概要情報
事件名 |
ピー・アンド・ジー・ヘルスケア |
事件番号 |
三重地労委 平成 2年(不)第2号
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申立人 |
ヴィックス労働組合 |
被申立人 |
プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク |
被申立人 |
プロクター・アンド・ギャンブル・ヘルスケア 株式会社 |
命令年月日 |
平成 4年 3月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)S工場の縮小計画及び閉鎖案についての団交を拒否し、あるいは誠実に応じなかったこと、(2)S工場を閉鎖し、組合員に新規作業所への配置転換を命じたこと、(3)配転命令後もS工場で労務を提供しようとした組合員に対し、その受領を拒否し、不就労分の賃金を控除したことが争われた事件で、(1)については、誠実団交の実施を、(2)については、当該配転命令の取消し及びS工場と同等条件での就労を、(3)については、控除賃金相当額の支払いを命じ、陳謝文の掲示については棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1.被申立人らは、鈴鹿市飯野寺家町 158番地の3所在の飯野寺家作業所で現在就労している申立人組合の組合員に対して、鈴鹿工場閉鎖に伴う同作業所への配置転換命令を取消し、平成2年4月23日以前に鈴鹿市稲生四丁目1番1号所在の鈴鹿工場で行われていたものと同等の労働条件で就労させなければならない。 2.被申立人らは、前項の行為を完了した後、直ちに、平成2年4月23日に提案した鈴鹿工場縮小計画について、計画の必要性を十分に示す客観的資料を呈示するなどして、組合の理解と納得を得るべく誠意を持って団体交渉を行わなければならない。 3.被申立人プロクター・アンド・ギャンブル・ヘルスケア株式会社は、申立人組合の組合員に対し、平成3年4月1日及び同月2日分の控除した賃金相当額をそれぞれ各人に支払わなければならない。 4.申立人のその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
1203 その他給与決定上の取扱い
新設された作業所での就労を拒否し、工場へ出社した組合員の労務の提供を受領せず、賃金を控除した行為は、正当な組合活動をしたことを理由とする不利益取扱いであるとされた例。
1204 スト・カット
組合員全員が本社前で抗議行動を行ったことから、当日、工場における労務提供の意思が存したものとは認められず、当日分につき会社が行った賃金控除は正当であるとされた例。
2244 特定条件の固執
工場縮小計画に関する会社の団交姿勢は、同計画に固執し、交渉を形骸化させるなど誠意ある交渉姿勢であったとは認められないとされた例。
2249 その他使用者の態度
2901 組合無視
組合の反対にもかかわらず、団交継続中に配転希望者及び希望退職者を募集する文書を全従業員に郵送したことが労組法7条2号及び3号に該当するとされた例。
2251 一方的決定・実施
3105 事業廃止、工場移転・売却
工場縮小計画の見直し計画進行中に、一方的に自己が最適と考える行為である工場閉鎖を強行する準備を進めたことが労組法7条2号及び3号に該当するとされた例。
2251 一方的決定・実施
工場閉鎖を提案した以降の一連の会社の団交態度は誠意を尽くしたとはいえず、自ら設定した極めて短期間のスケジュールに従って一方的に閉鎖を完了した行為は、労組法7条2号及び3号に該当するとされた例。
2301 人事事項
工場縮小計画、閉鎖案とその実行問題は、組合員の労働条件に影響するものであるので、団交事項であると認めるのが相当であるとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
工場閉鎖が支配介入であるとされる以上、組合員を新設された作業所へ就労を命じる行為も組合に対する支配介入であるとされた例。
3105 事業廃止、工場移転・売却
会社が、工場縮小計画及び閉鎖案について十分な説明を行わず、一方的に実施したことが支配介入であるとされた例。
5006 採用の請求
労委の命令は、労働契約上の権利を実現せしめるものではなく、事実上の状態を実現せしめるものであるから、原職又は原職相当職復帰を命じることは、企業のもつ職業選択の自由を侵害することにはならないとされた例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集94集260頁 |
評釈等情報 |
 
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