労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東日本旅客鉄道(上野新幹線第二運転所) 
事件番号  中労委 平成 1年(不再)第65号 
再審査申立人  東日本旅客鉄道株式会社 
再審査被申立人  国鉄労働組合東京地方本部 
再審査被申立人  国鉄労働組合東京地方本部上野支部 
再審査被申立人  国鉄労働組合東京地方本部上野支部上野新幹線第二運転所分 会 
再審査被申立人  X1 他22名 
命令年月日  平成 9年 4月16日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  国鉄、東日本旅客鉄道株式会社(以下「会社」という。)の設立委員 及び会社が、上野新幹線第二運転所(以下「上二運」という。)に勤務する国鉄労働組合(以下「国労」という。)の組合員25 名に対し、昭和62年4月1日の会社発足に向けて行った配属発令並びに同日以降に行った兼務、配転、出向発令及び勤務指定 (以下「本件配属等」という。)において、国労に所属することを理由に新幹線運転業務から外したことが、争われた事件で、本 件配属等がなかったものとして取り扱うこと等を命じた初審命令主文を変更して、会社に対し、要員の需給状況、各人の勤務状 況、本人の意向等を考慮し、改めて公正に見直し、配属及び勤務指定を是正すべきものと判定した者を、組合らと復帰の具体的方 法、時期等を協議の上、本務に復帰させ、勤務指定を行うこと及びその履行報告、配属等について不利益に取扱うことによる組合 への支配介入の禁止、文書交付等を命じ、会社のその余の再審査申立てを棄却した。 
命令主文  I 本件初審命令主文を次のように改める。
1 再審査申立人東日本旅客鉄道株式会社(以下「会社」という。)は、別表1記載の者のうち、既に上野新幹線第二運転所の本 務に復帰した者を除く再審査被申立人ら所属の組合員について、改めて公正な方法で配属及び勤務指定の見直しを行い、是正すべ きものと判定した者について、次の措置を講じなければならない。
 (1) 別表1記載のX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、 X15、X16、X17及びX18(以上18名)のうち、配属を是正すべきものと判定した者に対しては、上野新幹線第二運転 所の運転士又は主任運転士の本務に復帰させ、その際、他組合の組合員と差別することなく勤務指定を行うこと。
 (2) 別表1記載のX19、X20、X21及びX22(以上4名)のうち、勤務指定を是正すべきものと判定した者に対し ては、他組合の組合員と差別することなく勤務指定を行うこと。
 (3) 上記(1)及び(2)の措置を講ずるに当たり、配置及び勤務指定を是正すべきものと判定した者の就労の具体的方 法、時期等について、再審査被申立人らと協議しなければならない。
2 会社は、上記第1項による配属及び勤務指定の見直しの経過、判定の結果並びに配属及び勤務指定が公正に行われたことにつ いて、それらに用いた資料を添えて、当委員会に報告しなければならない。
3 会社は、再審査被申立人ら所属の組合員に対し、配属及び出向並びに勤務指定について、組合員であることを理由に不利益に 取り扱うことにより、再審査被申立人らの組合運営に支配介入してはならない。
4 会社は、本命令交付後、速やかに再審査被申立人らに対して、次の文書を交付しなければならない。
                 記
 当社が、貴組合所属の組合員らに対して、上野新幹線第二運転所における配属発令及び勤務指定に関し、組合員であることを理 由に不利益に取り扱ったこと及びそれらにより貴組合の組織、運営に支配介入したことは、いずれも不当労働行為であると中央労 働委員会により認定されました。
 今後は、法令を遵守し、正常な労使関係の形成に努めます。
    平成  年  月  日
  国鉄労働組合東京地方本部
    執行委員長 X23 殿
  国鉄労働組合東京地方本部上野支部
    執行委員長 X24 殿
  国鉄労働組合東京地方本部上野支部上野新幹線第二運転所分会
    執行委員長 X3  殿
                    東日本旅客鉄道株式会社
                      代表取締役 Y1 印
5 再審査被申立人らのその余の本件各救済申立てを棄却する。
II 再審査申立人会社のその余の本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  4820 単一組織の支部・分会等
地本、支部及び分会は、それぞれ独自の規約、会計及び執行機関を有し、固有の組合活動を行っていることが認められ、かつ、再 審査被申立人らは国労組合員であるとともに、これら三組合それぞれの組合員でもあり、会社の同人らに対する配属発令及び勤務 指定が、三組合の組合員であることを理由とする不利益取扱い並びに三組合の組織、運営に対する支配介入を構成するか否かが問 題となるものであることから、三組合が申立人適格を有するのは明らかである。

4911 解散事業における使用者
承継法人の職員配属が決定される過程で設立委員が負うべき不当労働行為とされる行為の責任は、改革法第23条第5項により、 承継法人の職員配属に関する設立委員に係る行為の効果とともに承継法人に帰属する。勤務指定についても、承継法人である会社 が、会社発足後これを追認した上、会社の責任と権限でこれを具体的に実施したものと認められることから、これについて不当労 働行為に該当すると判断されるものがあれば、会社はそれについて責任を負う。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
国鉄が国労を嫌悪していたと認められる労使事情の下で、国鉄が3・10人事異動の一環として兼務発令を行い、これに基づき設 立委員が3・16配属通知を経て本件配属を行ったことは、組合所属あるいは組合活動の故に不利益取扱いを行ったものとして労 働組合法第7条第1号の不当労働行為に当たり、かつ、そのことによって国労の弱体化を企図したものと認められるから、同条第 3号の不当労働行為に当たる。

1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社は、その発足当初においても、国鉄当時から一貫して国労を嫌悪していたものと認められるので、組合所属あるいは組合活動 の故に不利益取扱いを行ったものとして労働組合法第7条第1号の不当労働行為に当たり、かつ、そのことによって国労の弱体化 を企図したものと認められるから、同条第3号の不当労働行為に当たる。

4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
4404 復帰後の労働条件等
鉄道輸送事業部門及び関連事業部門における要員の需給状況、各人の勤務状況、本人の意向等を考慮し、改めて公正な方法で配属 及び勤務指定の見直しを行い、その結果、<1>再審査結審時において上二運の職場に配属されていない者のうち、配属を是正す べきものと判定した者に対しては、本務に復帰させ、その際、他組合の組合員と差別することなく勤務指定を行うこと、<2>再 審査結審時において上二運の職場に配属されている者のうち、勤務指定を是正すべきものと判定した者に対しては、他の組合員と 差別することなく勤務指定を行うことを、それぞれ、会社に命ずる。

4417 条件付命令・協議命令
4422 その他
配属及び勤務指定を是正すべきものと判定した者の就労の具体的方法、時期等については、それぞれ、再審査被申立人らと協議す ることとし、配属及び勤務指定の見直しの経過、判定結果及び選考が公正に行われたことについて中労委に報告することを会社に 命ずる。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集107集525頁 
評釈等情報  中央労働時報 1997年11月 929号 11頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京地労委 昭和62年(不)第62号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 1年 4月18日 決定 
 
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