労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東日本旅客鉄道(神奈川配属差別) 
事件番号  中労委 昭和63年(不再)第60号 
再審査申立人  東日本旅客鉄道株式会社 
再審査被申立人  国鉄労働組合 
再審査被申立人  国鉄労働組合東京地方本部 
再審査被申立人  国鉄労働組合東京地方本部横浜支部 
再審査被申立人  国鉄労働組合東京地方本部国府津支部 
命令年月日  平成10年 3月18日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  本件は、日本国有鉄道会社の設立委員及び会社が、国鉄労働組合東京地方本部横浜支部の弁天橋電車区分会外2分会及び同国府津支部の国府津運転所分会外1分会所属の組合員207名に対し、昭和62年4月1日付け配属発令において、本務である運転業務から外したことが争われた事件で、中労委は、設立委員及び会社による配属は不当労働行為であるとし、会社に不当労働行為責任が帰属するとしたうえで、(1)申立人組合所属の組合員196名に対する配属発令を動労等他組合との差別を解消する限度で取り消し、原職に復帰させること、(2)復帰の具体的方法について、申立人組合と協議、調整すること、(3)運転士組合員の配属に関し、他組合に所属する運転士組合員と差別することによって、組合の運営に支配介入してはならないこと、(4)誓約書の掲示を命じた初審判断を結論において支持し、救済方法については、初審命令の主文の一部を変更したほかは、本件再審査申立てを棄却した。 
命令主文  Ⅰ 初審命令主文を次のとおり変更する。
 1 再審査申立人東日本旅客鉄道株式会社(以下「会社」という)は、別表
1~4記載の者のうち、既に、同表の「国鉄当時の勤務箇所・職名」欄の運転士
の本務に復帰した者を除く再審査申立人組合所属の組合員について、改めて公正
な方法で昭和62年4月1日付け配属発令及び兼務発令の見直しを行い、是正す
べきものと判定した者について、次の措置を講じなければならない。
  (1) 配属を是正すべきものと判定した者に対しては、同表記載の「国鉄
当時の勤務箇所・職名」欄の勤務箇所における運転士の本務に復帰させ、その際
、他組合の組合員と差別することなく勤務指定を行うこと。
  (2) 上記(1)の措置を講ずるに当たり、上記配属を是正すべきものと
判定した者の就労の具体的方法、時期等について、再審査被申立人と協議するこ
と。
  (3) 上記(1)による配属の見直しの経過、判定の結果並びに配属及び
勤務指定が公正に行われたことについて、それらに用いた資料を添えて、当委員
会に報告すること。
 2 会社は、再審査被申立人組合所属の組合員に対する今後の配属ないし勤務
指定について、組合員であることを理由に不利益に取り扱うことにより、再審査
被申立人の組合運営に支配介入してはならない。
 3 会社は、本命令交付後、速やかに再審査被申立人に対して、下記の文書を
交付しなければならない。
               記
   当社が、貴組合所属の組合員に対して行った昭和62年4月1日付け配属
発令及兼務発令は、不当労働行為であると中央労働委員会により認定されました

   今後は、法令を遵守し、正常な労使関係の形成に努めます。
      平成  年  月  日
    国鉄労働組合
      執行委員長 X1 殿
    国鉄労働組合東京地方本部
      執行委員長 X2 殿
    国鉄労働組合東京地方本部横浜支部
      執行委員長 X3 殿
    国鉄労働組合東京地方本部国府津支部
      執行委員長 X4 殿
                    東日本旅客鉄道株式会社
                      代表取締役  Y1 印
 4 再審査被申立人のその余の各救済申立てを棄却する。
Ⅱ 会社のその余の再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  4911 解散事業における使用者
国鉄及び設立委員が、会社の発足に向けて行った配属発令及び兼務発令が不当労働行為である場合、その不当労働行為の責任は会社に帰属するとされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社発足時に、国労組合員を駅営業係、要員機動センター、関連事業部等への配属を命じたことについて、このような所属する組合の如何によって存在する配属における著しい格差を肯認する会社の疎明は不十分であること、この配属によって、技能上、精神上、経済上の不利益が認められることなどから、国労組合員であることを理由とする不利益取扱いに当たり、かつ、そのことによって国労の弱体化を企画した支配介入に当たるとされた例。

4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
4417 条件付命令・協議命令
改めて公正な方法で配属の見直しを行い、是正すべきものと判定した者に対しては、他組合と差別することなく国鉄当時の勤務箇所における運転士の本務に復帰させること及びその就労の具体的方法、時期等について国労らと協議することを命じ、併せて文書の交付を命じた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集110集807頁 
評釈等情報  中央労働時報 1998年11月 944号 15頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
神奈川地労委 昭和62年(不)第13号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和63年10月20日 決定 
 
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