概要情報
事件名 |
服部タクシー |
事件番号 |
奈良地労委 平成 1年(不)第2号
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申立人 |
X1 |
申立人 |
奈良県自動車交通労働組合服部タクシー労働組合 |
被申立人 |
服部タクシー 株式会社 |
命令年月日 |
平成 2年11月27日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合員15名が休憩時間中に営業車を使用し陸運支局と交渉を行ったことを理由に執行委員長X1を出勤停止処分にしたこと、並びに、賃金スライド・ダウン問題、賃金改定問題及び一時金問題に関して誠実に団交に応じなかったことが争われた事件で、執行委員長X1の出勤停止処分の取消し及びバックペイ、委員長を出勤停止処分にするなどによる支配介入の禁止、誠実団交の応諾並びに文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人X1に対する平成元年6月13日付けの3日間の出勤停止処分を取り消し、前記出勤停止処分がなければ同人が受けるはずであった賃金相当額と既に支払った賃金との差額を同人に支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人奈良県自動車交通労働組合服部タクシー労働組合の組合員15名が、休憩時間中に営業車を使用して、近畿運輸局奈良陸運支局と交渉を行ったことを理由に、前記申立人組合の委員長を出勤停止処分にするなどして、申立人組合の活動に支配介入してはならない。 3 被申立人は、賃金スライド・ダウン問題、賃金改定問題及び平成元年度一時金問題に関し、申立人組合と誠実に団体交渉に応じなければならない。 4 被申立人は、申立人らに対して、それぞれ下記内容の文書をすみやかに手交しなければならない。 記 奈良県自動車交通労働組合服部タクシー労働組合 執行委員長 X1 殿 当社が貴組合及び貴殿に対して行った下記の行為は労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。 よって、今後はこのような行為を繰り返さないようにいたします。 記 1.貴殿に対し、平成元年6月13日付けで、3日間の出勤停止処分をなし、出勤停止に伴う賃金の減額を行ったこと。 2.貴組合の組合員15名が休憩時間中に、近畿運輸局奈良陸運支局と交渉を行ったことを理由に、貴組合の委員長を出勤停止処分にするなどして貴組合の活動に支配介入したこと。 3.貴組合の正当な団体交渉の申し入れに対し、賃金スライド・ダウン問題、賃金改定問題及び平成元年度一時金問題に関して、誠実に団体交渉に応じなかったこと。 平成 年 月 日 服部タクシー株式会社 代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
賃金スライド・ダウン問題等について、休憩時間中に営業車を使用して組合が陸運支局と行った交渉が正当な組合活動であるとされた例。
0421 幹部責任
1400 制裁処分
3102 争議対抗手段
運賃値上げに伴い水揚げの3%を控除する賃金スライド・ダウン問題等について、休憩時間中の組合員15名を含む組合員とともに行った陸運支局交渉を企画、決定、指導したとして、執行委員長X1を出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。
2249 その他使用者の態度
賃金スライド・ダウン問題、平成元年度一時金問題及び賃金改定問題にかかる団交における会社の一連の態度は、誠意をもって交渉を行う努力をしたものとはいえず、労組法7条2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
5121 挙証・採証
会社は、申立人側の主尋問の後の審問から出席せず、地労委の出席要請や書証及び最後陳述書の提出要請に応じなかったため、答弁書及び申立人の主張及び立証等を総合して事実認定したとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集91集316頁 |
評釈等情報 |
 
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