事件名 |
西沢生コン |
事件番号 |
東京地裁平成11年(行ウ)第18号
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原告 |
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
有限会社西沢生コン |
判決年月日 |
平成13年 4月25日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、有限会社西沢生コン(以下「会社」という。)が、
(1)全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下「組合」という。)の西沢生コン分会(以下「分会」という。)に
関わる、賃上げ・一時金の支給等に係る団交申し入れに対して、誠意をもって応じなかったこと、(2)会社の牟岐工場閉鎖に際
して、同工場の工場長であった分会書記長のX3の処遇等に関し、放置していたことが不当労働行為であるとして申立てがあった
事件(平元(不再)58)、及び会社が、(3)組合を壊滅する意図をもって会社を解散し、分会員を解雇したことが不当労働行
為であるとして会社及び会社とグループ関係にあった7法人を被申立人として、申立てのあった事件(平6(不再)9・10)で
ある。
初審徳島地労委(昭62(不)4、平元・5・16決定)は、会社に対し、(1)誠意のある団交の実施、(2)X3を同工場
長の職にあった時と同様の職務に就労させること及び工場長手当の支給を命じ、その余の組合の救済申立てを棄却したところ、会
社はこれを不服として再審査の申立てを行った。
初審大阪地労委(平元(不)53、平6・2・18決定)は、会社に対し、(3)分会員らの解雇撤回及びバックペイを命じ、
会社以外の各被申立人に対する申立ては却下し、その余の組合の救済申立ては棄却した。これを不服として組合と会社は、それぞ
れ再審査の申立てを行った。
中労委は、初審徳島地労委命令のうち、(1)誠意ある団交の実施命令については取消し、この点に関する組合の救済申立てを
棄却したほかは、会社のその余の再審査申立てを棄却し、また、初審大阪地労委命令のうち、(3)解雇撤回等の命令を取消し、
この点に関する組合の救済申立てを棄却するとともに、組合の再審査申立てを棄却した。これを不服として、組合から行政訴訟が
提起されていたものであるが、東京地裁は組合の請求を棄却した。 |
判決主文 |
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は、補助参加によって生じたものを含め、原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
0203 職場闘争と業務妨害
1800 会社解散・事業閉鎖
会社の解散及びこれに伴う組合の組合員らを含む従業員の解雇は、同組合員らの違法な争議行為や組合活動に起因する、海南工場
の操業停止及びその続行並びに操業再開後も行われた同組合員らの違法な組合活動による会社の信用毀損行為のため、生コンの販
売実勢が著しく減少して経営状況が悪化し、これに対して会社が経営再建に向けて様々な努力を尽くしたにもかかわらず、組合か
らの協力が得られなかったことなどから、会社において、もはや事業を継続し得ない状況に追い込まれたことによって余儀なくさ
れたものであるから、不当労働行為に当たるということはできない。
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
0202 会社施設の利用
0203 職場闘争と業務妨害
昭和62年4月2日付け要求事項のうち、会社施設の利用並びに就業時間内の組合活動及びこの間の賃金支給を求める部分は、組
合は会社から、事務所の貸与及び就業時間内の組合活動等の便宜供与に応じない旨回答を受けた後、海南工場内の会社施設(休憩
室)に無断で組合事務所を設置して、就業時間中に会社の事業を妨害する、違法な組合活動を継続して行っていたものであるか
ら、会社が、組合に対し、事務所の貸与及び就業時間内の組合活動等の便宜供与に応じない旨回答したことをもって、直ちに、右
便宜供与に関する交渉に応じなかったとまでいうことはできない。
2249 その他使用者の態度
昭和62年4月30日付け要求に関する団体交渉を見ると、組合員X1の配転は、同年5月19日の団体交渉において、同月中を
目処に実行する旨述べており、その余の事項についても、その都度の経営状況に照らした回答をしているものと認められることか
ら、団体交渉に誠実に応じなかったとまでいうことはできない。
2250 未妥結・打切り・決裂
昭和62年6月13日付け要求に関する団体交渉を見ると、会社は、経営状況に照らして一時金10万円との回答をし、さらには
経営状況を説明するために経営資料を提示したが、最終的には、組合が労使紛争の解決を求めて互いに譲歩せず、交渉が行き詰
まったものと認められることから、誠実に団体交渉に応じていなかったということはできない。
1200 降格・不昇格
2901 組合無視
会社が組合員X2の昭和62年7月分以降の給与から、工場長手当2万円分をカットしたことは、組合活動を理由とする不利益取
扱いとして、X2の処遇につき事前協議約款に反して組合と協議することなく、これを長期間にわたって不確定のまま放置したも
のであり、不当労働行為に当たる。
4408 バックペイが認められなかった例
本件において、昭和63年4月13日以降、X2がストライキに入っていることを考えると、昭和62年7月以降、昭和63年4
月分(同月分については、同人がストライキを行うまでの間に相当する額に限る。)までの工場長手当相当額の支払いを命じるの
が正当である。
4916 企業に影響力を持つ者
協同組合を除く西沢建材店らが、会社との間で資産及び経理の面で混同し、全体として密接不可分な一個の企業体として存してい
たこと、右各会社の職制が会社の従業員に対する指揮命令権を有していたこと、協同組合が、会社と従業員との労使関係について
直接の影響力又は支配力を有していたこと等の主張事実については、いずれについても、右事実を認めるに足りる証拠は見当たら
ず、西沢建材店らが、原告の組合員らとの関係において、労働組合法第七条にいう使用者に当たるものということはできない。
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業種・規模 |
窯業・土石製品製造業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集36集194頁 |
評釈等情報 |
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