概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(長野配属) |
事件番号 |
中労委 平成 1年(不再)第94号
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再審査申立人 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
再審査被申立人 |
国鉄労働組合 |
再審査被申立人 |
国鉄労働組合長野地方本部 |
命令年月日 |
平成 8年10月 2日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
昭和62年4月1日のJR会社発足時に国労組合員216名について、長野支部の営業課駐在への配属及びセールスセンターへの担務指定を行ったこと(以下「本件配属等」という。)、<2>会社が国労組合員3名に対して、1か月間の日勤勤務に指定したこと、<3>長野支社の助役らが国労組合員に対して国労からの脱退を求めたりしたことが不当労働行為であり、本件配属等が不当労働行為である場合、その責任は会社が負うべきものとして争われた事件で、初審長野地労委は、会社のこれらの行為は不当労働行為に当たるとし、<1>について、会社に不当労働行為責任が帰属するとしたうえで、国労組合員216名を他組合との差別を解消する限度で「国鉄当時の本務」相当職に就労させ、他組合員との差別のない担当指定を行うこと及びこれらの措置を講ずるに当たっての国労との協議又は団体交渉の実施、<3>について支配介入の禁止、<1>ないし<3>について文書手交及び文書掲示を命じた。 中労委は、当事者適格については、本件配属等に関して不当労働行為が成立する場合には会社はその責任が帰属するとして、初審長野地労委の判断を結論において支持し、救済方法については、初審命令の主文の一部を変更したほかは、本件再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
I 本件初審命令主文を次のように改める。 1 再審査申立人東日本旅客鉄道株式会社(以下「会社」という。)は、別表 1及び別表2記載の組合員について、改めて公正な方法で配属及び担務指定の見 直しを行い、是正すべきものと判定した者について、次の措置を講じなければな らない。 (1) 別表1記載の組合員107名のうち、配属を是正すべきものと判定 した者に対しては、同表記載の「国鉄当時の本務」に相当する職名で、その業務 に就労させ、その際、他組合の組合員と差別することなく担務指定を行うこと。 (2) 別表2記載の組合員67名のうち、担務指定を是正すべきものと判 定した者に対しては、他組合の組合員と差別することなく担務指定を行うこと。 (3) 上記(1)及び(2)の措置を講ずるに当たり、配属及び担務指定 を是正すべきものと判定した者の就労の具体的方法、時期等について、再審査被 申立人らと協議しなければならない。 2 会社は、上記第1項による配属及び担務指定の見直しの経過、判定の結果 並びに配属及び担務指定が公正に行われたことについて、それらに用いた資料を 添えて、当委員会に報告しなければならない。 3 会社は、次の行為により、再審査被申立人らの組合運営に支配介入しては ならない。 (1) 再審査被申立人らに所属する組合員に対して、再審査被申立人らか らの脱退を求めること。 (2) 再審査被申立人らに所属する組合員以外の従業員に対して、再審査 被申立人らに加入しないよう求めること。 4 会社は、本命令交付後、速やかに再審査被申立人らに対して、次の文書を 交付しなければならない。 記
当社が、<1>昭和62年4月1日の配属において、貴組合に所属する組合員 について、長野支社の営業課駐在への配属及びセールスセンターへの担務指定を 行ったこと、<2>長野運転区において、貴組合に所属するX1、X2、X3の 3名に対して、昭和62年4月1日から1か月間の日勤勤務を指定したこと、< 3>貴組合に所属するX4及びX5に対して、貴組合か らの脱退を求め、又は貴組合に加入しないよう求めたことは、いずれも不当労働 行為であると中央労働委員会により認定されました。 今後は、法令を遵守し、正常な労使関係の形成に努めます。
平成 年 月 日
国鉄労働組合 執行委員長 X6 殿 国鉄労働組合長野地方本部 執行委員長 X7 殿 東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1(印)
5 再審査被申立人らのその余の本件各救済申立てを棄却する。 II 会社のその余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社発足時に、国労組合員を集中的に長野支社の営業課駐在へ配属及びセールスセンターへ担務指定したことについて、このような所属する組合の如何によって存在する配属等における著しい格差を肯認するには会社の疎明は不十分であること、上記配属等によって技能上、経済上等の不利益が認められることなどから、国労組合員であることを理由とする不利益取扱いに当たり、かつ、そのことによって国労の弱体化を企図した支配介入に当たる。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
運転区に所属する国労組合員3名を、昭和62年4月1日から1カ月間の日勤勤務に指定したことは、全く異例の措置であり、業務上の必要性も認められないことなどから、国労所属の故に行われた不利益取扱いに当たるとともに、国労の弱体化を企図した支配介入に当たる。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
助役らの国労組合員X4らに対する言動は、国労を非難したり、国労復帰を非難する趣旨を含んでいることなどから、国労からの脱退を勧奨したものであり、国労の弱体化を企図した支配介入に当たる。
4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
改めて公正な方法で配属等の見直しを行い、是正すべきものと判定した者に対しては、他組合と差別することなく、国鉄当時の本務に相当する職務への配属等を行うこと及びその就労の具体的方法、時期等について国労らと協議することを命じ、併せて文書の交付を命ずる。
4911 解散事業における使用者
国鉄及び設立委員が、会社の発足へ向けて行った配属等が不当労働行為である場合、その不当労働行為責任は会社に帰属する。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集106集483頁 |
評釈等情報 |
 
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