概要情報
事件名 |
内山工業(支配介入) |
事件番号 |
中労委 平成 5年(不再)第2号
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再審査申立人 |
内山工業株式会社 |
再審査被申立人 |
全国化学労働組合協議会内山工業労働組合 |
命令年月日 |
平成10年 3月 4日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)会社の役員及び管理職らの脱退勧奨、(2)組合員の営繕緑化班への応援に当たり組合と事前協議を行わず、応援業務からの復帰に際し脱退者を早期に復帰させたこと、(3)争議行為の誹謗中傷、(4)集会施設や構内放送設備の利用について不利益変更が争われた事件で、脱退勧奨等の禁止、支配介入の禁止、集会施設等の利用等についての組合との協議及び文書手交を命じた初審命令のうち、上記(2)の事前協議については不当労働行為の成立を認めず、上記(2)に係る文書手交の一部を変更し、その余の再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
Ⅰ 初審命令主文第4項記中「岡山県地方労働委員会」を「中央労働委員会」に改め、同項記の1中第二段落を次のとおり変更する。 「また、当社が、昭和63年6月初旬から同年10月初旬までの間応援の指示によって営繕緑化・バリ取りなどの業務に就かせた貴組合員を、従前の職場へ復帰させるに当たり、その時期の先後を利用して、貴組合から脱退すること及び貴組合以外の他の労働組合へ加入することを奨励・勧誘したこと。」 Ⅱ その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
本件労使関係及び会社の役員、管理職らが組合員らに対してなした言動の態様等を総合すると、それらの言動は、組織的に組合からの脱退の働きかけと新労組への加入勧奨を実施したものといわざるを得ず、これらの行為は労組法7条3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2216 その他
営繕緑化班への応援配置にあたって、会社が組合と事前に協議を行わなかったこと自体は、当時の状況等からみて、不当労働行為とまでは認められないとされた例。
1302 就業上の差別
2900 非組合員の優遇
応援配置を早く解除された者は解除に前後して組合を脱退している一方で、脱退しない者は解除の時期が遅くなっていること、応援配置が開始されて間もない時期に組合が分裂し、新労組が結成された状況下で会社管理職らの脱退勧奨等が行われていた労使事情等を総合すると、会社は組合に留まる組合員らの応援解除に当たって不利益に取り扱い、応援解除時期の先後によって組合員らに動揺を与え、脱退を促したもので、労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2900 非組合員の優遇
当時の一連の状況からみて、会社の住宅ローン切り換え記事の掲載は、組合員に対する脱退勧奨等の一環としてなされたものとみるのが相当で不当労働行為であるとされた例。
2620 反組合的言動
会社社内報の表現の中には組合執行部に対する侮蔑、組合に対する誹謗中傷にわたるものもみられ、複数組合を抱えた会社の各組合に対する公正・公平に対処すべき態度としては、偏って報道している姿勢がうかがわれ、労使の対立状態においてなされたものであっても行き過ぎがあり、社内放送での社長発言も穏当を欠き妥当でなく、社内報の記事等は組合に対する支配介入で、労組法7条3号の不当労働行為であるとされた例。
1600 休暇の取扱い
1603 組合活動上の不利益
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3020 組合活動への制約
集会施設の使用、構内放送設備の利用、特別休暇の許可、組合関係者の会社構内立ち入り制限について、会社は、組合の組合活動を制約する意図で不利益に変更したもので、労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
輸送用機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集110集705頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1998年5月 938号 15頁 
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