概要情報
事件名 |
大阪労働衛生センター第一病院 |
事件番号 |
中労委 平成 9年(不再)第3号
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再審査申立人 |
財団法人大阪労働衛生センター第一病院 |
再審査被申立人 |
大阪医療労働組合 |
命令年月日 |
平成10年12月16日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、第一病院が、(1)分会への掲示板の貸与の条件として、ビラ等の配布の禁止、掲示文書の内容の制限等を提示したこと、(2)組合との間で締結された確認書の団体交渉合意事項のうち、賃金表及び未配布の就業規則付属細則の配布、退職年金規約の配布並びにパートタイム制職員の就業規則の整備を履行しなかったこと、(3)分会員である臨床検査科長X1から提出された降格願を契機に、同人を科長から一般科員に降格したことがそれぞれ不当労働行為であるとして争われた事件で、初審大阪地労委は、第一病院に対して、(1)上記(2)の事項を速やかに履行すること、(2)上記(2)及び(3)についての文書交付を命じ、その余の申立てを棄却した。会社はこれを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、初審審問終結後に履行されたパートタイム制職員の就業規則に関する部分を除いて初審命令を維持し、会社のその余の申し立てを棄却した。 |
命令主文 |
Ⅰ 本件初審命令主文を次のように改める。 1 再審査申立人財団法人大阪労働衛生センター第一病院(以下「第一病院」 という)は再審査被申立人大阪医療労働組合(以下「組合」という)との間 で締結された平成6年7月12日付けの確認書の次の事項を速やかに履行しなけ ればならない。 ア 賃金表及び未配布の就業規則付属細則を各職場に配布し、併せて組合第 一病院分会(以下「分会」という)にも一部配布すること。 イ 退職年金規約を各職場に配布し、併せて分会にも一部配布すること。 2 第一病院は、組合に対し、下記の文書を速やかに交付しなければならない 。 記 平成 年 月 日 大阪医療労働組合 執行委員長 X2 殿 財団法人大阪労働衛生センター第一病院 理 事 Y1 当病院が行った下記の行為は、中央労働委員会において、労働組合法第7条 第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このよ うな行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1) 平成6年7月12日付けで貴組合と締結した確認書について、賃金表 及び未配布の就業規則付属細則の配布、退職年金規約の配布に係る各項目を履行 しなかったこと、並びにパートタイム制職員の就業規則の整備に係る項目を速や かに履行しなかったこと。 (2) 貴組合組合員X1の検査科長の職を解くに当たって、同氏を一般科員にま で降格したこと。 3 組合のその余の救済申立てを棄却する。 Ⅱ 第一病院のその余の再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
4603 その他
確認書に記載された団交での合意事項のうち、初審審問終結後に履行された「パートタイム制職員の就業規則の整備」を除いたその他の部分(賃金表、未配布の就業規則付属細則、並びに退職年金規約の配布)を速やかに履行するよう命じ、併せて文書手交を命じた例。
3103 労働協約締結をめぐる行為
3700 使用者の認識・嫌悪
病院が再審査審問終結に至るもまだ確認書の内容を履行していないことについて、賃金表の整備作業の困難さ、担当者の退職や死亡等によって履行が遅れたものとする病院側の主張は認められず、また病院は、希望する者には賃金表等を閲覧させている等主張するが、これによって履行されたものとは認められない。これに当時の労使関係を併せ考えると、病院の行為は、組合弱体化を図った不当労働行為であるとした例。
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
初審命令においては、確認書の内容不履行を7条2・3号に該当すると判断しているが、団体交渉義務は尽くされているものと考えられるので2号を適用する必要はないと判断した例。
1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3410 職制上の地位にある者の言動
3608 動機の競合
3700 使用者の認識・嫌悪
科長であるX1自らが管理者として不適任であると申し出てきたので科長から3段階下位の一般科員に降格したとの病院の主張は認められず、当時の労使関係やビラまき時のX3次長の発言から考えると、病院がX1を3段階降格したことは同人の組合活動を理由とした不当労働行為であるとした例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集112集844頁 |
評釈等情報 |
 
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