概要情報
事件名 |
ワタナベ学園 |
事件番号 |
埼玉地労委 平成 4年(不)第3号
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申立人 |
自治労・越谷地域労働者連合ワタナベ学園関連支部 |
被申立人 |
学校法人 ワタナベ学園 |
命令年月日 |
平成 6年 1月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、学園が、(1)賃金引上げに係る団体交渉において、予算書、決算書などの経理資料の提示をせずに説明を行ったこと、(2)労使からなる労働時間短縮に関する専門委員会の答申に係る団体交渉において、抽象的主張を繰り返すのみで具体的説明や資料の提示をしなかったこと、(3)定年年齢、退職金などの労働条件に係る団体交渉に応じなかったことが不当労働行為として争われた事件である。 埼玉地労委は、(1)(2)について誠実に団交に応じること及び文書手交を命じ、(3)については、学園が組合と十分話し合っていくことを団体交渉の場で伝えた後、組合から団体交渉を申し入れていないことから、不当労働行為に当たらないとして棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人が平成4年1月20日に申し入れた平成4年度賃金引上げに係る団体交 渉に、予算書、決算書などの経理資料を提示し、被申立人が主張する回答の根拠を具体的か つ客観的に説明するなどして、誠実に応じなければならない。 2 被申立人は、申立人が平成4年3月12日に申し入れた労働時間短縮に関する専門委員会の 答申に係る団体交渉に、誠実に応じなければならない。 3 被申立人は、申立人に、下記文書を、本命令書受領の日から5日以内に手交しなければな らない。 記 平成 年 月 日 自治労・越谷地域労働者連合組合 ワタナベ学園関連支部 支部代表 X1 様 学校法人ワタナベ学園 理事長 Y1 当法人が、貴組合の(1)平成4年1月20日に申し入れた平成4年度賃金引上げに係る団体交 渉及び(2)平成4年3月12日に申し入れた労働時間短縮に関する専門委員会の答申に係る団体 交渉に、誠実に応じなかったことは、埼玉県地方労働委員会において、それぞれ労働組合法 第7条第2号に該当する不当労働行為であると認定されました。 今後は、このような行為を繰り返さないよう誓約いたします。 4 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2240 説明・説得の程度
賃上げ交渉において、予算、決算などの経理資料を示さず、交渉担当者に経営内容を理解させないまま団交に当たらせたことが誠実に団交に応じたとはいえないとされた例。
2240 説明・説得の程度
団交で検討する旨確認された時短に関する労使間の専門委員会答申について、答申を実施できないことの根拠を具体的に団交で説明せず、その後の団交でも同様のくり返しを行ったことが不誠実団交であるとされた例。
2301 人事事項
定年年令等についての団交申入れに対し、学園は団交において、すでに就業規則を監督署に届出ており、決着したが、団交その他で今後労組の意向を聞く用意がある旨答えており、同問題の団交拒否との組合主張は採用できぬとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集99集187頁 |
評釈等情報 |
 
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