概要情報
事件名 |
岩槻タクシー |
事件番号 |
埼玉地労委 平成 1年(不)第1号
|
申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会岩槻タクシー労働組合 |
申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会 |
被申立人 |
有限会社 岩槻タクシー |
命令年月日 |
平成 3年11月12日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、(1)団交ルールに固執して一定期間団交に応じなかったこと、(2)組合員X1を転勤させたこと、(3)報奨金制度を廃止したこと、(4)前借金制度を廃止したこと、(5)仮眠室の明渡しを求めたこと、(6)組合掲示板の撤去を求めたこと、(7)旅行補助金の支給について組合員以外の幹事なら補助金を支給するとしたことが争われた事件で、当該組合の申立てについては、同組合が審査中解散したため却下し、同組合の上部団体の申立てについては、このうち(1)、(3)、(4)、(5)、(6)及び(7)については文書手交を命じ、(2)については棄却した。 |
命令主文 |
1.被申立人は、申立人全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会に対し、下記文書を 本命令書交付の日から5日以内に手交しなければならない。 記 平成 年 月 日 全国自動車交通労働組合総連合会 埼玉地方連合会 執行委員長 X2 様 有限会社岩槻タクシー 代表取締役 Y1 当社が、全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会岩槻タクシー労働組合の結成後 間もない時期に、(1)団体交渉ルールに固執して一定期間団体交渉に応じなかったこと、(2) 報奨金制度を突然廃止したこと、(3)前貸金制度廃止に当たり差別的に取扱ったこと、(4)不 急にもかかわらず仮眠室の明け渡しを求めたこと、(5)同組合の掲示行為に制約を課したこと 及び(6)旅行費補助金について差別的に取扱ったことは、同組合及びその上部団体である貴組 合に対する労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると、埼玉県地方労働委員 会から認定されました。 よって、当社は、今後このような行為を繰り返さないよう注意します。 2.全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会のその余の申立ては、これを棄却する。 3.全国自動車交通労働組合総連合会埼玉地方連合会岩槻タクシー労働組合の申立ては、これ を却下する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
組合員X1を東大宮営業所から本社営業所に転勤させたことは、会社の主張する転勤理由に合理性、妥当性があり、不当労働行為には当たらないとされた例。
2211 団交ルールの先議
会社が団交ルールの先議に固執し続ける態度は、団交申入れに誠実に応えているものとはいえないとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
前借金制度の廃止に至る組合とのやりとりの経緯及び組合員が所属する営業所と他の営業所との間に廃止時期のずれが生じたことは、組合差別を意図した支配介入であるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合員の所属する東大宮営業所において、仮眠室での寝泊まりを禁止したことが、組合員の動揺をねらった支配介入であるとされた例。
2802 福利厚生資金に関する寄付・貸付等
組合員の所属する東大宮営業所において、組合員以外の者が幹事であれば旅行費補助金を支給する等としたことが、組合を嫌悪した支配介入に当たるとされた例
2900 非組合員の優遇
会社が報奨金制度を廃止し、新制度の安全運転手当金を支給することとしたのは、組合員の中で新制度では支給されないこととなる者が相当いることを想定して行った、組合運営に対する支配介入であるとされた例。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X1は組合の中心的存在であるとはいえず、勤務内容において不利となる点はなく、同人の組合活動への影響も特に大きいものではないので、同人を組合員のいない本社営業所に転勤させたことは不当労働行為に該当しないとされた例。
3020 組合活動への制約
会社の組合掲示物の撤去要請は、組合が掲示板設置の件を団交事項として会社に申し入れた直後に組合にのみ撤去を求めていること等から支配介入に当たるとされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
団交ルールの先議に固執し続ける会社の態度に関する救済申立てについて、組合は解散し承継の申立てをする者もなかったことから、もはや団交の効果の帰属者を欠き、救済の利益はないとされた例。
4200 組合解散・消滅
組合は申立て後に解散しており、権利の帰属者を欠き救済の利益が存しないとして、組合の申立てが却下された例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
4823 上部団体
地連は下部組織である組合が解散したことにより本件当事者適格を喪失したとする会社の主張が、地連には却下事由はなく、上部団体は下部組織が受けた団結権侵害に対し救済利益を有するとして斥けられた例。
4505 その他
4614 文書手交のみを命じた例
会社が団交ルールの先議に固執し続ける態度は、団交申入れに誠実に応えているものとはいえないが、会社の態度が次第に軟化し、団交拒否状態か一応解消されるに至ったとして、文書手交を命じた例。
|
業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集93集348頁 |
評釈等情報 |
 
|