労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  商大八戸ノ里ドライビングスクール(残業差別) 
事件番号  中労委 平成 7年(不再)第41号 
再審査申立人  株式会社八戸ノ里ドライビングスクール 
再審査被申立人  全国一般労働組合大阪府本部・大阪自動車教習所労働組合 
命令年月日  平成11年 7月21日 
命令区分  全部変更(初審命令を全部取消し) 
重要度   
事件概要  会社が、組合の商大分会及び職員組合が平成4年12月11日に行ったストライキを理由に、両組合員に対し時間外労働を指示しなかったことが争われた事件で、大阪地労委は、(1)分会の組合員及び元職員組合の組合員に対し、同4年12月11日から同5年1月21日までについて、同人らが時間外労働の指示を受けたならば得たであろう時間外労働手当相当額(年5分加算)の支払い、(2)文書掲示を命じた。会社はこれを不服として再審査を申し立てたが、中労委は初審命令を変更し、再審査申立てを棄却した。 
命令主文  I 初審命令主文を次のとおり変更する。
 1 株式会社八戸ノ里ドライビングスクールは、全国一般労働組合大阪府本部・
大阪自動車教習所労働組合商大分会の組合員に対し、別表1(省略)に掲げる金
額、また、元商大八戸ノ里ドライビングスクール職員組合の組合員に対し、別表
2(省略)に掲げる金額及びこれらに平成7年9月29日から支払いに至るまで
年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
 2 株式会社八戸ノ里ドライビングスクールは、本命令交付後、全国一般労働
組合大阪府本部・大阪自動車教習所労働組合に対し、下記の文書を速やかに交付
しなければならない。
                 記
                           平成 年 月 日
全国一般労働組合大阪府本部・大阪自動車教習所労働組合
  執行委員長      X1     殿
                  株式会社八戸ノ里ドライビングスクール
                    代表取締役     Y1
 当社が、全国一般労働組合大阪府本部・大阪自動車教習所労働組合商大分会の
組合員及び元商大八戸ノ里ドライビングスクール職員組合の組合員に対し、平成
4年12月11日から同5年1月21日までの時間外労働の指示において差別し
て取り扱ったことは、中央労働委員会において労働組合法第七条第三号に該当す
る不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さな
いようにいたします。
 3 全国一般労働組合大阪府本部・大阪自動車教習所労働組合のその余の救済
申立てを棄却する。 
判定の要旨  0417 法令・協約・信義則違反
分会及び職組の実施直前のスト通告は、会社の業務に相当の影響を与えており、予約制度により技能教習を実施している会社の業務形態からすれば、この当時会社と分会及び職組との間に争議予告に関する労働協約は締結されていなかったとしても、労使関係の信義則上問題のあるところであるとされた例。

2901 組合無視
3102 争議対抗手段
本件時間外労働の不指示は、分会員及び職組員に相当の経済的打撃を与える結果となること、また、分会員及び職組員を非組合員と差別的に取り扱うものであり、会社が本件ストの対抗措置をとるに至った経過その他諸般の事情を考慮すると、争議対抗手段としては相当性の程度を超えるものとされた例。

2901 組合無視
3102 争議対抗手段
会社が本件ストに対抗して分会員及び職組員の時間外労働の指示において差別して取り扱ったことは、分会及び職組の本件ストに対する対抗措置としては行き過ぎであり、分会員及び職組員に経済的打撃を与えることにより分会及び職組の弱体化を図ったものであるといわざるを得ず、これを労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であるとした初審判断が維持された例。

4408 バックペイが認められなかった例
4603 その他
4612 P.Nに替えて他の措置を命じた例
(1)分会員及び職組員が時間外労働の指示において差別して取り扱われなければ得たであろう時間外労働手当相当額の金額、(2)分会及び職組の実施直前のスト通告は労使関係の信義則上問題があること、(3)今後の正常な労使関係秩序の形成を図る必要があることを総合的に考慮すると、分会員及び職組員に対し、上記(1)の金額の半額に相当する額を支払うこと及び文書手交を命ずることが相当であるとされた例。

5123 審査中の組合脱退・退職等の取扱い
「請求取下書」を提出している職組員の一部の者は、職組ないしは組合を通じて本件の救済を受けることを放棄する旨の積極的な意思表示をしていることは明らかであるから本件救済対象者に含むこととするのが相当であるが、既に退職している分会員の一部の者は、組合を通じて本件の救済を受けることを放棄する旨の特段の意思表示をしていないのであるから、本件救済対象者に含むこととするのが相当であるとされた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集114集571頁 
評釈等情報  中央労働時報 1999年11月 959号 17頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地労委 平成 5年(不)第75号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 7年 9月28日 判決 
 
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