労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本放送協会 
事件番号  東京地労委 昭和59年(不)第78号 
東京地労委 昭和61年(不)第87号 
東京地労委 昭和61年(不)第107号 
申立人  全日本放送受信料労働組合 
被申立人  日本放送協会 
命令年月日  平成 4年10月20日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  協会が、(1)新業務の実施拒否を理由に、組合員に対し労使妥結事項である「昭和61年度処遇改善」を実施しなかったこと、(2)組合の争議行為等を理由に組合員に対してのみ奨励金を支払わなかったこと、(3)組合役員X1の業務不振を理由に同人の受持区を削減したこと、(4)組合役員X2の業務不振を理由に同人との委託契約を解約したことが争われた事件で、(1)については、処遇改善の実施を、(2)については、奨励金相当額の支払いを、(3)については委託契約解除のなかったものとしての取扱いを命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  主   文
1 被申立人日本放送協会は、申立人全日本放送受信料労働組合所属の組合員に対し、昭和61年度第 1期から同第 5期までの間の委託事務費および給付について別紙 2「昭和61年度委託事務費・給付改善一覧」記載のとおり処遇改善し、すでに支払った額との差額を支払わなければならない。
2(1) 被申立人協会は、申立人組合員に対し、昭和61年度第 1期から同第 5期までの各個人奨励金の支払基準および申立人組合員の契約取次件数・収納率に応じて、次の各個人奨励金相当額を支払わなければならない。
   (1) 早期、週間、月間、期間、上半期、下半期の各個人契約取次奨励金
   (2) 初月、期間の各個人収納奨励金
 (2) 被申立人協会は、申立人組合員に対し、昭和61年度第 2期から同第 5期までの間の、月間、期間、上半期、下半期の各団体契約取次奨励金の支払対象から除外されなければ得られたであろう金銭、商品券、物品等相当の金員を支払わなければならない。
3 被申立人協会は、申立人組合所属の組合員成沢浩に対し、次の措置を含め、昭和61年 9月12日付委託契約解約がなかったものとして取り扱わなければならない。
 (1) 被申立人協会小樽放送局において放送受信契の取次業務および放送受信料の集金業務に就かせること。
 (2) 従前の契約条件を下回らないこと。
 (3) 委託契約解約の翌日から、同解約以前の状態に復するまでの間、同人に支払われるはずであった事務費および給付相当額を支払うこと。
4 被申立人協会は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に明瞭に墨書して、被申立人協会放送センターの正面玄関前の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
            記
                    平成 年 月 日
全日本放送受信料労働組合
中央執行委員長 X3 殿
                  日本放送協会
                  会長   Y1
 当協会が、(1)昭和61年度第 1期から同第 5期までの間、貴組合員に対し、昭和61年度処遇改善を実施しなかったことおよび奨励金を支払わなかったこと、(2)昭和61年 9月12日、貴組合中央書記長成沢浩氏に対し委託契約の解約を行ったことは、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は、掲示した日を記載すること)
5 被申立人協会は、前記各項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。
6 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1106 契約更新拒否
組合の中央書記長X2に対し、最低業績水準である80%の収納率が確保されないとして委託契約を解除したことが不当労働行為に当たるとされた例。

1204 スト・カット
昭和61年度第1期における組合の実力行使が委託業務の誠実履行義務に違反する行為であるとして奨励金を組合員に支払わなかったことが不当労働行為に当たるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
組合が昭和61年度第2期以降も新業務の履行を拒否していることを理由に組合員全員について一切の奨励金の支払いを見合わせたことが不当労働行為に当たるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
組合が妥結通告をしたにもかかわらず、協会が組合員に対する昭和61年度処遇改善を実施しなかったことが不当労働行為に当たるとされた例。

3201 不当労働行為とされなかった例
組合の中央書記次長X1の受持区を削減したことが別件事件申立てに対する報復として行われた不当労働行為には当たらないとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
本件委託契約の解約を受けたX2の解約されていた間のバックペイについては、解約時前1年間に同人が支払いを受けた事務費等の月額平均を算出し、この月額平均により算出するのが相当であるとされた例。

4811 労組法7条3号(個人申立)の場合
4825 その他
協会と「委託契約」を締結して放送受信契約の取次業務及び放送受信料の集金業務等に携わっている委託集金人は労組法3条にいう労働者にあたり、その組合は同法2条にいう労働組合であるとされた例。

業種・規模  放送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集95集373頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成 4年(不再)第37号/他 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成 8年 5月22日 決定 
中労委 平成 4年(不再)第36号/他 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成 8年 5月22日 決定 
 
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