていたものであるから、Y2及び北錦会がヘルパーに対する未払賃金債務を有するとしても、組合員への不利益取扱若しくは組合への支配介入を目的として行われたものと解することはできず、組合の時間外手当未払賃金についての申立を棄却された例。
1800 会社解散・事業閉鎖
Y2及び北錦会が、3病院のヘルパーを解雇したことについて、Y2及び北錦会がヘルパーの解雇の意思表示をしたのが、ヘルパーの組合加入前だったこと、及び患者全員が転院したことにより、ヘルパーの業務が実質的に消滅していたことからすると、解雇が法的に有効であるか否かはともかく、組合及び組合員を嫌悪し排除する意図でなされたものではないことから、組合の解雇通知の無効の申立は棄却された例。
2300 賃金・労働時間
2400 その他
Y2及び北錦会が組合団交申し入れを拒否したことは、労使間において時間外手当等未払賃金問題等の未解決問題があること、3病院の業務が実質的に消滅したとしても、当然に過去の労働債権が消滅するものでもないこと、Y2の逮捕拘留されたことにより、Y2が団交に応じることができなくとも、適切な権限を有する代理人等によっても団交は行えることなどにより、正当な理由もなく団交申し入れを拒否したと判断され不当労働行為と認められた例。
5143 不出頭・所在不明・消滅・死亡・承継
3病院のヘルパーの使用者の立場にある病院長Y2が死亡したことにより、3病院におけるY2の事業者たる地位を新たに引き継ぐ者が存在しないことから、Y2とヘルパーとの労使関係は消滅すると解さざる得なく、Y2に対する組合の申立は却下された例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集115集169頁 |
評釈等情報 |
 
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