概要情報
事件名 |
古賀タクシー |
事件番号 |
福岡地労委 平成 9年(不)第15号
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申立人 |
古賀タクシー労働組合 |
被申立人 |
株式会社古賀タクシー |
命令年月日 |
平成11年 2月 9日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、当時組合の副執行委員長であったX1(現執行委員長)に対し、同人の平成9年7月12日の接客態度不良等を理由に、同月16日より5乗務の出勤停止処分としたこと及び同月24日以降、担当車から外したことが、それぞれ不当労働行為であるとして申立てのあった事件で、福岡地労委は、担当車外しについて文書の交付を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、本命令書写しの交付の日から7日以内に、次の文書を申立人組 合に手交しなければならない。
株式会社古賀タクシーが行った下記の行為は福岡県地方労働委員会によって不 当労働行為と判断されました。 今後、このようなことを繰り返さないよう留意します。 記 貴組合の組合員Sに対し、平成9年7月24日以降担当車を外したこと。 平成 年 月 日 古賀タクシー労働組合 執行委員長 X1 殿 株式会社古賀タクシー 代表取締役 Y1
2 その余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3600 処分の差別
3601 処分の程度
3604 労働者に落度がある場合
X1の本件接客態度不良行為は、タクシー運転手として看過できない、問責に値するものであり、同行為をめぐるY2課長への態度は、職場秩序維持の点において非難は免れず、また、乗客が帰った後に「処分するなら処分してみい。徹底的に闘う。」など発言したことは、無反省なものとしてこれらを理由とする出勤停止処分は、事例的に必ずしもバランスを欠くものとは言い切れず、他の事案に比し均衡を欠く旨の組合の主張が斥けられた例。
1302 就業上の差別
3601 処分の程度
3604 労働者に落度がある場合
X1の接客態度不良行為の程度は、会社の車両担当選任基準の接客不良に該当するものといえるが、担当車両を解除することが真にやむを得ないと評価できる程度の相当重大なものと見ることはできず、同基準の趣旨・精神を準用して担当車を一年の長期にわたって外した会社の措置には合理的理由がないとされた例。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3604 労働者に落度がある場合
3607 労働者の行為と不利益取扱の程度との関連
3608 動機の競合
3700 使用者の認識・嫌悪
X1に対する担当車外しは、乗客トラブルを奇貨とし、同人の活発な組合活動を嫌悪してなされた不利益取扱いであり、かつ、これにより組合の弱体化を企図した支配介入に当たるとされた例。
4614 文書手交のみを命じた例
5145 救済内容が実現不可能
組合は、X1に対する担当車外しの救済として、元の担当車に戻すよう求めているが、同人が退職していることに鑑み、文書手交をもって救済するとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集113集150頁 |
評釈等情報 |
 
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