事件名 |
ネッスル(東京販売事務所) |
事件番号 |
中労委昭和59年(不再)第42号
中労委昭和59年(不再)第43号
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再審査申立人 |
ネッスル日本労働組合 |
再審査申立人 |
ネッスル日本労働組合東京支部 |
再審査被申立人 |
ネッスル 株式会社 |
再審査被申立人 |
ネッスル 株式会社 東京販売事務所 |
命令年月日 |
昭和60年12月18日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
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事件概要 |
会社には申立人組合及び同組合東京支部と同一名称の別組合しか存在
しないとして、同申立人組合らから申入れのあった組合休暇、組合費のチェック・オフ等に関する団交を拒否したこと、同東京支
部所属の組合員について、組合費のチェックオフ取り止めの要求を無視して同組合の給与から組合費を控除し、別組合に交付した
ことが争われた事件で、申立人組合東京支部は存在しないとの理由による団交拒否の禁止、申立人組合東京支部所属組合員の給与
から組合費をチェックオフすることの禁止、昭和58年4月以降のチェック・オフした組合費相当額の支払い及びポスト・ノー
ティスを命じ、申立人組合との団交拒否、昭和58年1~3月分のチェック・オフ及び会社東京販売事務所を被申立人とする申立
てについて棄却した初審命令を不服として労使双方から再審査申立てがなされたが、中労委は、組合側の再審査申立てのうち、申
立人組合の団交応諾を求める部分及び会社の支払うべき組合費相当額に対する金員の付加(ただし、年6分の求めに対し、年5分
加算)を求める部分を認容し、これに関する初審命令主文を変更したが、その余の再審査申立てについては棄却し
た。 |
命令主文 |
1 本件初審命令主文第1項中「申立人ネッスル日本労働組合東京支
部(同支部執行委員長X1)から」を「申立人ネッスル日本労働組合(同本部執行委員長X2)及び同ネッスル日本労働組合東京
支部(同支部執行委員長X1)から」に、「申立外ネッスル日本労働組合(同本部執行長X3)」を「申立外ネッスル日本労働組
合(同本部執行委員長X4)」に改める。
2 本件初審命令主文第2項中「チェックオフした組合費相当額を」を「チェックオフした組合費相当額に年5分の割合による金
員を付加して」に改める。
3 本件初審命令主文第3項の記中「貴組合東京支部(同支部執行委員長X1氏)」を「貴組合(同本部執行委員長X2氏)及び
貴組合東京支部(同支部執行委員長X1氏)」に、「東京地方労働委員会」を「中央労働委員会」に改める。
4 その余の本件各再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1604 その他
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
申立人組合及び同組合東京支部がそれぞれ同一名称の別組合及び同組合東京支部とは別個の労働組合として存在するに至った事実
を十分認識していながらそれを否認し、別組合との間のチェック・オフ協定に基づくと称して、申立人組合東京支部所属の組合員
について、組合費のチェック・オフを継続していることが、不当労働行為とされた例。
2114 組合の不存在
申立人組合及び同組合東京支部が連名で会社東京販売事務所に対して行った団交の申入れに対し、会社には従前から存在する申立
人組合と同一名称の別組合しか存在しないとしてそれに応じないことが、不当労働行為とされた例。
2114 組合の不存在
会社東京販売事務所だけに関係する事項については、同所長と申立人組合東京支部との間でのみ団交を行う方式が定着しており、
会社が申立人組合との団交を拒否したことは不当労働行為に当らないとの初審判断につき、会社の団交拒否理由は、申立人組合東
京支部ひいては申立人組合の存在そのものを否定するものであるから、支部団交を実現するためには申立人組合も関与することが
必要でありこれを不当労働行為に当たらないとした初審判断は失当であるとされた例。
4502 交渉事項を対象に交渉出席者に触れた例
会社東京販売事務所長が支部団交の当事者であるとしても、初審命令は、会社が同所だけに関する事項について同所長をして団交
に当らせることを拒否したことを不当労働行為であるとして、会社に対し、団交を拒否してはならない旨命じているものと解され
ていることから、同所長に対し、改めて団交を拒否してはならない旨命ずる必要性は認められないとされた例。
4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
申立人組合及び同組合東京支部は存在しないとの理由で、同東京支部との団交を拒否してはならない旨命じた初審命令が確定して
も、会社らは交渉事項を問題として団交を拒否する可能性が十分予測できるから、組合員X3ら3名の配転等についての団交拒否
についても明確な救済を求めるとの申立人組合らの主張につき、会社の団交拒否理由は、専ら申立人組合及び同組合東京支部は存
在しないとするものであり、交渉事項そのものを問題としているのではないから、申立人組合に対する団交拒否を不当労働行為に
当らないと判断した点に関して変更するほか、上記拒否理由で団交を拒否してはならないとした初審命令をもって相当とされた
例。
4603 その他
申立人組合及び同組合東京支部の存在を否認し、別組合とのチェック・オフ協定に基づくと称して、申立人組合東京支部所属の組
合員について、チェック・オフを継続したことに対する救済として、会社は、申立人組合東京支部の存在が明確になった昭和58
年4月分以降、チェック・オフした組合費相当額については、会社自らの責任において同東京支部に支払うべきであるとした初審
命令は相当であり、初審命令の取消しを求める会社主張及び昭和58年1月分以降の組合費のチェック・オフについて救済を求め
る申立人組合らの各主張はいずれも採用できないとされた例。
4603 その他
申立人組合及び同組合東京支部の存在を否認し、別組合とのチェック・オフ協定に基づくと称して、申立人組合東京支部所属の組
合員について、組合費のチェック・オフを継続したことに対する救済として、会社に対し、チェック・オフした組合費相当額の支
払いを命じた初審命令主文を変更し、同組合費相当額に年5分の割合による金員を付加して支払うことを命じた例。
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業種・規模 |
食料品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集78集656頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1986年3月10日
744号 14頁
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