労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  県南交通 
事件番号  中労委 平成 7年(不再)第45号 
再審査申立人  県南交通株式会社 
再審査被申立人  全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会 
再審査被申立人  全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会県南交通労働組合 
命令年月日  平成10年 2月18日 
命令区分  再審査棄却(初審命令をそのまま維持) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)組合が上部団体を変更したことを理由として従来のユニオン・ショップ協定は失効している旨の確認書を交付したこと、(2)社長出席を求めた団交申入れを拒否したこと、(3)福祉タクシー・チケット手数料の還元を取り止める旨の通告及び特別休暇を廃止する旨の通告を行ったこと、(4)委員長X1及び組合員X2に対するタクシーの担当車外しを行ったことが争われた事件で、中労委は、(1)ユニオン・ショップ協定は失効している旨の確認通知の撤回、(2)実質的権限を持つ者の団交応諾、(3)福祉タクシー・チケット手数料還元取り止め通告及び特別休暇廃止通告の撤回と原状回復、(4)委員長X1及び組合員X2に対する担当車外し処分がなされなかったと同様の状態への回復、(5)文書手交(前記(1)ないし(4)に対して)を命じた初審命令を維持して、会社の再審査申立てを棄却した。 
命令主文  再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  3103 労働協約締結をめぐる行為
会社がユニオン・ショップ協定その他の協定の失効の確認書を組合に交付した行為は、上部団体変更後、組合を嫌悪していた会社が、組合の埼玉陸運支局への定時制乗務員に関する要請行動を契機に、ユニオン・ショップ協定その他の協定が失効している旨の確認書を組合に交付することにより、組合が同協定によって獲得していた有利な地位を一方的に否定しようとしたものであるとみるのが相当であり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた例。

2248 実質的権限のない交渉担当者
本件においては、Y1社長又は実質的権限を有する者が団体交渉に出席して、ユニオン・ショップ協定その他の協定の失効及びそれに伴う措置について理由を説明すべきであるにもかかわらず、会社が、Y1社長が出席することが条件であれば、団体交渉には応じられないとして団体交渉を拒否したことは、正当な理由なく団体交渉を拒否したものと言わざるをえず、これを労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3102 争議対抗手段
会社は、福祉タクシー・チケット手数料還元の取り止め及び特別休暇の廃止の措置をすべての乗務員を対象に、組合のストライキに対する報復として行ったことは明らかで、会社が行ったこれらの行為は、ストライキの報復をすべての乗務員に及ぼすことで、乗務員の批判を組合に集中させることにより、将来、組合が行うであろうストライキ権の行使を抑制する意図の下になされたものと認めるのが相当であり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた例。

1302 就業上の差別
2901 組合無視
X1及びX2についての担当車外しは、会社が、組合の執行委員長であり一連の労働組合活動の中心的役割を果たしていたX1を嫌悪し、営業成績が悪いことを理由として組合員であるX2とともに行ったもので、これは、組合員に対する不利益取扱いであるとともに、そのことによって他の組合員を威嚇し、組合の弱体化を企図したものと認められ、これを労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集110集672頁 
評釈等情報  中央労働時報 1998年12月 945号 11頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
埼玉地労委 平成 6年(不)第2号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成 7年 9月28日 判決 
 
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