労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  相互タクシー 
事件番号  徳島地労委 平成 4年(不)第6号 
申立人  相互タクシー 労働組合 
被申立人  相互タクシー 有限会社 
命令年月日  平成 6年 3月24日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)組合の申入れた賃金改定等に係る団交に誠実に応じなかったこと、(2)組合としたノルマ制廃止等合意事項について協定書の作成を拒否したこと、(3)社長が、組合を中傷する発言をしたこと、(4)労使慣行に反して、欠勤・有給休暇の場合に賃金を控除したこと等が、不当労働行為として争われた事件である。
 徳島地労委は、(1)について誠実な団交応諾、(2)について協定書を作成し調印すること、(3)について支配介入の禁止、併せて(1)(2)(3)についての文書掲示を命じ、その余の申立ては、棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人の平成3年9月8日後の申入れに係る団体交渉に誠意をもって応じな ければならない。
2 被申立人は、平成3年9月8日の団体交渉において申立人との間で合意に達した次の3項 目を内容とする協定書を作成し、これに調印しなければならない。
  (1)毎月の給与について、平成3年9月1日からノルマを廃止し一律47%にする。
  (2)事故費用について、会社が全額負担する。
  (3)組合は、水揚げ増収へ最善の努力をする。
3 被申立人は、申立人及び申立人の組合員を中傷するなどして申立人の組織又は運営に支配 介入してはならない。
4 被申立人は、本命令交付の日から1週間以内に、縦50cm×横1mの白紙に次の文言を楷書 で明瞭に記載し、被申立人会社本社事務所の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければ ならない。
  当社が行った次の行為は、不当労働行為であると徳島県地方労働委員会において認定され ました。
  今後、このような行為を繰り返さないようにします。
 1貴組合の申入れに係る団体交渉に誠意をもって応じなかったこと。
 2平成3年9月8日の団体交渉において、貴組合との間で合意に達した事項について、協定  書の作成に応じなかったこと。
 3貴組合及び組合員を中傷したこと。
                                平成 年 月 日
   相互タクシー労働組合
    執行委員長 X1 殿
                         相互タクシー有限会社
                          代表取締役 Y1
5 申立人のその余の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  2240 説明・説得の程度
形式的には団交に応じながら、実質的には組合に具体的な説明をせずゼロ回答に終始している会社の態度は不誠実であるとされた例。

5201 継続する行為
組合の求める協定書の作成は、3年9月8日の合意事項があるが、会社は4年9月までの間7回にわたり、作成を拒否しており、かかる会社の行為はいわゆる継続する行為に該り、4年12月3日の申立ては申立期間を徒過していないとされ例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社長の発言は組合及び委員長への嫌悪感を如実に表すもので、非組合員の同席する中で行われていることを考えると、組合及び組合員を中傷することによって組合の弱体化を企図した行為であるとされた例。

1203 その他給与決定上の取扱い
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
欠勤や有給休暇について賃金控除しないことが慣行だったとしても、これを変更して賃金控除を全従業員に一律に実施している場合には、組合及び組合員に対する不当労働行為ではないとされた例。

5201 継続する行為
救済を求めた社長発言は申立て日より1年以上前のものであるが、申立て後も社長は同趣旨の発言をしているので、いわゆる継続する行為に該当し、申立期間を徒過するものではないとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集99集355頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成 6年(不再)第20号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 9月18日 決定 
 
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