概要情報
事件名 |
宮田運送 |
事件番号 |
中労委 平成 7年(不再)第7号
中労委 平成 7年(不再)第8号
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再審査申立人 |
宮田運送株式会社(8号申立人) |
再審査被申立人 |
全日本運輸一般労働組合神奈川地方本部(8号被申立人) |
再審査被申立人 |
全日本運輸一般労働組合横浜地区合同支部(同上) |
再審査被申立人 |
全日本運輸一般労働組合横浜地区合同支部宮田運送分会(同上) |
命令年月日 |
平成 9年 6月 4日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合支部分会の結成直後に分会員を解雇したこと、団体交渉を拒否したこと及び分会員に対して脱退工作を行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、<1>解雇日から解雇撤回日までの賃金差額支給、<2>解雇撤回日から職場復帰日までの賃金支払いに関する団交の実施、<3>支配介入の禁止及び<4>ポストノーティスを命じ、その余の申立てを棄却した初審命令について、初審命令主文の一部を変更したほかは、その余の再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 本件初審命令主文第1項を次のとおり変更する。 被申立人は、申立人全日本運輸一般労働組合横浜地区合同支部宮田運送分会の組合員又は組合員であったX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13及びX14に対し、解雇の日から平成6年1月25日(X10にあっては、平成5年11月17日)までの間の解雇がなかったならば支払われたであろう賃金相当額と既に支払われた賃金の額との差額を支払わなければならない。 2 その余の再審査申立人らの本件各再審査申立てを棄却する。ただし、初審命令主文第2項及び第3項中、「全日本運輸一般労働組合神奈川地方本部アズマインターナショナル支部宮田運送分会」を「全日本運輸一般労働組合横浜地区合同支部宮田運送分会」に、同第4項中「平成7年」を「平成 年」に、「全日本運輸一般労働組合アズマインターナショナル支部」を「全日本運輸一般労働組合横浜地区合同支部」に、「全日本運輸一般労働組合アズマインターナショナル支部宮田運送分会」を「全日本運輸一般労働組合横浜地区合同支部宮田運送分会」に、「X15」を「X16」に、「X1」を「X14」に改める。 |
判定の要旨 |
0700 職場規律違反
1102 業務命令違反
3500 処分の時期
本件解雇は、会社があげる業務命令違反、職場規律違反等を理由としたものとは認められず、組合支部分会結成の直後に、団体交渉を要求する分会員らの組合活動を嫌悪し、分会の組織の弱体化を企図して行った不当労働行為とされた例。
4407 バックペイの支払い方法
解雇の日から解雇を撤回して会社での就労を命じた当該就労日の前日までの間の救済方法については、解雇がなければ現実に得たであろう賃金相当額と会社が既に支払った賃金額との差額の支払いを命ずることが相当とされた例。
4602 組合との協議を命じた例
会社が就労を命じた当該就労日から現実に就労した日の前日までの救済方法については、この間の賃金未払の問題については、会社及び組合双方に責任があると思料され、この点にかかる救済については労使で話し合って決めることが最も妥当であるとされた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
分会脱退者12名と会社を退職した者1名は、救済申立てを放棄するとの積極的な意思の表明は行っておらず、未だ救済を求めているものと解されるから、組合はこれらの者についても救済を求める利益を有していると解するのが相当とされた例。
2215 上部団体参加否認
2253 受取り拒否・申入れなし
会社は、平成6年1月以降、同年2月25日の第1回団体交渉が行われるまでの間は、組合の団体交渉申入れ書の受け取りを拒否したり、「分会員以外の者が出席する団体交渉には応じられない。」などとして団体交渉に応じなかったことが不当労働行為とされた例。
2213 交渉人数
労働組合が団体交渉に出席する代表者を誰とするかは労働組合の判断に委ねられるべきことがらであって、会社が一方的に上部団体の出席を1名に制限することは妥当でなく、このような会社の交渉態度は不誠実な団体交渉であると言わざるを得ないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社は、第1回団体交渉に出席していなかった分会員に対し、「組合にはいっているか。組合を続けるなら会社にそぐわない。」などと述べ、組合に残る意思表示をした分会員を順次解雇する一方、分会に残る意思表示をしなかった者はいずれも解雇しなかったこと、Y1所長が、X14分会員に対して「そろそろ潮時だろう。」、「見切りをつけたらどうか。」などの趣旨の発言をしていること等の事実から判断すると、会社による脱退工作があったことは明らかというべきであるとされた例。
4833 組織の消滅(含1人組合となった場合)
分会は結成当初20名の組合員を有しており、組合員が1名となったのは会社の不当労働行為によるところが大きいと推認されること、分会は現に上部団体に所属し、上部団体などとともに本件争議にかかる諸活動を行うほか、春闘への取組みを行っていることが認められ、また、今後も分会員が増加する可能性もあること等から、本件においては分会は当事者たりうるとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集108集669頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1997年9月 927号 11頁 
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