概要情報
事件名 |
ミヨシ物流 |
事件番号 |
東京地労委 平成 9年(不)第8号
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申立人 |
総評・全日本建設運輸連帯労働組合横浜合同支部 |
申立人 |
総評・全日本建設運輸連帯労働組合 |
被申立人 |
ミヨシ物流株式会社 |
命令年月日 |
平成10年11月24日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合の申し入れた団交に対して、組合規約を提出しないことを理由に団交拒否したこと及び分会長らに脱退勧奨をしたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、東京地労委は、「未払い賃金の支払いおよび賃金体系の改善等」に関する団交応諾、脱退勧奨の禁止並びに文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人ミヨシ物流株式会社は、申立人総評・全日本建設運輸連帯労働組合 および同総評・全日本建設運輸連帯労働組合横浜合同支部が申し入れた「未払い 賃金の支払いおよび賃金体系の改善等」に関する団体交渉を、組合規約を提出し ないことを理由に拒否してはならず、速やかに団体交渉に応じなければならない 。 2 被申立人会社は、代表者自らまたは職制を通じて、申立人分会員らに対し、 申立人組合からの脱退を勧奨してはならない。 3 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル ×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、下記の内容を楷書で 明瞭に墨書して、本社の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならな い。 記 年 月 日 総評・全日本建設運輸連帯労働組合 中央執行委員長 X1殿 総評・全日本建設運輸連帯労働組合横浜合同支部 執行委員長 X2殿 ミヨシ物流株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、東京都地方労働委員会において不当労働行為で あると認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 記 (1) 貴組合が申し入れた「未払い賃金の支払いおよび賃金体系の改善等」 に関する団体交渉を、組合規約を提出しないことを理由に拒否し、貴組合の団体 交渉権を阻害したこと。 (2) 平成8年9月11日と同年11月6日にはY1社長が、そして同年 12月2日と同月12日にはY2総務部長が、貴組合員らに対し、貴組合か らの脱退を勧奨したこと。 (注:年月日は掲示した日を記載すること。) 4 被申立人会社は、前記第1項および第3項を履行したときは、速やかに当委 員会に文書で報告しなければならない。 |
判定の要旨 |
2210 組合員名簿・組合規約不提出
会社は、組合規約の提出がなくとも、組合との団交に応じ協約を締結することに支障がないと理解していたと認められ、規約提出がなされないことを理由に団交に応じないことには正当理由がないとされた例。
2115 上部団体存在否認
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
会社が、組合規約の提出に固執したことは、会社が組合側に提出する文書の名宛人をすべて分会のみとしていることなどからみて、会社が組合の上部団体を嫌悪し排除しようとしていたことは明らかであり、組合の団体交渉権を阻害し、組合選択の自由を侵害するものであるから支配介入行為にも当たるとされた例。
2247 解決済
会社は、就業規則の変更等により団交事項の問題は解決したとするが、会社が組合にこれを説明したとの疎明はなく、問題解決済みとして団交に応じないことは、正当な理由のない団交拒否であり不当労働行為に当たるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社社長の組合員に対する発言は、組合上部団体を嫌悪し脱退を勧奨したもので、また会社部長の発言は、それに加えて脱退に伴う経済的利益をも提示したもので、支配介入行為と認められるとされた例。
4617 その他
ポスト・ノーティスは、不当労働行為の救済方法として既に定着しており、ポスト・ノーティスを命ずるか否か等は労働委員会の裁量に委ねられているとされた例。
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業種・規模 |
運輸に附帯するサービス業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集112集372頁 |
評釈等情報 |
 
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