労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  エッソ石油・モービル石油 
事件番号  大阪地労委 昭和62年(不)第32号 
申立人  スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合 
被申立人  モービル石油株式会社 
被申立人  エッソ石油株式会社 
命令年月日  平成 6年12月12日 
命令区分  棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) 
重要度   
事件概要  本件は、(1)エッソ石油が春闘時のストに対する賃金カットを行う時期を変更したこと、(2)エッソ石油が新入社員に対する組合オリエンテーションを拒否し、モービル石油が同オリエンテーションを中止したこと、(3)エッソ・モービル両社が組合の申し入れた団交の場における会社決算の説明を拒否し、スト時に組合の申し入れた会議室の使用を拒否し、組合掲示板の枠外に貼付したビラを撤去したこと、(5)エッソ石油名古屋支店がスト通告団交を拒否し、組合のストビラ及び組合旗を撤去し、地下休憩室から組合所有物を撤去し、組合脱退者2名に組合指令を行ったことを注意したこと、(9)エッソ石油大阪支店が支店入口に内扉を設置し、事務所にビデオカメラを設置し、支店入口付近に組合が設置した立看板を撤去し、組合の申し入れた会議室の使用を拒否し、高松事務所の組合掲示板を撤去したこと、(14)エッソ石油が組合員X1の職務変更に関する団交を拒否し同人の職務を一方的に変更し、組合の設置したカンパ箱を撤去したこと、(16)モービル石油大阪支店が支店統廃合に関する団交を拒否し、団交及び事務折衝の前後の待機時間を一方的に短縮し、就業時間中の賃金引出外出を承認制とし、郵便室の利用を制限し、組合員の就業時間中のゼッケン着用について注意し、組合ビラの配布に際して職制らがその受け取りを妨害し、組合員のゼッケン着用等について警告書を発したこと、(23)モービル石油鶴見油槽所が組合の設置したカンパ箱を破壊し、組合掲示板のビラを破損し、組合旗を撤去したこと、(26)その他エッソ・モービル両社が労使慣行を破壊し、共同意思に基づいて不当労働行為を行い、組合の不当労働行為救済申立てに対する報復措置による不利益扱いが、いずれも不当労働行為であるとして争われた事件である。
 大阪地労委は、申立て事項のうち本件申立てより1年前である昭和61年4月3日までに生じた賃金カット時期の変更等の事項について期間徒過を理由に却下し、その余の申立事項については棄却した。 
命令主文  1 申立人の被申立人エッソ石油株式会社に対する以下に関する申立ては却下する。
(1)昭和58年度春闘時のストに対する賃金カットの時期の変更
(2)昭和58年度組合オリエンテーションの機会を与えなかったこと
(3)会社決算説明の拒否(ただし、昭和61年4月3日以前のもの)
(4)昭和59年7月9日及び60年4月16日の会社会議室使用申入れの拒否
(5)名古屋支店が行った次の行為
ア スト通告の受理を団交で行わなかったこと
イ 組合ビラ、組合旗及び立看板の撤去(ただし、昭和61年4月3日以前のもの)
ウ 組合脱退者に組合指令を行ったことに対する注意発言(ただし、昭和61年4月3日以前のもの)
(6)大阪支店が行った次の行為
ア 支店入口内扉の設置及び組合事務所南側出入口の閉鎖
イ 組合カンパ箱の撤去(ただし、昭和61年4月3日以前のもの)
(7)不当労働行為救済申立てに対する報復措置(ただし、昭和61年4月3日以前のもの)
2 申立人の被申立人モービル石油株式会社に対する以下に関する申立ては却下する。
(1)組合オリエンテーションの中止
(2)会社決算説明の拒否
(3)昭和60年4月17日の会社会議室使用申入れの拒否
(4)不当労働行為救済申立てに対する報復措置(ただし、昭和61年4月3日以前のもの)
3 申立人の被申立人エッソ石油株式会社及び同一モービル石油株式会社に対する共同意思に基づく不当労働行為に係る申立てのうち昭和61年4月3日以前の両社の行為を対象とするものについては却下する。
4 申立人の被申立人エッソ石油株式会社又は同モービル石油株式会社に対するその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  5200 除斥期間
Y1会社の次の行為に対する申立ては、既に1年以上を経過しているとして、規則34条1項3号により却下した例。
(1)昭和58年度春闘時のストに対する賃金カットの時期の変更
(2)昭和58年度組合オリエンテーションの機会を与えなかったこと
(3)会社決算説明の拒否(ただし、昭和61年4月3日以前のもの)
(4)昭和59年7月9日及び60年4月16日の会社会議室使用申入れの拒否
(5)名古屋支店が行った次の行為
  ア スト通告の受理を団交で行わなかったこと
  イ 組合ビラ、組合旗及び立看板の撤去(ただし、昭和61年4月3日以前のもの)
  ウ 組合脱退者に組合指令を行ったことに対する注意発言(ただし、昭和61年4月3日以前のもの)
(6)大阪支店が行った次の行為
  ア 支店入口内扉の設置及び組合事務所南側出入口の閉鎖
  イ 組合カンパ箱の撤去(ただし、昭和61年4月3日以前のもの)
(7) 昭和51年から61年にかけての13件の不当労働行為救済申立てに対する報復措置(ただし、昭和61年4月3日以前のもの)

5200 除斥期間
Y2会社の次の行為に対する申立ては、既に1年以上経過しているとして、規則34条1項3号により却下した例。
(1)組合オリエンテーションの中止
(2)会社決算説明の拒否
(3)昭和60年4月17日の会社会議室使用申入れの拒否
(4)昭和51年から61年にかけての13件の不当労働行為救済申立てに対する報復措置(ただし、昭和61年4月3日以前のもの)

2240 説明・説得の程度
組合が団交の席で会社に決算説明を要求したにもかかわらず、会社がこれを行わなかったことは、団交で決算説明を行う慣行も合意もなく、不当労働行為ではないとされた例。

3020 組合活動への制約
会社がスト時に会議室の使用申入れを拒否したことは、会社業務に支障を及ぼし、また、組合が会議室の使用条件を遵守する旨約束したことの疎明もないことから、不当労働行為ではないとされた例。

3020 組合活動への制約
会社が、組合ビラ、組合旗及び立看板を撤去したことは、会社が撤去する旨を予告の上、相当の期間を置いて行ったものであることから、不当労働行為ではないとされた例。

3020 組合活動への制約
会社が地下休憩室から組合所有物を撤去したことは、会社が組合に対し自ら撤去するよう求める等妥当な措置をとった上で、組合が放棄したとみられてもやむを得ない物のみを撤去したものと認められるとして、不当労働行為ではないとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
会社が組合脱退者に対する組合の指示行為を注意したことは、就業時間中の業務に支障がある旨を述べたものであるとして、支配介入ではないとされた例。

3100 スパイ
会社が支店にビデオカメラを設置したことは、会社が支部の理解を得ようと努力し、それが専ら組合活動を監視するものとは言い難いことから不当労働行為ではないとされた例。

3020 組合活動への制約
会社が支部の物品販売のための会議室使用申入れを拒否したことは、会議室使用拒否時労使間に会議室使用の取決めはなく、その後、取決めを行い会議室の使用を許可していることから支配介入ではないとされた例。

3020 組合活動への制約
会社が支店設備の立看板を撤去したことは、ビル所有者等の要請に基づき必要な手続きを尽くした上で施設管理権の行使として撤去・保管したもので、支配介入ではないとされた例。

3020 組合活動への制約
会社が組合掲示板を一方的に撤去したことは、組合員のいない事業所での掲示板の必要性、使用状況について疎明がなく不当労働行為ではないとされた例。

2235 その他組合の態度
組合員X1の職務範囲の変更についての団交で、組合は労使協議事項である旨主張するのみであり、会社の団交打切りには正当な理由があるとされた例。

3020 組合活動への制約
会社が昭和61年4月4日以降にカンパ箱を撤去したことは、会社が施設管理権に基づき適切な措置をとった上で行われたもので、不当労働行為ではないとされた例。

2235 その他組合の態度
会社は支店の統廃合により労働条件に変更があれば団交に応じる旨を明らかにしており、組合は支店統廃合後の労働条件の変更等団交を開催する特段の必要性を疎明しておらず不当労働行為ではないとされた例。

1604 その他
会社が団交等の待機時間扱いを変更しようとしたことは、たとえそれが慣行的に認められたものであっても、変更を申入れること自体は不当労働行為ではないとされた例。

1604 その他
賃金引出外出を禁止したことは、十分に職場秩序維持という理由が考えられ、全従業員を対象としており、上司の許可があれば認められていたことから不当労働行為ではないとされた例。

3020 組合活動への制約
会社が、組合のカンパ箱を破壊したり、掲示ビラを破損したとの疎明がなく、不当労働行為でないとされた例。

3020 組合活動への制約
両会社が、組合掲示板枠外掲示の組合ビラを撤去したことは、両会社と組合との間で労使慣行があったと認められず、両会社はそれぞれ施設管理権に基づき妥当な措置をとったもので、不当労働行為ではないとされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が組合に対し、郵便室を利用した組合郵便物発送の費用を負担するよう述べたことは、従来から無料で郵便物を利用できる慣行があったとは言えず、しかも、この郵便室の利用制限は全従業員を対象としたものであることから不当労働行為ではないとされた例。

0210 リボン・ワッペン等の着用
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社が就業時間中のゼッケン着用を中止するよう注意したことは、その異様性により正当な組合活動とはいえず、企業秩序維持の観点からみて当然であり、不当労働ではないとされた例。

3104 別組合利用・別組合員宅訪問
3106 その他の行為
会社が非組合員に対し、組合ビラの受領を拒否させ、破り捨てる行為を続けさせているとの疎明がないことから、不当労働行為ではないとされた例。

2620 反組合的言動
会社が、組合のゼッケン着用、組合旗の掲揚及び掲示板枠外掲示のビラ貼付に対し、警告書を発したことは、手続上妥当な行為であり、不当労働行為ではないとされた例。

3020 組合活動への制約
会社が組合旗を事前警告なしに撤去したことはやや問題があるものの、組合の自主的撤去がなされないため、施設管理権に基づく行為としてなされたもので不当労働行為ではないとされた例。

3201 不当労働行為とされなかった例
組合が両社を被申立人として別件不当労働行為救済申立てをした報復として本件慣行破壊等を行ったとの主張につき、いずれも却下ないし不利益取扱いとは認められず労組法第7条4号の不当労働行為ではないとされた例。

業種・規模  石油製品・石炭製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集100集759頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成6年(不再)第48号 棄却 平成19年9月5日
 
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