概要情報
事件名 |
日本ジークリング |
事件番号 |
静岡地労委 平成 8年(不)第5号
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申立人 |
全国化学日本ジークリング労働組合 |
被申立人 |
日本ジークリング株式会社 |
命令年月日 |
平成10年10月13日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社管理職らが組合員にストライキ当日の就労要請及び組合活動に対する発言を行ったこと、賃上げ等に係る会社の一連の団体交渉での対応が誠実性を欠くものであったこと、並びに会社が昇給率の差により組合員と非組合員の間に格差を生じさせたこと等が不当労働行為にあたるとして申立てのあった事件で、静岡地労委は組合への支配介入の禁止、誠実団交応諾を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、申立人組合の行う正当な争議行為に際し、組合員に対して就労の呼びかけを行ったり組合を非難するなどして、組合の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人会社は、申立人組合との団体交渉において、誠意をもって話し合いを行わなければならない。 3 申立人組合のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
工場長の就労要請は、組合員であることを承知の上で、ストライキ前日に個別に行われたものである。また、会社職制の言動についても、気の許せる間柄であったとしても、組合員にだけボーナスが未支給の時期に組合の姿勢を批判し脱退を勧奨する発言を行ったもので、ともに組合の団結に影響を与え自主性を阻害するものであり、支配介入にあたる行為と認められるとされた例。
2901 組合無視
賃上げに関する団交が予定されていながら、それ以前に社内に決定事項として昇給率を通知したことは、組合の存在を無視するものであり、組合の団結権に影響を与え自主性を損なうものであるから、支配介入行為と認められるとされた例。
2620 反組合的言動
会社が組合に対し、ストライキを打ったことを詫びる書面の提出を求める発言をしたことは、交渉の厳しいやりとりの中で、個人ではなく組織としての組合になされたもので、組合の自主性を阻害する違法な言動であったとは認められないとされた例。
2245 引き延ばし
組合がスト中に会長出席による団交を求め、会社がこれを拒否したことは、会社の事情として交渉を受けられなかった相当な理由が存在したと認められ、違法な団交拒否とは認められないとされた例。
2240 説明・説得の程度
2249 その他使用者の態度
団交において、会社には、組合要求が受け入れられない理由や賃上げ回答を切り下げる根拠等について組合に十分説明を尽くすなどの対応を行ったことが認められず、逆に、組合には受け入れがたい要求を次々に提示するなど、会社の交渉態度には誠実さに欠けるところがみられ、団交拒否に当たると認められるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
会社は組合の自由な選択を阻害したものではなく、請求する救済内容のうちの昇給額の差額支払いを組合が取り下げたことからも、低い昇給率を選択したのは組合自らの判断であり、組合員を差別的に取り扱ったものとは認められないとされた例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集112集109頁 |
評釈等情報 |
 
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