労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  フットワークエクスプレス 
事件番号  大阪地労委 平成 5年(不)第20号 
大阪地労委 平成 6年(不)第31号 
申立人  X1 外4名 
申立人  全日本運輸一般労働組合フットワークエクスプレス新労組支部 
被申立人  フットワークエクスプレス  株式会社 
命令年月日  平成 7年 7月13日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)争議行為を指導した組合三役のX1ら4名を5日ないし7日間の出勤停止処分とし、同争議行為に参加した組合員4名を譴責処分としたこと、(2)新業務体制の説明を点呼の場で行ったことに対し、書記長が組合員をその場から離脱させたことが、点呼妨害であるとして、同書記長を3日間の出勤停止処分としたこと、(3)新居浜店店長が、組合員と別組合の分会長との面会を取り持つ等の行為をしたこと、(4)京滋支店の業務課長が、組合員と別組合執行委員との話合いのために、会議室の使用を許可したこと、(5)別組合から申立人組合に加入したX2を松山店から丸亀店への配転の内示を行ったこと、(6)山口店店長が、点呼の際、争議行為に参加した者が懲戒解雇処分になった等の虚偽の訓示を行ったこと、(7)月間3日以内との組合用務による離席扱いに対し、これを越えた組合三役等の離席を一部欠勤扱いとし、賃金カットを行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
 大阪地労委は、(1)につき出勤停止処分がなかったものとしての取扱い、バック・ペイ(年5分加算)、(1)及び(6)に関して文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。なお、上記(1)の譴責処分を受けた4名については、個人として行っていた申立てを本件審問中に取り下げた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X1、同X2、同X3及び同X4に対する平成5年9月1日付の出勤 停止処分をなかったものとして取り扱い、同人らに対し、同年10月分の賃金及び同年下期賞 与から減じた下記の金額、及び各支給日の翌日から支払うまでの間、これらに年率5分乗じ た金額を支払わなければならない。
               (下記略)
 
2 被申立人は、申立人全日本運輸一般労働組合フットワークエクスプレス新労組支部に対  し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
                     記
                                   年 月 日
   全日本運輸一般労働組合フットワークエクスプレス
    新労組支部
     執行委員長 X1 殿
                        フットワークエクスプレス株式会社
                         代表取締役  Y1
  当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及 び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さ ないようにいたします。
                     記
 (1)貴組合役員X1氏、同X2氏、同X3氏及び同X4氏に対し、平成 5年 5月17日の大津   店での争議行為を指導したことを理由に同年 9月 1日付けで出勤停止処分を行ったこ    と。
  (2)大津店勤務の貴組合員 4名に対し、平成 5年 5月17日の同店での争議行為に参加したこ   とを理由に同年 9月 1日付けでけん責処分を行ったこと。
  (3)山口店において、平成 5年 5月19日の点呼の場で、同店Y2店長が、大津店での争議行   為に参加した貴組合員に対する会社の措置に関して、事実に反する内容をもとにした訓   示をしたこと。
3 申立人らのその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  0411 怠業
新業務体制の可否をめぐって争われていた中で、新たに付加された業務のみを拒否するということは、本件の状況においては、争議行為として認められる範囲のものと解されるとされた例

0418 組合の統制違反
会社に対する10日前までの争議予告を欠いたことにつき、労調法37条に基づく中労委等に対する10日前までの争議予告を行っていること、会社に対して協約所定の48時間前までの予告を行っていることから、違法とはいえないとされた例

0421 幹部責任
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
争議行為を指導したことを理由とする組合三役に対し行われた出勤停止処分が労組法7条1号及び3号の不当労働行為であるとされた例

0422 実行行為者の責任
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
争議行為に参加した組合員4名に対し行ったけん責処分が労組法7条1号及び3号の不当労働行為であるとされた例

1400 制裁処分
就業時間中に、会社が説明を行おうとした点呼の場から、組合員を離脱させた書記長の行為は、正当な業務に対する妨害行為であり、正当な組合活動とはいえず、これを理由とする同人の3日間の出勤停止処分は不当労働行為ではないとされた例

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
店長が、別組合の分会長と申立組合の組合員X5との面会を取り持ったことをもって直ちに、X5を脱退させるための支配介入の行為であったとまでは認めることができないとされた例

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
業務課長が、勤務時間中に別組合の執行委員に会議室の使用を許可したことが、同執行委員による組合員奪回工作に加担したものであるとの主張が退けられた例

1300 転勤・配転
別組合から申立組合に加入したX2に対する松山店から丸亀店への配転内示が不当労働行為には当たらないとされた例

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
店長の点呼の場での訓示が、他店における争議行為に参加した組合員の処分に関し、虚偽の処分を伝えたもので、組合活動を圧迫する目的で行われたものとされた例。

1203 その他給与決定上の取扱い
会社が組合離席の取扱いについて、月間3日を超える分を認めず欠勤扱いとし、これに伴う賃金減額支給を行ったことは、不当なものとは認められず、その程度も過重なものとはいえないから、不当労働行為に当たらないとされた例

4614 文書手交のみを命じた例
けん責処分の撤回を求めていた個人が申立てを取り下げたことから、組合に対する文書の手交で足りるとされた例

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集102集298頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 平成 7年 9月20日 1570号 20頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成 7年(不再)第31号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 9年 3月 5日 決定 
中労委 平成 7年(不再)第34号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 9年 3月 5日 決定 
 
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