概要情報
事件名 |
中央図書出版社 |
事件番号 |
中労委 昭和61年(不再)第61号
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再審査申立人 |
株式会社 中央図書出版社 |
再審査被申立人 |
中央図書出版社労働組合 |
命令年月日 |
平成 1年10月18日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)課長のミーティングにおける組合活動抑制発言、(2)課長の年休取得制限発言、(3)春闘時の団交における会社の不誠実な態度、(4)社長らの親元訪問における言動、(5)課長らによる組合脱退勧奨言動、(6)出張に関する団交における会社の不誠実な態度、(7)組合員らに対する頻繁な出張命令、(8)編集業務から資料業務へ業務変更、(9)第三者を使っての組合員に対する脅迫が争われた事件で、(1)から(8)について救済した初審命令のうち(2)及び(3)については、不当労働行為には当たらないとして、これを取消し、その余については主文の一部を変更し初審命令を維持した。 |
命令主文 |
Ⅰ 初審命令主文第1項及び第2項を次のとおり変更する。 1 株式会社中央図書出版社は、中央図書出版社労働組合の組合員であるX1、X2及びX3 を、同人らが昭和58年10月3日から実施された出張前に従事していた編集業務に復帰させな ければならない。 2 株式会社中央図書出版社は、下記内容の文書を中央図書出版社労働組合に手交するととも に、縦1m×横1.5mの模造紙に墨書し、社屋内の1階から2階へ昇る階段の踊り場の壁面の 従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 株式会社中央図書出版社は、当社の行った下記の行為が、それぞれ不当労働行為であると 中央労働委員会によって認定されました。 よって、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 1昭和58年1月24日の編集部ミーティングにおいて、同部の課長が組合活動を抑制する内容 の発言をしたこと。 2昭和58年9月から10月にかけて、貴組合の組合員に対し、組合からの脱退を勧奨したこ と。 3貴組合の組合員の親元を訪問して、組合活動を抑制する発言をしたこと。 4昭和58年10月3日から実施された出張に関する団体交渉において、不誠実な態度をとった こと。 5昭和58年10月から同60年4月にかけて、貴組合の編集部の組合員に対し、頻繁に出張をさ せたこと。 平成 年 月 日 中央図書出版社労働組合 執行委員長 X4 殿 株式会社中央図書出版社 代表取締役 Y1 Ⅱ その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
編集部員である組合員らを編集業務から外したことが不利益取扱いであるとされた例。
2249 その他使用者の態度
会社は本件出張問題について誠意をもって団交を行ったとみることはできないとされた例。
2215 上部団体参加否認
昭和58年春闘時の団交において、団交が開かれなかったこと、上部団交役員らが出席しないように求めたこと等が直ちに不誠実な態度とまでいえないとされた例。
2300 賃金・労働時間
編集業務に従事する組合員の長期出張は、頻度も多く長期間にわたり繰り返されたものであって、日常業務を超える業務と考えられ労働条件の変更が当然予想されることから同問題は、団交事項であるとされた例。
2620 反組合的言動
組合の要求に対する回答と題する社内報を掲示し、組合への回答を延期したことを説明した行為をもって組合軽視あるいは誹謗したもとはいえないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
社長らが、組合員の親元を訪問し、父親等に対してなした発言が同人らの組合活動を抑制しようとしたものであるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社課長が、組合員X3の母親に対してなした発言が、母親を通じて同人の組合活動を抑制するためのものとはいえないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社出版物を絶版にする旨の情報の漏洩事件に関する会社課長らの一連の言動が組合脱退勧奨工作であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社課長の編集部のミーティングにおける発言が、組合の正当な活動を非難したり、担当替えに反対する組合員に不利益取扱いを予告して、それらを抑止しようとする支配介入であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
上部団体の会議に出席する執行委員に対する会社課長らの発言が、単なる希望的発言あるいは個人的感想を述べたに過ぎないとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社課長2名が、組合員の年休申請に対して、取得理由を記載するよう求めたことは穏当を欠く点があるが不当労働行為とまではいえないとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
編集部員である組合員らを頻繁に長期出張させたことが、支配介入であるとされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
会社出版物を絶版にする旨の情報の漏洩事件に関する会社課長らの一連の言動が、会社の責に帰すべき組合脱退勧奨であるとされた例。
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
編集部員である組合員らを編集業務から外したことにつき、編集業務に復帰させるよう命じた措置は、会社の有する業務命令権を制約したり、業務内容を永久に固定化、特定化するものではないとの趣旨を明確にした例。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集88集658頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 平成2年1月10日 804号 21頁 
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