概要情報
事件名 |
黒磯観光タクシー |
事件番号 |
栃木地労委 平成10年(不)第1号
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申立人 |
全国一般労働組合栃木地方本部 |
被申立人 |
黒磯観光タクシー株式会社 |
命令年月日 |
平成11年 2月 4日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合のストライキ実施に対する報復として、年次有給休暇を取得したときの賃金算定方法を労使協定で定める標準報酬日額から一方的に平均賃金の60%に変更したこと、年次有給休暇の取得方法を労使慣行として定着していた前年度繰越分から請求する方式から、組合に十分な説明・協議を行うことなく、当該年に発生した年休分から請求する方式に変更したこと、チェックオフ協定の有効期間内にもかかわらず、同協定を破棄したことが不当労働行為に当たるとして争われた事件で、栃木地労委は、年次有給休暇取得補償を標準報酬日額により再計算し、差額を支払うこと、年次有給休暇の消化順位の変更取扱いを廃止し、前年度繰越分の優先消化の取扱い、チェックオフ協定を順守のうえ、チェックオフ再開の実施を命じ、その余の申立て(陳謝文の掲示指示)は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、平成9年10月分以降の年次有給休暇取得補償を標準報酬日額によって再計算し、既支払額との差額を申立人黒磯観光タクシー支部組合員に支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人黒磯観光タクシー支部組合員に対し、平成9年1月21日に遡及した年次有給休暇消化順位の変更取扱いを廃止し、前年度繰越分を優先消化するという取扱いとしなければならない。 3 被申立人は、従前どおりチェックオフ協定を順守のうえ、申立人黒磯観光タクシー支部組合員の賃金からのチェックオフを再開しなければならない。 4 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
0413 ストライキ(含部分・指名スト)
組合の平成9年度の賃上げ要求が、直ちに平成7年度協定書に違反する行為があったということはできず、これを理由としたストライキは正当な争議権の行使であるとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
年次有給休暇取得補償の算定方法の変更は、組合との協議を十分行わないばかりか、根拠とすべき関係規定を整備することなく行っており、また、特段この時期から実施しなければならない合理的な理由もないことから、組合に対する嫌悪感を基に、ストライキを契機として、支部組合員に不利益を与えるために行った不当労働行為であるとされた例。
1600 休暇の取扱い
年休の消化順位の変更を実施したことは、組合を嫌悪し、組合の実施したストライキに対する報復として、支部組合員に不利益を与える目的で行った不当労働行為であるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
チェックオフ協定を破棄したことは、同協定の有効期間内にもかかわらず、組合がストライキを実施したことに対する報復として、組合活動を抑制する意図の下に行われた支配介入である不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集113集131頁 |
評釈等情報 |
 
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