概要情報
事件名 |
フレックス |
事件番号 |
大阪地労委 平成 6年(不)第49号
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申立人 |
ユニオン・おおさか |
被申立人 |
株式会社フレックス |
命令年月日 |
平成 9年10月31日 |
命令区分 |
棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) |
重要度 |
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事件概要 |
会社の、<1>組合支部長X1に対する配転命令と、それを拒否した
ことを理由とした懲戒解雇、<2>一時金の減額支給、<3>不就労分の賃金カット及び<4>賃上げの不実施並びに<5>不誠
実な団体交渉について争われた事件で、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
組合員X1は、会社及び取引先の指示を無視した活動を行い、その結果会社と取引先の契約が解消され、X1の業務がなくなった
ため、会社はやむを得ず配転を行ったものであり、本件配転には合理的理由がある。また、組合員の配転に係る事前協議につい
て、労使間の合意が成立していたとは認められず、会社が事前協議の合意に反して配転を行ったとする組合の主張は採用できな
い。
1300 転勤・配転
会社は経営状態の悪化により全体の4割以上の希望退職者を出したこと、経費節減のための本社移転等経営の立て直しを迫られる
状況にあったこと等を考えると、組合員X1に対する配転は特段不合理なものとはいえない。
1102 業務命令違反
組合員X1は、会社の業務命令に従わずに直行直帰を行い、債務の本旨に従った労務の提供をしなかったものといわざるを得ず、
会社が就業規則に基づき懲戒解雇を行ったことは正当と判断され、会社の不当労働行為は認められない。
1201 支払い遅延・給付差別
会社は、<1>経営悪化のため平成5年9月から全従業員の賃金カットを実施したこと、<2>同年年末一時金についても、全従
業員に対して前年同期の半分に当たる月数相当額を支給していること、<3>組合員X1に対しては事前の協議において年末一時
金は1か月相当分と定められており、カット率としてはX1も他の従業員と同率であることから、X1に対する平成5年末一時金
のカットは、X1が組合員であることを理由とした不利益取扱いではないものと判断される。
1203 その他給与決定上の取扱い
会社は、組合員X1が出社せずに直行直帰を行い、会社の指示した業務に全く従事しなかったことをX1の不就労であるとして、
当該日数分をカットした賃金を支給したのであり、会社の不当労働行為であるとは認められない。
1201 支払い遅延・給付差別
組合員X1の賃金は年俸制であり、他の従業員と賃金体系を異にするもので、このような異種の賃金の賃上げについては、他の従
業員と異る新たな合意が必要であると解されるところ、会社と組合の間でX1の賃上げを巡って意見が対立し、合意に至らないま
ま同人は懲戒解雇となったが、X1に対する懲戒解雇処分は同人の勤務態度に原因があり、同人が組合員であることは理由ではな
いと認められるので、本件賃上げ不実施に関し会社の不当労働行為は認められない。
2249 その他使用者の態度
会社の交渉態度に問題はあったものの、全くの不誠実とまではいえず、さらに会社の交渉態度には組合員X1の勤務状況及び同人
の業務命令不服従が強く影響していることから、総合的に判断すれば、会社に不誠実団交の不当労働行為があったとまではいえな
い。
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業種・規模 |
情報サービス・調査業(ソフトウェア業等)、広告業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集109集443頁 |
評釈等情報 |
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