労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  九州旅客鉄道・日本貨物鉄道(佐賀不採用) 
事件番号  佐賀地労委 昭和62年(不)第1号 
申立人  国鉄労働組合門司地方本部佐賀県支部 
申立人  国鉄労働組合 
申立人  国鉄労働組合門司地方本部 
被申立人  九州旅客鉄道  株式会社 
被申立人  日本貨物鉄道  株式会社 
命令年月日  平成 1年 3月22日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  国鉄の分割・民営化により新会社として発足した九州旅客鉄道二社が国労所属組合員257名を採用しなかったことが争われた事件で、(1)九州旅客鉄道に対して採用を希望した組合員 250名を、日本貨物鉄道に対して採用を希望した組合員7名を、62年4月1日以降それぞれの会社の社員に採用したものとして取り扱うこと、(2)就労する職場及び職種等について組合と誠実に協議すること、(3)国鉄清算事業団が支払った諸給与額との差額の支払い及び(4)誓約文の手交を命じ、陳謝文の交付及び掲示については棄却した。 
命令主文  1 被申立人九州旅客鉄道株式会社は、同社に採用を希望している別表第1記載の組合員を、 昭和62年 4月 1日をもって同社の社員に採用したものとして取り扱わなければならない。
2 被申立人日本貨物鉄道株式会社は、同社に採用を希望している別表第2記載の組合員を、 昭和62年 4月 1日をもって同社の社員に採用したものとして取り扱わなければならない。
3 被申立人らは、上記第1項及び第2項を履行するに当たり、就労すべき職場・職種につい て、申立人らと協議しなければならない。
4 被申立人らは、別表第1及び第2記載の組合員に対し、昭和62年 4月 1日以降就労させる までの間、同人らが受けるはずであった諸給与相当額と申立外日本国有鉄道清算事業団にお いて実際に支払われた諸給与額との差額を、同人らに対し支払わなければならない。
5 被申立人らは、本命令受領後、速やかに申立人らに対して、次の文書(ただし、記1は九 州旅客鉄道株式会社、記2は日本貨物鉄道株式会社とする。)を交付しなければならない。
                      記 1
  昭和62年 4月 1日に実施された日本国有鉄道の分割・民営化に伴う承継法人の職員の採用 に関し、貴組合らの組合員を、貴組合らの組合員であること及び貴組合の組合活動を行った ことを理由に当社の社員として採用しなかった行為は、今般、佐賀県地方労働委員会におい て、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。  よって、当社は、ここにその責任を認め、社員としての就労など命令主文の措置をとるこ とを誓約します。
                                 平成 年 月 日
   国鉄労働組合
    執行委員長 X1 殿
   国鉄労働組合門司地方本部
    執行委員長 X2 殿
   国鉄労働組合門司地方本部佐賀県支部
    執行委員長 X3 殿
                          九州旅客鉄道株式会社
                           代表取締役 Y1 印
                      記 2
  昭和62年 4月 1日に実施された日本国有鉄道の分割・民営化に伴う承継法人の職員の採用 に関し、貴組合らの組合員を、貴組合の組合員であること及び貴組合の組合活動を行ったこ とを理由に当社の社員として採用しなかった行為は、今般、佐賀県地方労働委員会におい  て、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
  よって、当社は、ここにその責任を認め、社員としての就労など命令主文の措置をとるこ とを誓約します。
                                 平成 年 月 日
   国鉄労働組合
    執行委員長 X1 殿
   国鉄労働組合門司地方本部
    執行委員長 X2 殿
   国鉄労働組合門司地方本部佐賀県支部
    執行委員長 X3 殿
                           日本貨物鉄道株式会社
                            代表取締役 Y2 印
6 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1500 不採用
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
国鉄が本件組合員を新会社の職員となるべき者の名簿に記載せず、設立委員が本件組合員を採用しなかったことが不当労働行為であるとされた例。

3900 「不利益の範囲」
本件不採用は、実質的には整理解雇に相当するもので、実質的不利益変更であり、かつ、経済的、精神的不利益性が認められるとされた例。

4410 雇入拒否の場合
本件不採用が不当労働行為である以上、本件組合員につき、採用された他の組合所属の組合員と等しく扱うべきであるとされた例。

4911 解散事業における使用者
国鉄が設立委員の代行として行った承継法人の職員となるべき者の選定行為は、設立委員の行為であり、承継法人にその責が帰属するから、新会社は使用者として被申立人適格を有するとされた例。

4916 企業に影響力を持つ者
国鉄と承継法人間には、財産の出資事業内容、資産その他の承継、役職員の人的連続性及び労働条件の継続性等から実質的同一性を有するので、この点からみても承継法人は被申立人適格を有するとされた例。

5008 その他
本命令は、不当労働行為の原状回復措置として不採用及びその前提としての名簿不登載という不利益取り扱いがなかったと同じ状態に取り扱えという事実上の取り扱いを命じたもので、労委の権限に属するものとされた例。

5120 使用者の不出頭
本件において、不当労働行為の成否については概括的立証に基づき判断したのは、被申立人らが全く反証、立証を行わなかったことによるものとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集85集648頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成 1年(不再)第40号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 7年 3月15日 決定 
中労委 平成 1年(不再)第36号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 7年 3月15日 決定 
 
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