概要情報
事件名 |
県南交通 |
事件番号 |
埼玉地労委 平成 6年(不)第2号
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申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会 |
申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会県南交通労働組合 |
被申立人 |
県南交通 株式会社 |
命令年月日 |
平成 7年 9月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)上部団体の変更を理由にユ・シ協定が失効している旨の確認書を組合に交付したこと、(2)所長代理が団体交渉に社長出席では受けられないと回答したこと、(3)福祉タクシーチケットの手数料還元の取り止め及び特別休暇の廃止を通告したこと、(4)執行委員長X1及び組合員X2に対し、担当車外しをしたことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 埼玉地労委は、(1)ユ・シ協定の失効確認通知の撤回、(2)社長又は実質的権限を有する者の出席による誠意ある団体交渉の実施、(3)手数料還元の取り止め及び特別休暇の廃止通告の撤回、(4)執行委員長X1及び組合員X2に対し、担当車外しがなかったと同様の状態の回復、(5)文書手交(上記(1)から(4)に関して)を命じ、その余の申立て(陳謝文の掲示)は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会県南交通労働組合に 対して、平成 5年12月 7日に手交した、ユ・シ協定その他すべての協定は失効している旨の 確認通知を撤回しなければならない。 2 被申立人は、平成 6年 5月30日に申立人全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会 県南交通労働組合から申入れのあった団体交渉事項について、代表取締役又は実質的権限を 有する者を出席させて、誠意をもって団体交渉を行わなければならない。 3 被申立人は、申立人全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会県南交通労働組合に 対して、平成 6年 4月 1日からの福祉タクシー・チケット手数料還元の取りやめ及び同月15 日からの特別休暇の廃止についての通告を撤回し、原状に復さなければならない。 4 被申立人は、申立人全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会県南交通労働組合執 行委員長X1及び同組合員X2に対して平成 6年 6月 3日に行った担当車外し処分がなされ なかったと同様の状態を回復させなければならない。 5 被申立人は、申立人らに対し、下記文書を本命令書受領の日から 5日以内に手交しなけれ ばならない。 記 平成 年 月 日 全国自動車交通労働組合総連合会 埼玉地方連合会 執行委員長 X3 様 全国自動車交通労働組合総連合会 埼玉地方連合会県南交通労働組合 執行委員長 X1 様 県南交通株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、埼玉県地方労働委員会において、不当労働行為であると認定 されました。 今後は、このような行為を繰り返さないよう誓約いたします。 記 (1)全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会県南交通労働組合に対して、平成 5年 12月7日付で、ユ・シ協定その他すべての協定は失効している旨の通知をしたこと。 (2)平成 6年 5月30日に、全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会県南交通労働組 合から申入れのあった団体交渉について、代表取締役又は実質的権限を有する者を出席 させるなど誠実な対応をせず、これを拒否したこと。 (3)全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会県南交通労働組合に対して、平成 6年 4月 1日からの福祉タクシー・チケット手数料還元の取りやめ及び同月15日からの特別休 暇の廃止について通告し、実施したこと。 (4)全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会県南交通労働組合執行委員長X1及び 同組合員X2に対して、平成 6年 6月 3日に担当車外し処分をしたこと。 6 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
3103 労働協約締結をめぐる行為
会社が組合に対して、ユ・シ協定その他の協定が失効している旨の通知をしたことは、組合の陸運支局への要請行動を契機に行われたもので、協定が失効していないのに、これを一方的に否定しようとするものであって、支配介入に当たる
2248 実質的権限のない交渉担当者
会社は実質的権限のある者を団体交渉に出席させておらず、社長には協定の失効の理由を十分説明する義務があるにもかかわらず、社長を出席させない会社の態度は、団体交渉拒否に当たるとされた例
2901 組合無視
福祉タクシー・チケット手数料還元の取り止め及び特別休暇の廃止は、ストを行った組合に報復するためであり、将来のスト権行使を抑制するためのものであって、7条3号に該当するとされた例
2901 組合無視
組合の執行委員長ほか1名に対する担当車外しの処分は、同人らを嫌悪しの不利益取扱いであり、それは同時に他の組合員に対する威嚇となるから、同時に組合に対する支配介入であるとされた例
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集103集106頁 |
評釈等情報 |
 
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