概要情報
事件名 |
恒昭会 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和61年(不)第86号
大阪地労委 昭和62年(不)第10号
大阪地労委 昭和62年(不)第11号
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申立人 |
総評全国一般労働組合大阪地方本部全藍野労働組合 |
被申立人 |
藍陵園病院 こと Y1 |
被申立人 |
北摂興産 株式会社 |
被申立人 |
医療法人 恒昭会 |
命令年月日 |
平成 1年10月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)デモを指揮した組合役員2名を出勤停止処分にしたこと、(2)デモを行った組合員76名を戒告処分にしたこと、(3)静脈注射等の拒否行動をした組合員の賃金カットをしたことが争われた事件で、(1)出勤停止処分がなかったものとしての取扱い、バック・ペイ、(2)組合員48名に対する戒告処分がなかったものとしての取扱い、(3)文書手交を命じ、賃金カット及び謝罪文の掲示については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人藍陵園病院ことY1は、申立人組合員X1及び同X1に対して、昭和61年12月19 日付で行った2日間の出勤停止処分がなかったものとして取り扱い、同人らがその間に受け るはずであった賃金相当額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 2 被申立人医療法人恒昭会、同北摂興産株式会社及び同藍陵園病院ことY1は、別表記載の 申立人組合員に対する昭和61年12月19日付戒告処分がなかったものとして取り扱わなければ ならない。 3 被申立人医療法人恒昭会、同北摂興産株式会社及び同藍陵園病院ことY1は、申立人に対 し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 総評全国一般労働組合 大阪地方本部全藍野労働組合 執行委員長 X1 殿 医療法人 恒昭会 代表理事 Y1 北摂興産株式会社 代表取締役 Y2 藍陵園病院ことY1 医療法人恒昭会、北摂興産株式会社又は藍陵園病院ことY1が行った下記の行為は、大阪 府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であ ると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1)貴組合員X1及び同X2の両氏を昭和61年12月19日付で2日間の出勤停止処分にしたこ と (2)貴組合員を昭和61年12月19日付けで戒告処分にしたこと 4 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0200 宣伝活動
休憩時間中に病院の施設外で行われたデモは、警察へ届出ていないが、組合要求の実現に向けて組合の統一と団結を図るために行われたもので、その態様も組合活動としての範囲を逸脱したものとはいえないとされた例。
0200 宣伝活動
0202 会社施設の利用
病院敷地内での職場集会の開催及び組合旗の掲揚は、年末一時金の交渉時における組合員の団結を維持する組合活動としては許容される範囲のものとされた例。
1204 スト・カット
静脈注射等の業務をしなかった組合員に対して、賃金カットを行ったことは、あくまで争議行為としての組合員の不完全な労務提供そのものに対して行われたもので、不当労働行為とまではいえないとされた例。
0200 宣伝活動
1400 制裁処分
就業時間内に病院施設内でのデモに参加した組合員を戒告処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。
0200 宣伝活動
0202 会社施設の利用
1400 制裁処分
就業時間外に病院施設外でのデモ、職場集会での音声、病院敷地内での職場集会及び組合旗の掲揚を理由に執行委員長ら2名を出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
戒告処分の救済の対象者を退職者を除く組合員に限って命じた例。
4407 バックペイの支払い方法
組合員らに対する出勤停止処分に伴う賃金カット分の支払いを病院に対して命じた例。
4900 請負・委任・派遣契約
病院を経営する恒昭会は、病院の職員である組合員や病院へのヘルパー派遣並びに病院施設内での物品販売、病院施設の維持、管理を業とする会社に勤務する組合員との関係で労組法上の使用者性を有するとされた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集88集105頁 |
評釈等情報 |
 
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