概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(中原電車区) |
事件番号 |
中労委 平成 1年(不再)第12号
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再審査申立人 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
再審査被申立人 |
国鉄労働組合東京地方本部横浜支部 |
再審査被申立人 |
国鉄労働組合東京地方本部 |
再審査被申立人 |
国鉄労働組合 |
命令年月日 |
平成 8年10月 2日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、中原電車区に所属する国労組合員33名に対し、中原電車区における運転業務、検修業務等の本務から外し、屑物入れ組立作業等に従事させる日勤勤務、特修班等に担務指定等を行い、また、同電車区以外の職場への配置転換を行ったこと、また、同電車区の助役らの同組合員らに対する発言等が争われた事件である。 神奈川地労委は、<1>原職又は原職相当職への復帰、<2>復帰の具体的方法についての組合との協議、調整、<3>配転、担当業務に関する他組合所属組合員との差別、脱退勧奨等による支配介入の禁止、<4>文書手交及び文書掲示(<1>及び<3>について)を命じたところ、会社はこれを不服として再審査を申し立てた。 中労委は、初審判断を一部変更したほかは再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 I 本件初審命令主文を次のように改める。 1 再審査申立人東日本旅客鉄道株式会社(以下「会社」という。)は、別紙 目録記載の者のうち、既に同目録の中原電車区における職種の本務又は本務相当 職に復帰した者及び再審査被申立人組合を脱退した者を除く再審査被申立人ら所 属の組合員について、改めて公正に選考し、復帰すべきものと判定した者を、同 目録記載の中原電車区における職種の本務又は本務相当職に復帰させなければな らない。 2 会社は、上記第1項を履行するに当たり、復帰すべきものと判定した者の 復帰の具体的方法、時期等について、再審査被申立人らと協議しなければならな い。 3 会社は上記第1項による選考の経過、判定の結果及び選考が公正に行われ たことについて、それらに用いた資料を添えて、当委員会に報告しなければなら ない。 4 会社は、再審査被申立人所属の組合員に対し中原電車区における日勤勤務 指定、特修班指定等に関し、組合員であることを理由に不利益に取り扱うこと及 び再審査被申立人所属の組合員に対し脱退勧奨を行うことにより再審査被申立人 の組織、運営に支配介入してはならない。 5 会社は、本命令交付後、速やかに再審査被申立人らに対して、次の文書を 交付しなければならない。 記
当社が、貴組合に所属する組合員に対して、中原電車区における日勤勤務指定 、特修班指定等に関し、組合員であることを理由に不利益に取り扱ったこと及び 貴組合に所属する組合員に対して脱退勧奨を行ったことにより貴組合の組織、運 営に支配介入したことは、いずれも不当労働行為であると中央労働委員会により 認定されました。 今後は、法令を遵守し、正常な労使関係の形成に努めます。
平成 年 月 日
国 鉄 労 働 組 合 中央執行委員長 X1 殿 国鉄労働組合東京地方本部 執行委員長 X2 殿 国鉄労働組合東京地方本部横浜支部 執行委員長 X3 殿
東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1 印
6 再審査被申立人らのその余の本件各救済申立てを棄却する。 II 会社のその余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
3700 使用者の認識・嫌悪
会社は、国労と国鉄あるいは分会と中原電車区の現場管理者との間に鋭い対立があった中で発足し、国鉄幹部であった者が会社幹部の多くを占め、また、中原電車区においても、国鉄当時の現場管理者の多くが会社発足後も引き続き同区の現場管理者として従事している。このような状況のなか、会社幹部や中原電車区の現場管理者の一連の発言を併せ考えると、会社は、国鉄当時と同様に、国労を嫌悪していたものと思料される。
1302 就業上の差別
1602 精神・生活上の不利益
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社及び中原電車区の現場管理者に組合嫌悪の情が認められること、本件担務指定等に関する会社の人選理由が曖昧であって合理的であるとは認められないこと、さらに、これらの担務指定等には技能上、経済上及び精神上の各種の不利益が認められることからすれば、本件担務指定等は、国労組合員であることを理由とする不利益取扱いであると認められる。
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
助役らの発言が、Y2区長が国労から脱退しない本件組合員らを特修班に指定する直前に行われたこと、職員の勤務成績評価や特修班への指定の権限が同区長に委ねられていたこと及び発言の内容を併せ考えれば、これら助役らの発言は、同区長の意を体して、本件組合員に対し国労から脱退しない場合は担当業務を不利益に指定することがありうる旨を述べ、国労からの脱退を勧奨したものといえる。
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
4418 継続する行為を認めた例
会社が鉄道本来業務以外の関連事業を展開していること、鉄道本来業務だけでは標準数を上回る従業員がいること、既に本務又は本務担当職に復帰している者も相当数にのぼっていること等から、会社に対して、中原電車区における本務又は本務担当職に復帰した者及び国労脱退者を除く者について、定員の需給状況、各人の勤務状況、本人の意向等を考慮して改めて公正に選考し、同電車区における本務又は本務担当職に復帰すべきものと判断した者を、組合と復帰の具体的方法、時期等を協議の上、復帰させるよう命ずることが相当である。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集106集444頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 森川 平成9年1月 916号 22頁 
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