概要情報
事件名 |
恒昭会 |
事件番号 |
中労委 平成 1年(不再)第116号
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再審査申立人 |
藍陵園病院 |
再審査申立人 |
医療法人 恒昭会 |
再審査申立人 |
北摂興産 株式会社 |
再審査被申立人 |
全国一般労働組合大阪地方本部全藍野病院労働組合 |
命令年月日 |
平成 4年12月16日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
組合が、(1)無許可の職場集会の開催を繰り返し、デモを指揮するなどした組合役員2名を出勤停止処分にしたこと、(2)デモを行った組合員76名を戒告処分にしたこと、(3)静脈注射等の拒否行動をした組合員の賃金をカットしたことが争われた事件で、(1)については、出勤停止処分がなかったものとしての取扱いを、(2)については、退職者を除く48名の戒告処分がなかったものとしての取扱い及び文書手交を命じ、(3)については、棄却した初審命令のうち、(1)については無許可の職場集会開催は組合活動としては適当なものであったとは言いがたいとして初審命令を取り消し、その余のについてはこれを支持し、再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 初審命令主文第1項を取り消し、この部分に係る再審査被申立人の救済申立てを棄却する。 2 初審命令主文第2項中「被申立人」を「再審査申立人」に、「別表」を「それぞれ、その従業員である初審命令別表」に、「申立人」を「再審査被申立人」に改め、同項を同第1項とし、同項に係るその余の再審査被申立人の救済申立てを棄却する。 3 初審命令主文第3項を次のとおり変更し、同項を同第2項とし、同項に係るその余の再審査被申立人の救済申立てを棄却する。 再審査申立人医療法人恒昭会、同北摂興産業株式会社及び同藍陵園病院ことY1は、それぞれ、本命令を受けた後速やかに、再審査被申立人に対し、下記の文書を手交しなければならない。ただし、下記の文言中「医療法人恒昭会理事長Y1」及び「医療法人恒昭会」とあるのは、再審査申立人北摂興産株式会社にあっては「北摂興産株式会社代表取締役Y2」及び「北摂興産株式会社」と、再審査申立人藍陵園病院ことY1にあっては「藍陵園病院ことY1」とする。 記 年 月 日 全国一般労働組合大阪地方本部全藍野病院労働組合 執行委員長 X1 殿 医療法人 恒昭会 理事長 Y1 医療法人恒昭会が貴組合の組合員に対して行った昭和61年12月19日付け戒告処分は、中央労働委員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されましたので、今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 4 初審命令主文第4項を同第3項とする。 5 その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0209 会社役員宅等への抗議行動
組合員76名が休憩時間中に病院外で行ったデモ行進、理事長宅前でのシュプレヒコールは、必ずしも適当とはいえないが、全体としては正当な組合活動の範囲を逸脱したものとはいえないとされた例。
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
組合員約80名が病棟周辺において無許可職場集会を開催し、携帯用拡声器を使用して演説やシュピレヒコールを、さらに病棟に接近してデモ行進等を行ったことが正当な組合活動とは認められないとされた例。
0200 宣伝活動
無許可のまま病院入口付近に組合旗を掲揚したことは反省すべきであるが、労使が厳しい対立関係にあったこと等を考慮すると、本件程度をもって正当な組合活動の範囲を逸脱したものとまでは認められないとされた例。
1400 制裁処分
無許可の現場集会の開催等に中心的役割を果たした組合委員長及び書記長を出勤停止処分に付したことが、全体からみて不当労働行為には当たらないとした初審命令が取り消された例。
1400 制裁処分
ただ1回休憩時間中に10分程度行われた組合のデモ行進をとらえ、これに参加した組合員76名を戒告処分に付したことが不当労働行為に当たるとした初審命令は相当であるとされた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
組合員76名に対する戒告処分につき、退職者等を除く48名について救済するのが相当であるとした初審命令を維持した例。
4414 その他の不利益の場合
各戒告処分につき、初審命令が本件再審査申立人三者に命じた救済を、三者それぞれの従業員である組合員について、本件処分がなかったものとして取り扱うよう変更して命じた例。
4916 企業に影響力を持つ者
恒昭会、H興産及びR病院は、それぞれの従業員との関係で労組法7条の使用者に該当するにとどまり、それ以上に恒昭会が他の二者の従業員との関係で使用者に該当しないとして初審命令の当該部分を取り消した例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集95集966頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 平成 5年 7月10日 861号 14頁 
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