労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  赤門自動車学校 
事件番号  宮城地労委 平成 7年(不)第4号 
宮城地労委 平成 8年(不)第1号 
申立人  宮城合同労働組合 
被申立人  株式会社赤門自動車学校 
命令年月日  平成10年12月 3日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)組合支部に対し組合加入勧誘の活動をやめるように求めたこと、(2)組合支部長X1を技能検定員から解任し、組合員4名に対し技能検定員の職務を1ヶ月停止したこと、(3)組合員に対し組合からの脱退を強要したこと、(4)組合らを誹謗中傷する内容の文書を非組合員に配布したことが争われた事件で、宮城地労委は会社に対し、(イ)組合加入勧誘活動中止要請による支配介入の禁止、(ロ)組合らを誹謗中傷する文書の作成・配布等の組合加入妨害行為による支配介入の禁止、(ハ)脱退勧奨による支配介入の禁止、(ニ)技能検定員の解任処分及び選任停止処分の撤回、原状回復及びバックペイ、(ホ)文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人及び同仙台赤門自動車学校支部の行う組合加入勧誘活動
の中止を要請する行為により、組合の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人は、申立人、同仙台赤門自動車学校支部及びその組合員を誹謗中傷
する内容の文書を作成・配布するなどして、組合加入を妨害する行為により、組
合の運営に支配介入してはならない。
3 被申立人は、申立人の仙台赤門自動車学校支部組合員に対し、組合脱退を説
得するなどの行為により、組合の運営に支配介入してはならない。
4 被申立人は、平成8年4月13日付けで行った、X1に対する技能検定員
の解任並びにX2、X3、X4及びX5に対する技能検定員の1
か月間の選任停止の各処分を撤回し、X1については、原状回復に必要な措置
をとらなければならない。
  また、被申立人は、X1に対しては前記処分の日から原状回復に至るまで
の間に受けるはずであった検定手当並びに検定手当不支給により生じた時間外勤
務手当及び休日勤務手当の差額分を、X2、X3、X4及びX5
に対しては前記処分期間中に受けるはずであった検定手当並びに検定手当不支給
により生じた時間外勤務手当及び休日勤務手当の差額分を、それぞれ速やかに支
払わなければならない。
5 被申立人は、申立人及び同仙台赤門自動車学校支部に対し、下記の文書を本
命令書の写しの交付後速やかに手交しなければならない。
                 記
  当社が、貴支部に対し組合加入勧誘活動の中止を要請したこと、組合加入を
妨害する目的で貴組合、貴支部及び組合員を誹謗中傷する内容の文書を作成・配
布したこと、並びに貴支部の組合員に対し組合脱退を説得したことは、労働組合
法第7条第3号に該当する不当労働行為であり、更にX1に対し技能検定員の
解任の処分をしたこと、並びにX2、X3、X4及びX5に対し
1か月間の技能検定員の選任停止の処分をしたことは、労働組合法第7条第1号
に該当する不当労働行為であると、宮城県地方労働委員会によって認定されまし
た。
  よって、当社は、今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
    年 月 日
  宮城合同労働組合
   執行委員長 X6殿
  同仙台赤門自動車学校支部
   支 部 長 X7殿
                      株式会社 赤門自動車学校
                       代表取締役 Y1 
判定の要旨  2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
会社が非組合員に組合との会合の状況につき事情聴取を行ったこと、Y2校長が会合における組合加入勧誘活動を問題にし、組合のX1支部長に対し、組合加入勧誘活動は職場の規律を乱し、管理権を侵害するものであるのでやめるよう繰り返し要請していたこと、及びY2校長が当時会社の取締役の地位にあったことを総合すれば、Y2校長がX1支部長に対し、組合加入勧誘活動の中止を求めた要請行為は、支配介入に該当するとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
Y2校長が作成・配布した「秘密文書」2通は、組合及び組合員を誹謗中傷するものであり、「秘密文書」その2は、非組合員の組合加入妨害の目的で作成されたことが明らかであって、それらは、使用者の言論の自由を逸脱するものである。Y2校長が、当時、会社の取締役の地位にあったことからすれば、同校長の「秘密文書」作成・配布による組合及び組合員を誹謗中傷した行為は、支配介入に該当するとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
Y3専務、Y1取締役及びY4副管理者が、組合から組合員X8の加入通知を受領した日に、組合員X8を予定していた技能教習の業務から外したうえ、昼食もとらずに夕刻まで、場所を2カ所も変えて、会談を行ったことは、会社が組合の組織拡大を食い止めようとしていたことを考慮すれば、組合を脱退することを説得するために行われたものであり、支配介入に該当するとされた例。

1302 就業上の差別
3500 処分の時期
3604 労働者に落度がある場合
X1支部長の業務中の事故について、事故発生当時の管理者が、事故を理由に何らの措置もとらなかったことは、同人の技能検定員としての適格性に特段問題がないと判断したからと推認され、事故から1年9カ月を経過していることから、仮に会社主張の通りとすれば、X1支部長は適格性を欠いたまま検定業務に携っていたこととなり、X1支部長は技能検定員としての適格性を欠くとの解任理由は合理性が認められず不当労働行為であるとされた例。

0410 目的・手続き
0413 ストライキ(含部分・指名スト)
組合は、回答日当日の団交開催を申し入れていること、会社が回答期限直前に回答期日延期を通知していること、労使関係が極度に悪化していたこと、X1支部長らはY2校長に対し、回答日正午までに口頭でも有額回答を行えばストライキを回避する旨を伝えたことなどを総合すれば、本件ストライキは団交を経たものではないが、当然に正当性を欠くとは言えないとされた例。

1302 就業上の差別
3410 職制上の地位にある者の言動
人事権の行使である以上、管理者は何の制限もなく自由に技能検定員の解任を行うことはできず、また、管理者の行為は労組法7条の「使用者」の行為とみなされるので、管理者が技能検定員を解任する人事権を濫用し、それが同法7条1号所定の不利益取扱に該当するときは、不当労働行為を構成するとされた例。

0410 目的・手続き
0413 ストライキ(含部分・指名スト)
1302 就業上の差別
副支部長らに対する技能検定員の選任停止は、スト参加を理由とするものであるが、ストは正当性を欠くとは言えないから、労働者が労働組合の正当な行為をしたことの故をもって不利益な取扱いをすることに当たり、労組法7条1号に該当する不当労働行為であるとされた例。

4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
本件の救済方法としては、X1支部長については(1)技能検定員解任の撤回と原状回復、(2)バックペイの支払いをもって、また、X2副支部長ら4名については(1)技能検定員の選任停止の撤回、(2)バックペイの支払いをもって救済することが相当であるとされた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集112集432頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成10年(不再)第48号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成13年11月21日 決定 
 
[全文情報] この事件の全文情報は約503KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。