労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西沢生コン 
事件番号  中労委 平成 1年(不再)第58号 
中労委 平成 6年(不再)第9号 
中労委 平成 6年(不再)第10号 
再審査申立人  有限会社西沢生コン 
再審査申立人  全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 
再審査被申立人  有限会社西沢生コン 他7法人 
再審査被申立人  全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 
命令年月日  平成10年11月18日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  西沢生コン(以下「会社」という。)が(1)会社を解散し分会員を解雇した、(2)組合事務所貸与、賃上げ等に関する不誠実団交、(3)事前協議約款に反して分会書記長X1の処遇等について組合と協議せず放置していた、ことが不当労働行為であるとして申立てのあった事件。初審地労委は、いずれも不当労働行為であると判断したが、(1)は賃金相当額の60%の額の支払いを命じた。これについて、会社及び組合は、再審査を申立てたが、中労委は、(1)及び(2)のうち組合事務所等の団交については不当労働行為には当たらないとして、(2)のうち賃金等に関する団交についてはその後の団交で十分説明していること等から、救済利益はないとして初審命令を取り消した。また、(3)については初審命令を一部変更した。なお、組合は会社以外の7法人についてはこれを却下した初審命令を不服として再審査を申し立てた。中労委は、これを棄却した。 
命令主文  AⅠ 中労委平成元年(不再)第58号事件に係る初審命令主文第1項を取消し
、同項についての全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下「組合
」という。)の救済申立を棄却する。
 Ⅱ 同事件に係る初審命令主文第2項を次のとおり変更し、同項についての
その余の組合の救済申立てを棄却する。
  2 有限会社西沢生コン(以下「会社」という。)は、組合員X1に対
して、昭和62年7月分から同63年4月分(同月分については同人がストライ
キを行うまでの間に相当する額)までの間の手当相当額(月額2万円)を支払わ
なければならない。
 Ⅲ 会社のその余の再審査申立てを棄却する。
BⅠ 中労委平成6年(不再)第9号及び第10号事件に係る初審命令主文第1
項を取消し、同項についての組合の救済申立てを棄却する。
 Ⅱ 組合の再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  0203 職場闘争と業務妨害
0205 第三者・取引先等への働きかけ
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
0209 会社役員宅等への抗議行動
会社に対する組合の抗議の態様は、会社の業務を不当に混乱させ妨害するものであったり、取引先に対する会社の信用を故意に失墜させるものであり、組合が個人の私生活の平穏を不当に乱す行為をも行っていたことからすれば、組合の行為は到底正当な組合活動とはいえないとされた例。

0203 職場闘争と業務妨害
0205 第三者・取引先等への働きかけ
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
1800 会社解散・事業閉鎖
会社が解散を決定したのは、組合による正当な組合活動とは言い難い行為や会社の取引先等に対する組合の意図的な信用棄損行為等によって、取引先からの信用を喪失し、その結果、生コン出荷量が低迷し、会社の業績が極端に悪化したことに加えて、会社再建への努力も組合の協力が得られず、組合の正当な組合活動とはいえない行為も続く中で、もはや事業の継続が不可能な状態にまで追い込まれたことに主な原因があったとみるのが相当であり、会社の解散と分会員の解雇が不当労働行為には当らないとされた例。

2242 回答なし
2300 賃金・労働時間
4102 承認・合意
賃上げ及び一時金に関する団交における会社の態度が誠実であったとは認められないが、その後の団交で経営資料を組合に示し経営状況を十分説明したものの結局平行線のまま終ったことや、すでに解散し、現在清算手続中であり、事業の再開の見通しもないことを併せ考えると、もはや救済する必要がなくなったものと判断された例。

0203 職場闘争と業務妨害
2306 便宜供与
3604 労働者に落度がある場合
組合事務所等の便宜供与に関する団交については、会社は当初から繰り返し拒否する意向を表明していたが、組合は団交の中で解決しようとせず、実力をもって休憩室等を組合事務所として使用するとともに、会社業務を妨害する行為を継続して行っていたのであるから、団交における会社の態度のみを不誠実なものと非難することはできないと判断された例。

1200 降格・不昇格
2901 組合無視
4408 バックペイが認められなかった例
会社が組合と事前協議約款を締結していたにもかかわらず、分会書記長X1の処遇等に関して、組合と協議することなく、不確定なまま放置していたことは、同人を不利益に取扱い、組合の弱体化を企図したものとみるのが相当であると判断し、救済方法については、同人が解雇に至るまで無期限ストライキを行っているので、ストライキ期間中の手当相当額を控除した額の支払いを命じることが相当と判断された例。

4916 企業に影響力を持つ者
会社とグループ関係等にあった7法人が、分会員に対して指示・命令していた等、使用者性を認めるべき疎明はないとして、7法人は分会員との関係において、使用者には当たらないと判断された例。

業種・規模  その他の製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集112集799頁 
評釈等情報  中央労働時報 1999年3月 948号 15頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
徳島地労委 昭和62年(不)第4号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成 1年 5月16日 決定 
大阪地労委 平成 1年(不)第53号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成 6年 2月18日 決定 
東京地裁 平成11年(行ウ)第18号 請求の棄却  平成13年 4月25日 判決 
 
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