労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  中央図書出版社 
事件番号  京都地労委 昭和58年(不)第8号 
申立人  中央図書出版社労働組合 
被申立人  株式会社 中央図書出版社 
命令年月日  昭和61年 9月 2日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)編集部所属の組合員に対し、長期の出張を命じ、同人らを編集業務に従事させなかったこと、(2)反組合的発言を行ったこと、(3)組合の団交申入れに対し、それを拒否したり不誠実な態度をとったこと、(4)組合員の親を通じるなどして組合員の脱退工作をしたこと、(5)正体不明の人物を使い組合員を脅迫したこと等が争われた事件で、編集部組合員を通常の編集業務に従事させること、及び上記(1)、(2)、(3)及び(4)に関しての文書手交、誓約文の掲示を命じ、上記(2)のうち、一部の発言について申立てを却下し、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人株式会社中央図書出版社は、申立人中央図書出版社労働組合の組合員であるX  1、X2及びX3を通常の編集業務に従事させなければならない。
2 被申立人は、下記内容の文書を申立人に提出するとともに、縦1m×横1.5mの模造紙に墨 書し、社屋内の1階から2階へ昇る階段の踊り場の壁面に10日間掲示しなければならない。
                     記
  株式会社中央図書出版社は、当社及び当社の課長による下記の行為が、それぞれ不当労働 行為であることを認めます。
  今後は、このような行為をしないことを誓約します。
                      記
 1当社のY1課長が、昭和58年1月24日、編集部第一課のミーティングにおいて貴組合の   組合員に対し、その活動を誹謗する発言をしたり、Y2課長が、同月20日、またY1・Y  2両課長が、翌月22日、貴組合の組合員に対し年次有給休暇を取得しようとするのを制限  する発言をしたりしたのは、貴組合への支配介入であること。
 2当社が、昭和58年3月から5月にかけて58年春闘要求に関する、同年10月から12月にかけ  て同年9月29日発令の出張に関する、貴組合からの団体交渉の申入れに対し、それを拒否  したり不誠実な態度をとったりしたことは、団体交渉を嫌悪し、それが円滑に行われるこ  とを阻害する貴組合への支配介入であること。
 3当社が、昭和58年6月から7月にかけて貴組合の組合員の親に対し、貴組合の活動を批判  したり、組合員であるが故に不利益に取り扱うことを仄めかす言動をしたりして、組合員  を貴組合から脱退させるよう勧めたのは、貴組合への支配介入であること。
 4当社が、昭和58年9月から10月にかけて、課長を通じて貴組合の組合員に対し貴組合から  の脱退を勧めたのは、貴組合への支配介入であること。
 5当社が、昭和58年10月以降、編集部に所属する貴組合の組合員に命じた出張は、貴組合の  活動への支配介入であり、また、組合員であるが故の不利益取扱いであること。
                              昭和  年  月  日
   中央図書出版社労働組合
    執行委員長 X4 殿
                        株式会社中央図書出版社
                         代表取締役 Y3
3 申立人の、被申立人のY1課長が昭和57年11月に発言したことに関する申立てを却下す  る。
4 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1301 出向
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
編集部の組合員に対し、長期出張を命じ、販売営業活動を行わせ、編集業務に従事させなかったことが不当労働行為であるとされた例。

2301 人事事項
組合員である編集員の長期出張問題は団交事項ではないとして団交を拒否したことが不当労働行為であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
課のミーティングにおいて、組合員の業務を変更する旨の課長発言は、組合員に対する報復的な不利益取扱を予告して、それらを抑止しようとするものであり不当労働行為であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
課長Y1及びY2が、X2書記次長らの年休取得申請の際、取得制限発言をしたことが、組合活動を抑止、制約を図った会社による支配介入であるとされた例。

2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合員の親を通じて行った組合脱退工作が支配介入であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社常務が組合活動のための会社会議室の利用を制限する発言をしたことが支配介入とまではいえないとされた例。

3106 その他の行為
上部団体の役員の参加を一方的に制限する団交開催条件に固執し、かつ、組合を飛び越し社内報を用いて、会社の見解を表明するなどしたことが支配介入であるとされた例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
組合員の労働条件及び組合役員の大多数に職種の変更が伴う出張問題に関して、一方的説明、主張する会社の団交態度が実質を備えていない不誠実な態度であり、支配介入に当たるとされた例。

3410 職制上の地位にある者の言動
課のミーティングにおいて、組合員の業務を変更する旨の課長発言は、会社の了解を得ているものであり、ラインの責任者としての業務上の注意、指示、説明とは認められず、会社の行為とされた例。

3410 職制上の地位にある者の言動
3609 その他
課長らを通じ、組合員に対する組合脱退勧誘工作をしたことは、会社の行為と認められ、支配介入にあたるとされた例。

4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
編集部員の長期出張の救済として、編集業務に戻すことを命ずることをもって相当であるとされた例。

5200 除斥期間
課長が「組合員中に共産党員がいる」と発言したことについて、1年以上経過して申し立てていることから判断の対象としないとされた例。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集80集262頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 昭和61年(不再)第61号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 1年10月18日 決定 
 
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