概要情報
事件名 |
東海旅客鉄道(大阪第一運転所) |
事件番号 |
中労委 平成 1年(不再)第95号
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再審査申立人 |
東海旅客鉄道株式会社 |
再審査被申立人 |
国鉄労働組合近畿地方本部 |
再審査被申立人 |
国鉄労働組合近畿地方本部大阪地区本部大阪新幹線支部 |
再審査被申立人 |
国鉄労働組合近畿地方本部大阪地区本部大阪新幹線支部大阪車両所分会 |
命令年月日 |
平成 9年 7月 2日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
東海旅客鉄道株式会社(以下「会社」という。)の大阪第一運転所検修二科長及び同科助役が、国労近畿地方本部大阪地区本部大阪新幹線支部大阪車両所分会に所属する組合員に対してなした言動が、国労からの脱退を勧奨した不当労働行為であるかが争われた事件で、初審大阪地労委は、それらの言動が不当労働行為に当たるとして、会社に対し、会社の職制を通して国労からの脱退勧奨を繰り返さないようにする旨の文書の手交を命じた。 会社はこれを不服として、中労委に再審査を申し立てたが、中労委は、分会員X1に対する言動は国労からの脱退を勧奨したものとまでは認められないとして、会社に対し、「組合員X2、X3及びX4に対して脱退を勧奨したことは不当労働行為であると中労委に認定された。今後このような行為を繰り返さないようにする」旨の文書の手交を命じた。 |
命令主文 |
I 本件初審命令主文を次のとおり変更する。 1 再審査申立人は、本命令交付後、速やかに再審査被申立人に対して、次の文書を交付しなければならない。 記 当社が、貴組合に所属する組合員のX2、X3及びX4に対して、会社の大阪第一運転所検修二科長及び同科助役を通して、貴組合からの脱退を勧奨したことは、不当労働行為であると中央労働委員会により認定されました。 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 平成 年 月 日 国鉄労働組合近畿地方本部 執 行 委 員 長 X5 殿 国鉄労働組合近畿地方本部大阪地区本部大阪新幹線支部 執 行 委 員 長 X6 殿 国鉄労働組合近畿地方本部大阪地区本部大阪新幹線支部 大阪車両所分会 執 行 委 員 長 X7 殿 東海旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1 (印) 2 再審査被申立人のその余の本件救済申立てを棄却する。
II 再審査申立人のその余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
検修二科長の分会員X2に対する「どこかよそからの勧誘はないのか」等の発言及び分会員X3に対する「組合を変わったらどうか」等の発言並びに同科助役の分会員X4に対する「今のままでずっといたら、ATC班に居れなくなる」等の発言は、当時国労と会社とが鋭く対立していた状況等を併せ考えれば、いずれも国労からの脱退を勧奨したものと認められるから、これらを不当労働行為に当たると判断した初審命令は相当である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
検修二科長の分会員X1に対する「会社の進んでいる方向をよく認識してください」「これからは会社の方針というものをよく理解して、会社の方針に従った行動をもっと積極的にやるべきだ」旨の発言は、当時の分会と会社における状況からみて穏当を欠く言動もないではないが、その言動を全体としてみると、仕事への取組みについて述べたにすぎないともみられ、国労からの脱退を勧奨したものとまでは認められない。
2610 職制上の地位にある者の言動
3410 職制上の地位にある者の言動
検修二科長や同科助役が組合員資格を有し、実際に他の労働組合に所属しているからといって、科長及び助役の職責に変りがなく、しかも、科長の個人面接は所長の、助役の個人面接は所長及び科長のそれぞれ指示に基づき就業時間中になされたものであるから、当然会社が責任を負うべきと認められる。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集108集699頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1997年9月 927号 12頁 
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