事件名 |
日本石油化学 |
事件番号 |
神奈川地労委平成 6年(不)第13号
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申立人 |
X1 他3名 |
被申立人 |
日本石油化学株式会社 |
命令年月日 |
平成 9年 6月10日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、労使協調的な方針をとる組合執行部を批判して独自の組合活
動を行った組合員4名に対し、賃金、昇進及び賞与について不利益な取扱いを行い、組合内部の活動に支配介入したとして争われ
た事件で、賃金、賞与のバックペイ、組合員らの役職の是正、文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人X1、同X2及び同X3に対し、平成5年3
月21日に遡って、それ以降の基本給をそれぞれ日本石油労働組合が賃金実態調査一覧表で示すモデル賃金の各人に対応する賃金
相当額に是正し、申立人X4に対しては、平成5年3月21日に遡って、それ以降の基本給を日本石油労働組合が賃金実態調査一
覧表で示すモデル賃金の同人に対応する額に基づき、班長における査定昇給額を使用して計算した額に相当する額に是正し、それ
ぞれ同日から是正済みに至るまでの間における差額に相当する額に、年率5分の割合による金員に相当する額を加算して支給しな
ければならない。
2 被申立人は、平成5年5月21日以降、申立人X1及び同X2を係長又は係長相当職の職にあるものとして、申立人X4及び
同X3を班長又は班長相当職の職にあるものとして、それぞれ処遇しなければならない。
3 被申立人は、第1項及び第2項の是正に基づき、申立人X1、同X2、同X4及び同X3に対し、その平成5年度前期賞与以
降の賞与を是正し、是正済みに至るまでの間における差額に相当する額に年率5分の割合による金員に相当する額を加算して支給
しなければならない。
4 被申立人は、第1項及び第2項の是正に伴う付加給、役付手当その他の賃金における差額に相当する金額に、年率5分の割合
による金員に相当する額を加算して、申立人らに支給しなければならない。
5 被申立人は、本命令交付後、速やかに次の文書を縦1メートル、横1.5メートルの白紙に楷書で明瞭に記載し、被申立人川
崎工場及び浮島工場の入口付近の従業員の見やすい場所にき損することなく10日間掲示しなければならない。
記
当社が、貴殿らに対し、賃金、賞与及び昇進について差別的な取扱いをしたことは、神奈川県地方労働委員会において労働組合
法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
平成 年 月 日
X1 殿
X2 殿
X4 殿
X3 殿
日本石油化学株式会社
代表取締役 Y1
6 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0126 反執行部・分派活動
1202 考課査定による差別
申立人らが行った職場新聞の発行、支部執行委員選挙への立候補などの活動は、労働組合の正式な機関決定に基づくものではない
が、組合員が行う正当な行為と評価されるものであるところ、会社はこれらの活動について、会社の施策と対立する、申立人ら独
自の組合活動として嫌悪し、同人らに対し、賃金、昇進及び賞与において不利益な取扱いをなしたものであり、同時に労働組合内
部の活動に対して支配介入を行ったもので、不当労働行為であると判断する。
4415 賃金是正を命じた例
申立人らの基本給について組合のモデル賃金等との間に生じている格差は、会社による不当労働行為によるものと判断されるの
で、同人らの基本給を是正し、この是正による基本給の差額相当額の支払いを命ずる。
4414 その他の不利益の場合
賃金について平成5年3月21日付け昇給に係る査定が合理的に行われたとは認められないと判断して救済する以上、その査定に
基づいて決定される同年度の昇進についても、これを是正することが相当である。したがって、会社における通常の昇進の取扱い
と同様の取扱いとして、同一学歴の同一卒業年の者の過半数が在籍する職階又は待遇職として取り扱うことが相当である。
5201 継続する行為
本件においては、査定とそれに基づく賃金決定及び賃金の支払いとが全体として一つの行為と認めるのが相当であり、平成5年度
の昇給の実施された平成5年3月21日以降の賃金を是正することとする。
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業種・規模 |
石油製品・石炭製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集108集241頁 |
評釈等情報 |
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