概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(長野配属) |
事件番号 |
長野地労委 昭和62年(不)第1号
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申立人 |
国鉄労働組合 |
申立人 |
国鉄労働組合長野地方本部 |
被申立人 |
東日本旅客鉄道 株式会社 |
被申立人 |
東日本旅客鉄道 株式会社長野支社 |
命令年月日 |
平成 1年 8月10日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合員227名を本来業務から外して、セールスセンター等の業務ないし職場への配属命令、勤務箇所発令、職名発令を行ったこと、(2)組合に対して、助役等を通して、脱退勧奨を行ったこと、(3)組合員3名にトイレ掃除等の雑務を行う日勤勤務指定を行ったことが争われた事件で、(1)上記227名のうち136名に対しては、国鉄当時の本務への復帰及び他組合と差別のない担務指定、80名に対しては、他組合との差別のない担務指定、上記本務復帰及び担務指定に係る団交応諾、(2)職制を通しての脱退勧奨等による支配介入の禁止、(1)(2)(3)に関する文書手交及び掲示を命じ、(1)のうち11名は本務復帰等により不利益が解消されているとして棄却し、また支社に対する申立ては却下した。 |
命令主文 |
1.被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、申立人らに所属する別表1及び同2記載の組合員に 対して、次の措置を講じなければならない。 (1)別表1記載の組合員 136名に対しては、他組合との差別を解消する限度で、同表記載 の「国鉄当時の本務」に相当する職名で、その業務に就労させ、その際、他組合の組合 員と差別することなく担務指定を行うこと。 (2)別表2記載の組合員80名に対しては、他組合の組合員と差別することなく担務指定を行 うこと。 2.被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、前項の実施に当たり、申立人国鉄労働組合又は申立 人国鉄労働組合長野地方本部から、協議又は団体交渉の申入れがあった場合は、誠意をもっ てこれに応じなければならない。 3.被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、職制による次の行為により、申立人らの組合運営に 支配介入してはならない。 (1)申立人らに所属する組合員に対して、組合からの脱退を求めること。 (2)申立人らに所属する組合員以外の従業員に対して、申立人らに加入しないよう求めるこ と。 4.被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、本命令書受領後速やかに、下記の文書を申立人らに 手交するとともに、同文の写しを、長野支社の現業機関における従業員向け掲示板等の従業 員の見やすい場所に7日間掲示し、併せて同文を縦1m×横1.5mの白色木板に、楷書で明瞭 に墨書して、長野支社入口の従業員の見やすい場所に毀損することなく7日間掲示しなけれ ばならない。 記 当社にかかわる次の行為は、長野県地方労働委員会により、不当労働行為であると認定さ れました。当社は、今後このような行為を行わないようにいたします。 (1)昭和62年 4月 1日の配属において、貴組合所属の組合員を営業課駐在及びセールスセン ターに集中的に配置したこと。 (2)長野運転区において、貴組合に所属するX1、X2、X3の3名に対して、昭和62年 4 月 1日から、1か月間の日勤勤務を指定したこと。 (3)貴組合に所属するX4及びX5に対して、貴組合からの脱退を求め、又は貴組合に加入 しないよう求めたこと。 平成 年 月 日 国鉄労働組合 執行委員長 X6 殿 国鉄労働組合長野地方本部 執行委員長 X7 殿 東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1 5.申立人らの被申立人東日本旅客鉄道株式会社長野支社に対する申立てを却下する。 6.申立人らのその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
会社が昭和62年4月1日付の配属において、国労組合員を営業課駐在及びセールスセンターに集中的に配置したことが不当労働行為であるとされた例。
1300 転勤・配転
会社が、昭和63年4月の組織改正に併せて、同年4月9日付で行った兼務解消を伴う人事異動それ自体が不当労働行為であるとまではいえないとされた例。
1300 転勤・配転
運転区に所属する国労組合員3名を、昭和62年4月1日付から1カ月間日勤勤務を指定したことが不当労働行為であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社の指導助役が国労組合員X4に対して行った発言が、同人の国労復帰を非難した支配介入に当たるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社の内勤助役の国労組合員X5に対する発言が、同人の国労復帰を思いとどませる意図をもって行った支配介入であるとされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
会社の指導助役の国労組合員X4に対する発言が、会社の意を体して、同人の国労復帰を翻意させる意図で行った支配介入であるとされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
会社の内勤助役の国労組合員X5に対する発言が、会社の意を体して行った支配介入であるとされた例。
3900 「不利益の範囲」
本件配属及び担務指定の対象者は精神的、経済的不利益を被ったものと認めた例。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
本件対象者中には、昭和63年 6月22日の時点において、出向、地域間異動に応じている者、病欠等で現に就労していない者もいるが、本件申立の救済利益が失われていないとして、是正の対象者に含めた例。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
本件対象者中11名は、昭和63年6月22日時点において、昭和62年4月1日付配属による不利益が解消されていると認められるとして、是正の対象から除外した例。
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
申立人らが取消しを求めているのは、設立委員による昭和62年3月16日付の配属通知ではなく、会社発足時における配属であることから、この配属の是正を会社に命じうるとされた例。
4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
会社発足時の配属における不当労働行為によって生じた不利益を是正するために、国鉄当時の本務系統の業務への就労を命ずることは当然になしうるとされた例。
4421 文書掲示等を命じた例
本件日勤勤務指定は、1カ月のみであり、昭和62年5月以降行われていないことから、文書掲示を命じた例。
4905 経営補助者
支社は、企業主体である法人の組織の構成部分に過ぎず、名宛人として救済命令を発することはできないとして、支社に対する申立てを却下した例。
4911 解散事業における使用者
国鉄が行った昭和62年3月10日まで人事異動は、設立委員に代行して行ったもので、国鉄の行った本件配属及び担務指定の責任は新会社が負うべきものとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集87集257頁 |
評釈等情報 |
 
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