労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  内山工業 
事件番号  岡山地労委 平成 1年(不)第2号 
申立人  全国化学労働組合協議会内山工業労働組合 
被申立人  内山工業 株式会社 
命令年月日  平成 6年 1月21日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が行った申立人組合の組合員に対する(1)昭和63年10月の降格を含む人事異動、(2)同63年上期、下期賞与及び同年の業績貢献金の減額査定及び申立人組合に対する協定未締結によるチェック・オフの一方的廃止が、当該組合員に対する不利益取扱い及び組合に対する支配介入であるとして争われた事件である。
 岡山地労委は、(1)組合員10名を当該人事異動の直前の所属及び職制、または相当職に復帰させること、(2)昭和63年下期賞与については、申立て組合の組合員全員に対し再査定を行うこと、業績貢献金については、申立て全員に対して減額差額を支払うこと、チェック・オフについての誠実協議、人事異動及び賞与・業績貢献金に関しての支配介入の禁止及び文書交付を命じた。 
命令主文  1 被申立人内山工業株式会社は、本件命令後速やかに、申立人全国化学労働組合協議会内山 工業労働組合所属の組合員であるX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9 及びX10を、昭和63年10月4日付人事異動の直前の所属及び職制、または、それに相当する 所属及び職制に復帰させなければならない。
2 被申立人内山工業株式会社は、本件命令後速やかに、本件申立当時申立人全国化学労働組 合協議会内山工業労働組合に所属していた組合員130人に対し、昭和63年12月9日に支給した 昭和63年下期賞与を次のとおり是正し、各人に既に支払った金額とこれによって算定した金 額との差額を支払わなければならない。
  (1)上記130人について、その平均支給額が620,000円を下回らない限度において再査定する   こと。
  (2)上記(1)の再査定は、各人に既に支払った金額を下回らない程度において行うこと。
3 被申立人内山工業株式会社は、本件命令後速やかに、本件申立当時申立人全国化学労働組 合協議会内山工業労働組合に所属していた組合員107人に対し、昭和63年12月9日に支給した 業績貢献金について、各人に既に支払った金額と6万円との差額を支払わなければならな  い。
4 被申立人内山工業株式会社は、本件命令後速やかに、組合費等の組合関係の天引き及び組 合関係以外の天引きのいずれについても、書面協定の締結がなされるよう、申立人全国化学 労働組合協議会内山工業労働組合との間で誠実に協議しなければならない。
5 被申立人内山工業株式会社は、人事異動及び賞与・業績貢献金の支給に際し、申立人全国 化学労働組合協議会内山工業労働組合組合員に対し、その所属を理由に不利益に取り扱うこ とにより、申立人全国化学労働組合協議会内山工業労働組合の運営に支配介入してはならな い。
6 被申立人内山工業株式会社は、本件命令後速やかに、申立人全国化学労働組合協議会内山 工業労働組合に対して、下記内容を記載した書面を交付しなければならない。
                      記
                              平成  年  月  日
   全国化学労働組合協議会
    内山工業労働組合
     中央執行委員長 X11 殿
                            内山工業株式会社
                             代表取締役 Y1
  当社が行った次の行為は、岡山県地方労働委員会によって、労働組合法第7条第1号及び 第3号に該当する貴組合に対する不当労働行為であると認定されましたので、深く反省する とともに、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
                     記
 1 昭和63年10月4日以降の貴組合組合員に対する人事異動
 2 昭和63年12月9日の貴組合組合員に対する昭和63年下期賞与の支給
 3 昭和63年12月9日の貴組合組合員に対する業績貢献金の支給あるいは不支給
 4 昭和63年11月からの貴組合にかかわる組合費等のチェック・オフの廃止
7 申立人全国化学労働組合協議会内山工業労働組合のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
3900 「不利益の範囲」
事務所組織から現場組織への配転が実質的な降格であり、職務上の不利益取扱いであるとともに、精神的な不利益取扱いであるとされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合役員ら24名に対する各工場から離れた位置にある作業所への配転、営繕緑化班への配転、班長解任を伴う配転、事務所組織から現場組織への配転等一連の人事異動が、労使関係の経緯等からみて、7条1、3号の不当労働行為とされた例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
63年下期賞与及び同年の業績貢献金について組合員を減額査定したことが、他の従業員と差別し、会社方針に従おうとしない組合員に対する7条1、3号の不当労働行為とされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
協約未締結を理由に、チェック・オフを一方的に廃止したことが、複数組合併存下における中立義務に反し、労使関係の経緯からみて、組合を嫌悪して行った不当労働行為であるとされた例。

4403 解雇後の事情と原職復帰
一連の人事異動の救済申立対象者24名中、原職復帰の請求を取り下げた7人と、別件で同じ原職復帰をめぐり審査中の6人を除いた11名については、原職復帰の必要性があるとされた例。

4602 組合との協議を命じた例
チェック・オフの中止の救済として、書面協定の締結がなされるよう、会社に対して、組合と誠実に協議するよう命ずることが相当であるとされた例。

業種・規模  ゴム製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集99集42頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成 6年(不再)第5号 
中労委 平成 6年(不再)第41号 
一部変更(初審命令を一部取消し)  平成11年 1月20日 決定 
 
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