| 事件名  | 
                    安田病院ほか7者  | 
                  
                  
                    | 事件番号  | 
                     大阪地裁平成11年(行ウ)第77号  
                     | 
                  
                  
                    | 原告  | 
                    医療法人北錦会  | 
                  
                  
                    | 被告  | 
                    大阪府地方労働委員会  | 
                  
                  
                    | 被告参加人  | 
                    全国金属機械労働組合港合同  | 
                  
                  
                    | 判決年月日  | 
                    平成12年 7月17日  | 
                  
                  
                    | 判決区分  | 
                    請求の棄却  | 
                  
                  
                    | 重要度  | 
                      | 
                  
                  
                    | 事件概要  | 
                    本件は、故人のY1及び医療法人北錦会が経営していた安田病院ほか
                      2病院において、診療報酬不正受給等により保健医療機関の指定を取り消され、医療行為が事実上できなくなったことを理由に、
                      患者の介護を行う付添婦に対して、平成9年8月に解雇を通知したこと及び同月以降の賃金を支払わなかったこと、解雇通知等を
                      議題とする団体交渉申入れに応じなかったこと等が、不当労働行為であるとして争われた事件である。なお、審査の過程でY1が
                      役員を務める関連会社5社が当事者追加された。 
                       大阪地労委(平成9年(不)第41号、平成11・10・22決定)が、北錦会に対し、組合から申入れのあった団体交渉に応
                      じること及び文書手交を命じ、安田病院こと故人となったY1及び関連会社5社に対する申立は却下、申立人のその他の申立は棄
                      却したところ、これを不服として北錦会が行政訴訟を提起したものである。大阪地裁は、地労委の救済命令を支持して、北錦会の
                      請求を棄却した。  | 
                  
                  
                    | 判決主文  | 
                    1 原告の請求を棄却する。 
                      2 訴訟費用は原告の負担とする。  | 
                  
                  
                    | 判決の要旨  | 
                     
                        2400 その他  
                      原告は、団体交渉に応じなかった正当理由として、幹部職員が逮捕・拘留されており、団体交渉に対応する適切な者がいなかった
                      と主張するが、労働者にとっては、病院の閉鎖という事態に至って団体交渉の必要性は高まっており、幹部職員の拘留等により労
                      働組合の要求に直ちに回答できる状況でなかったとしても、少なくとも労働組合の要求を聞き、直ちに回答できないのであればそ
                      の旨を説明し、原告の置かれた状況を説明し、労働者の理解を求めるべきであるから、原告主張の事情は団体交渉を拒否する正当
                      な理由とはなり得ないとされた例。 
                       
                       5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示  
                      本件救済命令が、原告に文書の交付を命じたことは、労働委員会の裁量の範囲内であると認められ、違法な点はないとされた例。 
                       
                       2400 その他  
                      原告は、解散して清算手続に入っているので、解雇問題について交渉によって妥結する余地がなかった旨主張するが、交渉事項と
                      しては、結局は解雇条件等の問題に帰するものであり、交渉により妥結する余地がなかったとまでいえないとされた例。 
                       
                       2241 他の係争事件の存在  
                      原告は、未払賃金問題について、地労委で和解の斡旋が行われたが隔たりが大きく合意に至らなかったうえ、既に組合員らが賃金
                      請求訴訟を提起しているのであるから合意ができる余地はないともいうが、地労委における和解の斡旋や訴訟は団体交渉とはその
                      目的や機能を異にするものであるから、和解が不調となり、また、訴訟を提起されたからといって団体交渉の必要性がなくなると
                      いうものではないし、そのことを理由に団交応諾義務を免れることができるものでもないとされた例。 
                       
                     | 
                  
                  
                    | 業種・規模  | 
                    医療業  | 
                  
                  
                    | 掲載文献  | 
                    労働委員会関係裁判例集35集480頁  | 
                  
                  
                    | 評釈等情報  | 
                       
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