概要情報
事件名 |
滲透工業 |
事件番号 |
兵庫地労委 昭和61年(不)第4号
兵庫地労委 昭和62年(不)第7号
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申立人 |
阪神合同労働組合 |
被申立人 |
滲透工業 株式会社 |
命令年月日 |
平成 1年 3月10日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)分会の食堂使用及び会社施設内ビラ配布を禁止したこと、(2)組合分会長X1を、経理業務から現場勤務に配転したこと、(3)抗議ビラを配付したX1を3日間の出勤停止処分に付したこと、(4)社宅料の一方的値上げ通告に反対して行ったストを理由にX1を10日間の出勤停止処分に付したことが争われた事件で、(1)について全面的に禁止することをやめ、組合と誠実に協議すること、(2)について配転命令取消し、原職復帰、(3)について出勤停止処分の取消し、処分に伴う給与減給分を支払うこと、(4)誓約文の手交及び掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人が分会会議のために食堂を利用すること、会社施設内でビラ配布を行 うことにつき、全面的にこれを禁止することをやめ、申立人と誠実に協議しなければならな い。 2 被申立人は、昭和61年 1月27日付でX1に対して行った配転命令を取り消し、同人を原職 に復帰させなければならない。 3 被申立人は、昭和61年 2月10日付でX1に対して行った出勤停止3日間の懲戒処分及び昭 和62年 1月 5日付でX1に対して行った出勤停止10日間の懲戒処分を取り消し、懲戒処分に 伴う給与減額分を同人に支払わなければならない。 4 被申立人は、下記誓約文を本命令書写し交付後7日以内に申立人に手交するとともに、同 文を縦1m×横70cmの白紙に明瞭に墨書して、被申立人の正面玄関付近のよく見える場所に 10日間掲示し、責任を持って存置しなければならない。 記 誓 約 文 平成 年 月 日 阪神合同労働組合 執行委員長 X2 殿 阪神合同労働組合滲透工業分会 分会長 X1 殿 滲透工業株式会社 代表取締役 Y1 当社が、貴組合の分会会議のための食堂使用及び貴組合の行うビラ配布を全面的に禁止し たこと、並びに貴組合滲透工業分会会長であるX1氏に対して、昭和61年 1月27日付け配転 命令、昭和61年 2月10日付け懲戒処分及び昭和62年 1月 5日付け懲戒処分を行ったことは、 いずれも不当労働行為であると兵庫県地方労働委員会により認定されました。今後、このよ うな行為を繰り返さないことを誓約いたします。 5 申立人のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0410 目的・手続き
組合が、社宅料の値上げ問題について団交を経ないで行ったストが、当時の会社の組合に対する態度等から争議権を濫用したものといえず、違法とすることはできないとされた例。
1300 転勤・配転
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
自己の配転について抗議ビラを配布した分会長X1を出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
経理業務を担当する分会長X1が、会社の機密、従業員のプライバシーを知得し得る立場にあるとして、同人を研究室に配転したことが不当労働行為であるとされた例。
0422 実行行為者の責任
1400 制裁処分
分会長X1が社宅料値上げ問題に関し、会社と団交を行うことなくストを企画、指導、実行したとして出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が、分会会議開催のための食堂利用の申入れを拒否したことが支配介入にあたるとされた例。
3020 組合活動への制約
会社が、就業時間の内外を問わず、会社施設内における組合のビラ配布を全面的に禁止したことが支配介入にあたるとされた例。
4602 組合との協議を命じた例
会社施設の利用、会社施設内のビラ配布等は、本来団交等による合意に基づいて行われるべきところ、実質的な協議がいっさい行われていない実情にあるので、本命令の趣旨に沿った協議を行うよう命じた例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集85集427頁 |
評釈等情報 |
 
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