労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東日本旅客鉄道(国府津給電区) 
事件番号  中労委 平成 1年(不再)第85号 
申立人  東日本旅客鉄道株式会社 
再審査被申立人  国鉄労働組合東京地方本部 
再審査被申立人  国鉄労働組合東京地方本部横浜支部 
再審査被申立人  国鉄労働組合 
命令年月日  平成 9年11月 5日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  本件は、東日本旅客鉄道株式会社(以下「会社」という。)の国府津給電区の区長が国鉄労働組合東京地方本部横浜支部国府津給電区分会に所属する組合員(以下「国労分会員」という。)に対してなした言動が、国鉄労働組合(以下「国労」という。)からの脱退勧奨等をした不当労働行為であるとして争われた事件で、国労分会員に対する同区長の言動が不当労働行為に当たるとして、会社に対し、区長らをした国労分会員らに国労からの脱退勧奨をする等の支配介入の禁止並びにこれに係る誓約書の手交及び掲示を命じた初審命令の一部を変更し、その余の救済申立て及び再審査申立てを棄却した。 
命令主文  I 初審命令主文を次のとおり変更する。
 1 再審査申立人東日本旅客鉄道株式会社は、国府津給電区の区長をとおして、再審査被申立人組合国府津給電区分会の組合員に対し、再審査被申立人組合からの脱退勧奨を行うことにより、再審査被申立人組合の組織及び運営に支配介入してはならない。
 2 同会社は、本命令交付後速やかに、縦1メートル、横1.5メートルの白紙に下記の文書を明瞭に記載し、国府津給電区の本区及び同区三島派出所の出入口の見易い場所に、10日間掲示しなければならない。
                 記
 当社が、昭和62年11月及び同63年2月に国府津給電区の区長をとおして、貴組合の組合員に対し、貴組合からの脱退を勧奨したことは、不当労働行為であると中央労働委員会により認定されました。
 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
  平成 年 月 日
国鉄労働組合
    中央執行委員長 X1 殿
国鉄労働組合東京地方本部
    執行委員長   X2 殿
国鉄労働組合東京地方本部横浜支部
    執行委員長   X3 殿
                    東日本旅客鉄道株式会社
                     代表取締役 Y1
 3 再審査被申立人のその余の救済申立てを棄却する。
II 再審査申立人のその余の再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  2621 個別的示唆・説得・非難等
国労組合員との個人面談における区長の発言には、国労批判、昇進、昇格についての不利益示唆、国労脱退を促す発言が認められる。さらに、同区長の、「就業時間中は区長としては国労を脱退せよといえないが、就業時間外であれば可能である」旨の発言は、国労からの脱退勧奨の意思を表明したものと認められる。

2621 個別的示唆・説得・非難等
区長は、国労組合員に対し、国労が反会社的行為を行っていると国労を非難し、組合員もその行為に加担しているとして、暗に国労からの脱退を勧奨したものと認められる。

2621 個別的示唆・説得・非難等
別組合の分会書記長である区長が、国労からの脱退勧奨と別組合への加入勧誘のために勤務時間外に組合員宅を訪問したことは、同区長が区長の立場で組合員に対し国労からの脱退を働きかけたとの具体的事情について疎明のない本件にあっては、国労からの脱退を勧奨したとまでは認められない。

2621 個別的示唆・説得・非難等
区長自ら国労脱退及び別組合加入の届出用紙を作成し、別組合の青年部長らをとおして国労組合員に同届出用紙を渡したことは、同区長自らが組合員に対し国労からの脱退を働きかけたとの具体的事情について疎明のない本件にあっては、国労からの脱退を勧奨したとまでは認められない。

3410 職制上の地位にある者の言動
区長は、現場長として、一時金や賃上げについての一次査定、配転、昇格のための成績評価、社員の職務分担の指定等を行うなど、現場における管理及び運営の責任を有していることが認められる。区長の国労組合員に対する言動は、現場における管理者の立場で行われたものであるから、その責任は会社が負うべきであり、区長が組合員資格を有し、実際に他組合に所属してその役員であったとしても、結論が左右されるものではない。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集109集566頁 
評釈等情報  中央労働時報 1998年1月 931号 22頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
神奈川地労委 昭和63年(不)第3号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 1年 7月20日 決定 
 
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