概要情報
事件名 |
エス・ウント・エー |
事件番号 |
中労委平成 4年(不再)第3号
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再審査申立人 |
エス・ウント・エー 有限会社 |
再審査被申立人 |
法律会計特許一般労働組合ゾンデルホフ分会 |
再審査被申立人 |
法律会計特許一般労働組合 |
命令年月日 |
平成 6年11月30日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)組合の昭和63年12月26日付要求書等に関する団交申入れに対し、常に会社の限定した日時、議題等を組合が応諾した場合のみ団交を行う態度に固執したこと、(2)賃上げ等の団交での回答において関係資料の提示により、その根拠を具体的に明らかにするなどして誠実に対応しなかったこと、(3)「職場を守る会」主催名義の新年会、旅行等の諸行事に所属組合員の参加が妨げられていることを会社が容認していたことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 初審東京地労委は、(1)について従来と同様の態度をとることなく速やかに団交に応じること、(2)について関係資料を提示する等により誠実に団交に応ずること、(3)について組合員の参加が妨げられることのないよう配慮し、実現しない場合には、「職場を守る会」に対し所要経費の援助を行ってはならないこと、及びそれぞれの文書掲示を命じ、併せて履行状況についての報告を命じた。 会社は、これを不服として再審査を申立てたが、中労委は、(3)について組合員を参加させない場合には「職場を守る会」に所要経費の援助を行ってはならないと変更したほかは、初審命令を維持し、会社の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。ただし、初審命令主文第3項中「申立人分会所属の組合員の参加が妨げられないよう配慮しなければならず、それが実現しない」を「「職場を守る会」が申立人分会所属の組合員を参加させない」に改める。 |
判定の要旨 |
2211 団交ルールの先議
会社が日時、議題等の団体条件について、一方的に指定した上で強行し、組合の意向を一切無視する団体交渉の設定についての会社対応は、組合の団体交渉権の行使を不当に制約するものとされた例
2240 説明・説得の程度
会社が、会社の回答や主張についてその根拠を具体的に説明したり、必要な資料を提示するなど組合の理解を求める努力を一切行わなかったことが、誠実な交渉態度とはいえないとされた例
5008 その他
団体交渉提出資料の選択やその取扱いは会社に裁量権があるから、関係資料の提示等を命ずること自体が、不当であるとするとの会社主張が斥けられた例
4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
差別取扱いの救済として、「職場を守る会」主催名義の諸行事への組合員の参加が妨げられないよう配慮し、それが実現しない場合には、経費援助を行ってはならないと命じた例。
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業種・規模 |
専門サービス業(法律事務所、経営コンサルタント業等) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集100集1179頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 平成7年5月10日 1558号 22頁 
中央労働時報 平成7年3月10日 887号 15頁 
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