概要情報
事件名 |
滲透工業 |
事件番号 |
中労委 平成 1年(不再)第16号
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再審査申立人 |
滲透工業 株式会社 |
再審査被申立人 |
阪神合同労働組合 |
命令年月日 |
平成 4年 7月 1日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)分解会議のための食堂使用及び会社施設内でのビラ配布を一方的に禁止したこと、(2)組合分会長X1を経理業務から現場業務へ配置転換したこと、(3)X1をビラ配布等を理由に3日間、ストライキ実施を理由に10日間出勤停止処分にしたことが争われた事件で、(1)については、ビラ配布等の全面的禁止のとりやめ及び組合との誠実な協議の実施及び文書掲示・手交を、(2)については、配転命令の取消し、原職復帰及び文書掲示・手交を、(3)については、出勤停止処分の取消し、バックペイ及び文書掲示・手交を命じた初審命令のうち、(1)及び(1)に係る文書掲示の内容について一部変更したほかは初審命令を支持し、再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 初審命令主文第1項を次のとおり変更する。 滲透工業株式会社は、阪神合同労働組合の分会会議のための食堂の使用及び会社施設内におけるビラの配布について、同労働組合とその許可条件等について誠実に協議しなければならない。 2 初審命令主文第4項を次のとおり変更する。 滲透工業株式会社は、本命令書写し交付の日から7日以内に、下記文書を阪神合同労働組合に手交するとともに、同文を縦1メートル、横70センチメートルの白紙に明瞭に記載し、滲透工業株式会社の正面玄関付近のよく見える場所に、10日間掲示しなければならない。 記 平成 年 月 日 阪神合同労働組合 執行委員長 X1 殿 阪神合同労働組合滲透工業分会 分 会 長 X1 殿 滲透工業株式会社 代表取締役 Y1 当社が、貴組合の分会会議のための食堂の使用及び会社施設内におけるビラの配布について、貴組合とその許可条件等について協議しようとしなかったこと、並びに貴組合滲透工業分会長X1氏に対して、昭和61年 1月27日付け配転命令、昭和61年 2月10日付け懲戒処分及び昭和62年 1月 5日付け懲戒処分を行ったことは、いずれも不当労働行為であると中央労働委員会により認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにします。 3 再審査申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
組合活動の中心的役割を果たしている組合員X1を経理担当から外し、他に配置転換したことが不当労働行為に当たるとした初審判断は相当であるとされた例。
1400 制裁処分
組合活動の中心的役割を果たしている組合員X1が本件配転を不当労働行為と決めつけ、ビラ配布によって会社を誹謗・中傷したことを理由に出勤停止処分に付したことが不当労働行為に当たるとされた例。
1400 制裁処分
組合が行ったストライキは団交を開催することなく強行したものであるとして、本件ストライキ実施の中心的人物である組合員X1を出勤停止処分に付したことが不当労働行為に当たるとされた例。
3020 組合活動への制約
会社が分会の会議開催のための食堂使用を全面的に禁止し、その許可条件等について組合と協議しなかったことが支配介入に当たるとした初審命令は相当であるとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、組合の会社施設内でのビラ配布を全面的に禁止し、その許可条件等について組合と協議しなかったことが支配介入に当たるとした初審命令は相当であるとされた例。
4602 組合との協議を命じた例
組合活動のための食堂使用及び会社構内でのビラ配布につき、その許可条件等について誠実に協議するよう初審主文を変更した例。
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業種・規模 |
窯業・土石製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集95集868頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 平成 4年11月10日 850号 15頁 
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