概要情報
事件名 |
大星ビル管理 |
事件番号 |
東京地労委 平成 5年(不)第35号
東京地労委 平成 5年(不)第37号
東京地労委 平成 5年(不)第52号
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申立人 |
合成化学産業労働組合連合・大星ビル管理労働組合 |
被申立人 |
大星ビル管理株式会社 |
命令年月日 |
平成 9年 1月21日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、<1>平成5年度春闘のストに参加又は特定業務を拒否した組合員の賃金をカットしたこと、<2>組合が違法なストを実施し、取引先へ抗議に行ったこと等を理由に組合三役を出勤停止処分にしたことが不当労働行為に当たるとして争われた事件で、会社に対し、バックペイ、組合三役に対する懲戒処分の取消、文書の掲示及び交付を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人大星ビル管理株式会社は、『別表1』(略)に掲げる「ストライキ参加者に対する5年度上期臨時給与からのカット額一覧」に記載する申立人合成化学産業労働組合連合・大星ビル管理労働組合所属の組合員に対して、同表記載の「カット額」相当額を支払わなければならない。 2 被申立人会社は、『別表2』(略)に掲げる「怠業参加者に対する月例賃金からのカット額一覧」に記載する申立人組合所属の組合員に対して、同表記載の「カット額」相当額を支払わなければならない。 3 被申立人会社は、平成5年7月22日付でなした申立人組合員X1に対する出勤停止7日間並びに同X2、同X3、同X4および同X5に対する各出勤停止3日間の懲戒処分がなかったものとして取り扱わなければならない。 4 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、下記の内容を楷書で明瞭に墨書して、本社の従業員の見やすい場所に10日間掲示するとともに、同一内容の文書を申立人組合に手交しなければならない。 記 年 月 日 合成化学産業労働組合連合・大星ビル管理労働組合 執行委員長 X5 殿 大星ビル管理株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記行為は、東京都地方労働委員会において不当労働行為であると認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 記 1 5年度春闘において、3月29日から4月16日の間に貴組合が実施したストライキに参加した貴組合所属の組合員に対して、5年度上期臨時給与を一部カットしたこと。 2 5年度春闘において、貴組合が実施した怠業に参加した貴組合所属の組合員に対して、月例賃金を一部カットしたこと。 3 平成5年7月22日付で貴組合所属の組合X1氏、同X2氏、同X3氏、同X4氏および同X5氏に対して出勤停止の懲戒処分を行ったこと。 (注;年月日は文書を掲示、手交した日を記載すること。) 5 被申立人会社は、前各項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 |
判定の要旨 |
1204 スト・カット
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
スト参加者及び特定業務を拒否した者(怠業者)に対する賃金カットは、従前の取扱い、労働協約の解釈を一方的に変更したこと、怠業者の怠業実施の状況を確認せず、怠業によって生じた会社の損失を組合員に補填させたとみられること、会社が組合を嫌悪していたことから、組合員に対する不利益取扱いであるとともに、組合の弱体化を企図した不当労働行為である。
0410 目的・手続き
組合の確立した通年ストは、組合の闘争委員会の指令に異議を唱える組合員もいないことから、組合員は闘争委員会に具体的な争議行為の開始、解除の時期を委ねたと解することができ、会社の主張のように違法とまでは判断できず、会社が回答日にこだわり、6回の団交を経たのであるから、会社の回答前に組合がストを行ったには正当な理由があったというべきである。
0210 リボン・ワッペン等の着用
ワッペン着用行為が、組合が他者の従業員と一緒に仕事をする場合及びホテルは着用の対象外としたこと、ワッペン着用時に会社の管理職が取外しを命ずることもなく、ビルオーナーらの苦情等もなく、ワッペン着用によって業務の運営に支障が生じたり、阻害されたとも認められないことから、正当な組合活動の範囲を逸脱したものとまではいいきれないとされた。
0205 第三者・取引先等への働きかけ
組合が、会社の取引先である病院に質問状を郵送したり、同病院前の路上でビラ配布を行ったが、質問状の真意は組合員の雇用の機会を減少させる点について注意を喚起する趣旨であり、ビラの内容は過激にわたるところはなく、誹謗・中傷したものとも認められないことから、正当な組合活動の範囲を逸脱したものであるとはいえないとされた例。
1401 労務の受領拒否
組合三役に対する懲戒処分の理由は、妥当性は認められず、組合三役に対して懲戒処分に付したことが組合の動揺を誘うことにあった不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
その他の事業サービス業(建物サービス業、民営職業紹介所、警備業等) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集107集70頁 |
評釈等情報 |
 
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