概要情報
事件名 |
東豊観光(配転) |
事件番号 |
中労委 平成 5年(不再)第36号
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再審査申立人 |
東豊観光株式会社 |
再審査被申立人 |
自交総連東豊観光労働組合 |
命令年月日 |
平成10年 1月21日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合員X1を南営業所整備課へ配置転換し、観光業務に従事させなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、中労委は、会社に対し、(1)配置転換がなかったものとして取り扱うこと、(2)観光業務を主体とする業務に従事させること、(3)観光業務に従事していれば得たであろう残業手当その他の手当合計相当額及び寸志、紹介料収入合計相当額の支払い等を命じた初審命令の一部を変更し、その余の再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
Ⅰ 初審命令主文を次のとおり変更する。 1 再審査申立人は、再審査被申立人組合員X1を他の乗務員と差別する ことなく、観光業務を主体とする業務に従事させなければならない。 2 再審査申立人は、再審査被申立人組合員X1に対し、走行手当、宿泊 手当及び残業手当(月額54,000円)並びに寸志、紹介料収入(月額68, 000円)について、平成3年6月18日から同年9月9日までの期間における 日数に相当する額(それぞれ151,200円、190,344円)及びこれら に初審命令交付日から年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 3 再審査申立人は、再審査被申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しな ければならない。 記 年 月 日 自交総連東豊観光労働組合 執行委員長 X2殿 東豊観光株式会社 代表取締役 Y1 印 当社が貴組合員X1氏に対し南営業所整備課への配置転換を命じたこ とは、中央労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する 不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さない ようにいたします。 4 再審査被申立人のその余の救済申立てを棄却する。 Ⅱ 再審査被申立人その余の再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
1300 転勤・配転
本件配置転換は、組合に対して一貫して嫌悪の情を抱き続けていた会社が、X1に対して外部から苦情があったことを口実として、同人を観光業務から外すという精神的不利益とともに、諸手当等を減少させ経済的に不利益に取り扱うことにより、組合員に動揺を与え、組合を弱体化する意図のもとに行った労組法7条1号及び3号の不当労働行為であるとされた例。
4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
4413 給与上の不利益の場合
配置転換による残業手当等の減少に関する救済としては、X1が整備課の業務に従事していた間について、観光業務を主体とする業務に従事していれば得られたであろう残業手当等との差額を支払うことを命じるのが相当であり、また、同人が運転業務に戻って以降については、会社が同人を他の乗務員と差別することなく、観光業務を主体とする業務に従事させることをもって足りるとされた例。
4413 給与上の不利益の場合
寸志、紹介料収入は、会社が負担して支払うものではないが、事実上乗務員の賃金を補完するものとして、会社の賃金政策に組み込まれ、賃金と同様の機能を果たしているものとみるのが相当であり、会社の不当労働行為により寸志、紹介料相当額が減収となっている場合、その支払いを命じることは不利益取扱いを受けた組合員に対する救済命令として労働委員会の裁量の範囲に属するとされた例。
4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
4413 給与上の不利益の場合
配置転換による寸志、紹介料収入の減少に関する救済としては、X1が整備課の業務に従事していた間について、観光業務を主体とする業務に従事していれば得られたであろう寸志、紹介料収入相当額を支払うことを命じるのが相当であり、また、同人が運転業務に戻って以降については、会社が同人を他の乗務員と差別することなく、観光業務を主体とする業務に従事させることをもって足りるとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(バス専業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集110集644頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1998年3月 933号 16頁 
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