労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  郵政省都城郵便局 
事件番号  公労委 昭和37年(不)第1号 
申立人  全逓信労働組合都城市北諸県郡支部 
被申立人  都城郵便局長 
命令年月日  昭和40年 3月 8日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  郵便局長が、(1)組合員の支部委員会出席を理由とする年次有給休暇及び組合休暇の請求を拒否したこと、(2)郵便課外務組合員の労働条件等についての団交申入れを集団交渉になるおそれがあること、苦情処理手続により解決したい等として拒否したことが争われた事件で、年次有給休暇請求を拒否したことについては不当労働行為の成立を認め文書手交を命じ、その他の申立ては棄却した。 
命令主文  主  文
1 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に、下記内容の文書を申立人に交付しなければならない。
      記
 都城郵便局長は、貴組合の組合員が第24回支部委員会に出席するため年次有給休暇を請求したのにこれを認めず、もって貴組合の運営に介入したことについて、ここに、遺憾の意を表わすとともに、今後このような行為を繰り返さないことを約する。
  昭和 年 月 日
 全逓信労働組合都城市北諸県郡支部
  支部長 X1 殿
               都城郵便局長 Y1
2 申立人のその余の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  1600 休暇の取扱い
年次有給休暇は、法が労働者に認めた権利であって、被申立人としては、労働者が年次有給休暇をとって出席する支部委員会で違法な職場闘争を審議するであろうからとか、あるいはその当時当該組合が違法な職場闘争を行なっているというようなことを理由として、法の定める年次有給休暇を拒みうる筋合のものではない。被申立人が申立組合員の年次有給休暇の請求を拒否したのは、業務の都合によるものではなく、申立組合の組合員の支部委員会出席を理由としたものであり、承認の拒否によって支部委員会出席を困難ならしめたものであるから、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
就業規則に基づいて使用者の許可によって与えられる組合休暇は、もともと申立組合の組合活動に対して特別の便宜を図るものである点において、年次有給休暇の制度とはその趣旨を異にする。したがって、組合の職場闘争が行なわれている事実関係のもとにおいて、被申立人が申立組合員が支部委員会に出席するため請求した組合休暇の許可を与えなかったことを不当労働行為としてその責任を問うことは適当ではない。

2241 他の係争事件の存在
支部団体交渉などの事項についての団体交渉申入れに対し、被申立人が集団交渉になりかねないので闘争状態が終るまで待ってもらいたい旨答えたのは、その当時の状況と当該交渉申入れ事項の性質をあわせ考えれば、正当な理由のない団体交渉拒否であるということはできない。

2216 その他
2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
2305 労働協約との関係
郵便外務員の労働条件についての団体交渉の申入れに対し、被申立人が苦情処理手続により解決したい旨回答しているのは、苦情処理に関する協約の内容に照らし、もっともであると考えられる。

2301 人事事項
組合員の不当解雇などについての団体交渉の申入れに対し、被申立人が人事権に関するものであるから、交渉に応じられない旨答えているが、その趣旨は苦情処理手続による処置には反対していなかったと認められるので、これについて被申立人の責任を追及するのは妥当ではない。

2216 その他
2300 賃金・労働時間
郵便外務員の労働条件などについての団体交渉の申入れは、個々の労働者の労働条件に関する具体的な苦情に関するものであって、これについて被申立人が団体交渉には応じられないが話合いに応じると答えたのは不当とはいえない。

2300 賃金・労働時間
2305 労働協約との関係
服務表は、勤務時間および週休等に関する協約付属覚書により所属長が定めることとされているから、これについて被申立人は交渉には応じられないが、話合いには応じると答えたのは不当とはいえない。

2240 説明・説得の程度
2242 回答なし
申立組合が、食堂の暖房について団体交渉を申し入れたところ、被申立人が火鉢をふやすことでよくないかと答え、あるいは外務者の茶代について団体交渉を申し入れたところ、被申立人が、これは交渉事項とは思えないし、職員同志が茶代を出し合って飲んでいるではないかと答えたことは、いわゆる職場要求に対して、その場で回答したものであって団体交渉を拒否したというにあたらない。

業種・規模  分類不能の産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集 
評釈等情報   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京地裁 昭和40年(行ウ)第66号 救済申立棄却命令の一部取消し  昭和44年 5月26日 判決 
東京高裁 昭和45年(行コ)第41号/他 控訴の棄却  昭和49年12月28日 判決 
東京高裁 昭和44年(行コ)第15号/他 控訴の棄却  昭和49年12月28日 判決 
最高裁 昭和50年(行ツ)第41号 上告の棄却  昭和51年 6月 3日 判決