事件名 |
若松運輸・鉄構運輸 |
事件番号 |
千葉地労委 平成 9年(不)第4号
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申立人 |
全日本運輸一般労働組合東京地方本部千葉地域支部 |
被申立人 |
若松運輸株式会社 |
被申立人 |
株式会社鉄構運輸 |
命令年月日 |
平成11年 2月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
若松運輸が、(1)組合の分会(若鉄運輸分会)との団体交渉に誠実
に応じなかったこと、(2)分会員に対し、脱退強要を行ったこと、(3)分会員に対し、配車差別等の不利益取扱いを行ったこ
と、(4)分会長に対し、ビラ配布等を理由に懲戒処分を行ったこと、及び鉄構運輸が分会員1名に対し、勤務時間中の組合活動
を理由に懲戒処分を行ったことが争われた事件で、千葉地労委は、若松運輸に対し、(1)団交応諾、(2)脱退強要の禁止、
(3)配車差別等の不利益取扱いの禁止、(4)分会長の懲戒処分の撤回とバックペイを、鉄構運輸に対し、分会員1名の懲戒処
分の撤回とバックペイを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人若松運輸株式会社は申立人組合の若鉄運輸分会に対し、
正当な理由
なく団体交渉を拒否してはならない。
2 被申立人若松運輸株式会社は申立人組合の若鉄運輸分会の組合員に対し、分
会からの脱退を強要してはならない。
3 被申立人若松運輸株式会社は申立人組合の若鉄運輸分会の組合員に対し、配
車差別をするなどの不利益取扱いをしてはならない。
4 被申立人若松運輸株式会社は、申立人組合の若鉄運輸分会の組合員X1に対す
る次の懲戒処分を撤回し、同人に支払うべきであった賃金を支払わなければなら
ない。
通 告 日 処分内容 期 間
平成9年10月21日 出勤停止7日 平成9年10月22~29日
平成9年12月 2日 出勤停止3日 平成9年12月 4~ 6日
被申立人株式会社鉄構運輸は、申立人組合の若鉄運輸分会の組合員X2に対する
次の懲戒処分を撤回し、同人に支払うべきであった賃金を支払わなければならな
い。
通 告 日 処分内容 期 間
平成9年11月29日 出勤停止2日 平成9年12月 1~ 2日
5 被申立人若松運輸株式会社は申立人組合に対して、本命令受領後3日以内に
、下記の陳謝文を縦2メートル、横3メートルの白木木板に鮮明に墨書し、被申
立人若松運輸株式会社の食堂の見やすい場所に、毀損することなく少なくとも1
0日間掲示するとともに、同文をB4版大の用紙にタイプした文書を作成して、
申立人組合に交付しなければならない。
記
陳謝文
全日本運輸一般労働組合
東京地方本部千葉地域支部
執行委員長 X3 殿
当社は貴組合若鉄運輸分会に対し、正当な理由なく団体交渉を拒否し、かつ
、同分会組合員に対して分会からの脱退を強要したり、仕事上の差別をし、更に
分会役員に対し正当な理由なく懲戒処分をしてまいりましたが、今般、千葉県地
方労働委員会から、これらは労働組合法第7条1号、第2号及び第3号に該当す
る不当労働行為と認定されました。
よって、当社はここにその責任を認め、貴分会に対して深く陳謝するととも
に、再びこのような不当労働行為を繰り返さないことを誓約いたします。
年 月 日
若松運輸株式会社
代表者 代表取締役 Y1
(中:年月日は、掲示及び交付の日を記載すること。)
6 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2215 上部団体参加否認
2244 特定条件の固執
2248 実質的権限のない交渉担当者
若松運輸は、団体交渉から上部団体役員を排除し、団体交渉会場となったホテルの客室料金の半額の支払いを団体交渉応諾の条件
にし、また、団体交渉で、ホテルの客室料金の支払いについての交渉にあくまでもこだわり、労働条件などの実質的な交渉を行わ
ず、さらに、決定権限のある者を団体交渉に出席させないことから判断すると、若松運輸の団体交渉についての一連の対応は誠実
なものとはいえず、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
若松運輸の管理職らが、組合結成直後から、組合員に、組合脱退を強要する旨の発言を執拗に繰り返したことにより、組合員が大
量に脱退したものと考えるのが相当であって、これは労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1302 就業上の差別
若松運輸が、多数の組合員を担当車両の業務からはずし、非組合員にその担当車両の乗務をさせたことは、業務量が減少したこと
が理由とは考えられず、分会を嫌悪して配車差別を行ったと考えるのが相当であり、これは若松運輸の非組合員に対する労働組合
法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1400 制裁処分
分会が配布したビラは、若松運輸が団体交渉を拒否していることなどの事実を指摘して、これに抗議するものであり、ことさらに
事実関係を歪曲して若松運輸役員を誹謗中傷しているものとまでは言えず、千葉地労委であっせんが成立した事実を記載しただけ
のものであり、分会の責任者である分会長X5の責任を追求することはできず、若松運輸が分会長に対して出勤停止の懲戒処分を
行ったことは、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1400 制裁処分
分会員X4が、勤務時間中に電話で団体交渉について連絡したことを理由に、鉄構運輸が出勤停止の懲戒処分を行ったことは、労
働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集113集173頁 |
評釈等情報 |
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