概要情報
事件名 |
西日本旅客鉄道(西動労昇給等) |
事件番号 |
広島地労委 平成 1年(不)第1号
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申立人 |
国鉄西日本動力車労働組合 |
被申立人 |
西日本旅客鉄道 株式会社 |
命令年月日 |
平成 5年 2月 1日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)申立人組合員X1ら2名に対し、勤務成績不良との考課査定により昭和63年4月の昇給に際し1号俸減じて昇給させたこと及び期末手当を減額支給したこと、(2)総合労働協約を締結していないことを理由に団交に関する個別的労働協約についての団交に誠実に応じないこと、(3)上記(2)と同理由により組合事務所及び組合掲示板を貸与しないこと、(4)別組合の職場集会には講習室の使用を許可し、申立人組合の時限ストライキには構内駐車場の使用を許可しなかったこと、(5)職場内でのビラ配布に対し妨害、記載内容介入及び威嚇発言を行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 広島地労委は、(1)について昭和63年度の昇給を所定昇給したものとして扱い差額相当額の支払いと、期末手当において減額した金員の支払いを命じ、併せて文書手交を命じた。その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1及びX2に対して実施した昭和63年度昇給における昇給号俸を1号俸加算し、所定の4号俸昇給したものとして扱い、これにより各人別に算定される基本給及び諸手当を再計算した金額から既に各人に支給した基本給及び諸手当の金額を減じて得られる差額相当額を各人に支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人組合員X1に対して支給した昭和63年度夏季手当及び同年末手当において減額した金員を同人に支払わなければならない。 また、被申立人は、同X2に対して支給した同夏季手当において減額した金員を同人に支払わなければならない。 3 被申立人は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記文書を申立人に交付しなければならない。 記 平成 年 月 日 国鉄西日本動力車労働組合 執行委員長 X2殿 西日本旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1 当社が、貴組合員X1氏及びX2氏に対して、昭和63年度昇給において所定の昇給号俸から減号俸を行ったこと及び同夏季手当を減額支給したこと並びに同X1氏に対して同年末手当を減額支給したことは、広島県地方労働委員会において不当労働行為であると認定されました。今後、このような行為を繰り返さないようにするとともに、これを機に正常な労使関係の形成に努めます。 4 申立人のその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
組合員2名に対する昇給につき勤務成績不良を理由に低く査定し昇給減としたことが不利益取扱いとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
組合員2名に対する63年度夏季及び年末手当につき勤務成績不良を理由に低く査定し手当を減額したことが不利益取扱いとされた例。
2211 団交ルールの先議
会社が組合の申し入れた団交ルールを取り決め協約化することをかたくなに拒否したことが、これらに関する団交が十分行われていること等会社の対応からみて不誠実交渉とはいえないとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
会社が別組合には組合事務所及び組合掲示板を貸与しながら申立人組合には総合労働協約を締結していないことを理由に貸与を拒否していることが支配介入であるとはいえないとされた例。
3020 組合活動への制約
組合が時限ストを実施した際、構内駐車場の使用を許可しなかったのは、現物責任者としての立場から同運転区の安全と秩序維持に配慮したことによるもので、支配介入ではないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社の運転区長が組合員X1の無許可ビラ配布について注意したことが、同運転区の施設管理の観点から行われた妥当なもので、支配介入ではないとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集96集74頁 |
評釈等情報 |
 
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