概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(八王子信号区等) |
事件番号 |
中労委 平成 2年(不再)第44号
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申立人 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
再審査被申立人 |
国鉄労働組合東京地方本部 外5組合 |
再審査被申立人 |
X1 外4名 |
命令年月日 |
平成10年 5月13日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社の設立委員及び会社が、立川信号通信区、新宿電力区及び新宿信号区に勤務する国労の組合員23名に対し、昭和62年4月1日付兼務発令及び配転発令において、国労に所属することを理由に信号、通信、電力関係の本来業務から外したことが争われた事件で、中労委は、会社に対し、(1)組合員23名に対する上記兼務発令及び配転発令がいずれもなかったものとして取り扱うとともに、申立て後退職した2名を除く21名を本来業務に復帰させること、(2)ポストノーティス等を命じた初審命令の一部を変更し、会社に対し、(1)上記兼務発令を見直し、再配属を行うこと、(2)再配属にあたっての組合との協議及び履行報告、並びに、(3)文書手交、を命じ、その余の救済申立て及び再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 Ⅰ 初審命令主文を次のとおり変更する。 1 再審査申立人東日本旅客鉄道株式会社(以下「会社」という。)は、別表 記載の者のうち、既に同表の「設立委員による62年4月1日付配属通知・本務 /兼務」欄記載の本務に相当する職場及び職務に復帰した者、会社を退職した者 、再審査被申立人組合を脱退した者並びに死亡した者を除く再審査被申立人組合 所属の組合員について、次の措置を講じなければならない。 (1) 昭和62年4月1日付兼務発令について、改めて公正な方法で配属 の見直しを行い、是正すべきものと判定した者を、同表の「設立委員による62 年4月1日付配属通知・本務/兼務」欄記載の本務に相当する職場及び職務に復 帰させること。 (2) 上記(1)の措置を講ずるに当たり、上記配属を是正すべきものと 判定した者の就労の具体的方法、時期等について、再審査被申立人組合と協議す ること。 (3) 上記(1)による配属の見直しの経過、判定の結果及び配属が公正 に行われたことについて、それらに用いた資料を添えて、当委員会に報告するこ と。 2 会社は、本命令交付後、速やかに再審査被申立人組合に対して、下記の文 書を交付しなければならない。 記 当社が、昭和62年4月1日付で貴組合の八王子信号通信連合区分会、新宿 電力区分会及び新宿信号区分会所属の組合員に対して行った中労委平成2年(不 再)第44号事件に係る兼務発令は、不当労働行為であると中央労働委員会によ り認定されました。 今後は、法令を遵守し、正常な労使関係の形成に努めます。 平成 年 月 日 国鉄労働組合東京地方本部 執行委員長 X2殿 国鉄労働組合東京地方本部八王子支部 執行委員長 X3殿 国鉄労働組合東京地方本部八王子支部八王子信号通信連合区分会 執行委員長 X4殿 国鉄労働組合東京地方本部新橋支部 執行委員長 X5殿 国鉄労働組合東京地方本部新橋支部新宿電力区分会 執行委員長 X6殿 国鉄労働組合東京地方本部新橋支部新宿信号区分会 執行委員長 X7殿 東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1印 3 再審査被申立人らのその余の本件各救済申立てを棄却する。 Ⅱ 再審査申立人会社のその余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
国鉄改革に際し、国労組合員に対して、国鉄が62年3月10日付発令の一環として兼務発令を行い、これに基づき設立委員が62年4月1日付配属通知による兼務発令を行ったことが不当労働行為に当たると判断された例。
4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
62年4月1日付兼務発令について、改めて公正な方法で配属の見直しを行い、是正すべきものと判定した者を、本務に相当する職場及び職務に復帰させることを命じた例。
4417 条件付命令・協議命令
62年4月1日付兼務発令について、配属を是正すべき者と判定した者の就労の具体的方法、時期等について、組合と協議することを命じた例。
4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
配属の見直しの経過、判定の結果及び配属が公正に行われたことについて、それらに用いた資料を添えて、労働委員会に報告することを命じた例。
4612 P.Nに替えて他の措置を命じた例
文書掲示を命じた初審命令を文書交付に変更した例。
4911 解散事業における使用者
国鉄による兼務発令等職員の配属決定事務は、承継法人の設立委員の補助機関として行ったものであり、その過程に不当労働行為と目される行為があった場合の責任は設立委員に帰属するとされた例。
4911 解散事業における使用者
承継法人発足時の職員配属が決定される過程で設立委員が負うべき不当労働行為とされる行為の責任は、改革法第23条第5項により、承継法人発足時の職員配属に関する設立委員に係る行為の効果とともに、承継法人に帰属するとされた例。
4911 解散事業における使用者
承継法人発足時の職員配属を決定する権限は、採用行為の一環として、改革法23条によって採用手続上の最終的な権限を有する設立委員に付与されていたとされた例。
4911 解散事業における使用者
採用に関する最終的な権限を有する設立委員が負うべき不当労働行為とされる行為の責任は、改革法第23条第5項により、採用に関する設立委員に係る行為の結果とともに承継法人に帰属するとされた例。
1300 転勤・配転
62年4月1日付兼務発令により、国労組合員が本来業務から外される一方、他組合所属の組合員に対する兼務発令は行われなかったという点において、所属労働組合による著しい格差が認められるにもかかわらず、その格差の根拠を妥当なものとして是認するには、会社の疎明はなお十分であるとはいいがたいとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集111集266頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1998年8月 941号 12頁 
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