概要情報
事件名 |
九州工業学園 |
事件番号 |
福岡地労委 平成 5年(不)第8号
福岡地労委 平成 6年(不)第1号
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申立人 |
九州工業高等学校職員組合 |
被申立人 |
学校法人 九州工業学園 |
命令年月日 |
平成 7年12月22日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)学園が、イ.組合員である野球部監督を解任したこと、ロ.別組合との36協定の締結経過の説明、謝罪等の要求、ハ.勤務時間及び休暇に関すること、ニ.管理職自身(事務長)の服務規律違反に関すること、ホ.学園諸規程違反を理由とする懲戒処分の具体的処分の明確化に関すること、ヘ.賃金に関すること、ト.年休年度の始終期の変更に関すること等を内容とする団交申入れを拒否したこと、(2)事務長が「超勤命令に従わないときは処分もありうる」と発言したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 福岡地労委は(1)のイ、ハ、ヘ、トについて不当労働行為とし、団交応諾と文書手交を命じたほか、その余の申立を棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人が平成 5年 4月15日及び同年10月27日に申し入れた次の事項につい て、直ちに誠意をもって団体交渉に応じなければならない。 (1)X1に対する平成 5年 4月 7日付の野球部監督不再任について (2)教員と事務職員との休暇、勤務時間の取扱上の差異について (3)年次有給休暇年度の始終期の変更について 2 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に次の文書を申立人九州工業高等学校職員組合 に手交しなければならない。 当学園が行った次の行為は、福岡県地方労働委員会によって不当労働行為と判断されまし た。 今後、このようなことを繰り返さないよう留意します。 (1)平成5年度賃金に係る貴組合申入れの団体交渉に関し、人事委員会勧告が出されていな いことを理由に交渉を延引したこと。 (2)年次有給休暇年度始終期の変更に係る貴組合申入れの団体交渉に関し、多数労働組合と の協議をもって方針を決定し、団交事項でないとして交渉を拒否したこと。 平成 年 月 日 九州工業高等学校職員組合 執行委員長 X2 殿 学校法人 九州工業学園 代表理事 Y1 3 その余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
4820 単一組織の支部・分会等
会社課長は使用者の利益代表者であるから、同人が加入する組合は申立て資格を欠くとの学園の主張につき、組合について資格審査の結果、法2条及び5条2項に適合すると認めたものであるとして、学園の主張を退けた例。
5121 挙証・採証
X1の野球部監督の解任につき、監督の任免は別組織である工友会会長の権限であること、学園組織と同一視され得るとしても監督の任命は労働契約ではないこと、事務折衡で十分説明しているとの学園の主張が工友会には校長が当たる等、学園の管理職をはじめとする教職員が就任していることから退けられた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2700 威嚇・暴力行為
組合の、別組合との間で偽造された36協定に基づき、「超勤命令に従わないときには処分もあり得る」との事務長の発言は組合の委員長の質問に答えてなされたものであり、特段威圧的なものとは認められず、組合に対する支配介入であるとの主張が退けられた例。
2307 その他
別組合との36協定の締結経緯の説明、謝罪等の要求は、それまでの経過及び同要求が組合員の労働条件並びに組合と学園の労使関係の運営との関連性が薄いことから、学園が団交に応じなかったことは不当労働行為とはいえないとされた例。
2300 賃金・労働時間
勤務時間及び休暇が労働条件であることは自明であり、教員と事務職員との休暇等の差異は職務内容の差異に応じたもので、就業規則の範囲内の管理運営事項に属するとして団交に応じなかったのは7条2号に該当する不当労働行為とされた例。
2216 その他
休暇等に関する就業規則の適用問題についての団交申入れに対し、管理運営事項であるとし、団交に先行する事務折衝での協議に固執し、団交に応じなかったことが、7条2号に該当する不当労働行為とされた例。
2307 その他
組合の管理職の服務規律違反に関する団交申入れは、事務長本人の決意表明を要求するものであって、労働条件及び労使関係の運営との関連性が認められないことから、学園が同申入れを拒否したことには正当な理由があるとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集103集313頁 |
評釈等情報 |
 
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